作者:堕天使シュベルトさん
昨日はなんとか咲耶たちから何とか逃げ延びれたんだけど、衛とのサッカーを昼抜きでやることになったよ。
あ、あれは辛かった。衛、今度からはもう少し軽くしようよ・・・。
まあ昨日のことはいいや。
問題は春歌との勝負の日の今日!
僕としては妹と勝負するのは気が引けるんだけど、それを拒否したら夜寝てるときに襲われそうだから……。
それはなんとしても阻止せねば!!
まあとりあえず僕自身がなにかしてやるって言ったことだし。
それにしても今日は朝からみんなの様子が変だったな。みんななんだかそわそわした感じだったし。
なんて思ってたら約束の時間になったよ。まあ9時開始だからね。早くてあたりまえなんだけど。
確か庭でするとか言ってたよな。それじゃいくとしましょうか。
ってうわぁ!
ごろごろごろぉ〜〜〜〜〜〜〜〜
階段から落ちた……。
「兄くん・・・今日もドジだね・・・」
いつの間に現れたのかは知らないけど、千影、いるんだったら助けてくれないか?
「それは・・・無理だね・・・それじゃまた・・・来世・・・」
いや、起こすだけでいいの……って心読まれた?!
「お兄ちゃま、大丈夫?」
階段の上から花穂の声が聞こえる。
僕が階段からこけたのを見て心配してくれているみたい。
優しいな花穂は。
「今花穂もそっち行くね」
階段をトテトテと下りてくる花穂。
でも気をつけろよ。お前のドジさもなかなかだから
などと思っていたら
「きゃぁ!」
いや、お約束とはいえ花穂も転んだ。そしてそのまま僕のもとに落ちてきた。
「うわ―――!!」
どさぁ!
花穂は転がっていた僕の真上に落ちてきてなおかつニードロップを僕におみまいしてくれた。
「ぐはぁ!!」
僕はその場で意識がもうろうとしてきた。
最後に
「お兄ちゃま、お兄ちゃま、しっかりして!」
花穂の声が聞こえた。よかったな花穂。けがなくて・・・。
そのまま僕は気を失った。
どうやら僕はお花畑にきたみたい。
赤に青に黄色といった色とりどりの色の花が咲いている。
あれはチューリップかな。あっちにはアジサイがある。
「・・・・ま」
なんだか呼ばれてるような気がするけど気のせいかな。
「・・ちゃま」
なんか体がゆれてるような気もするけど気のせいかな。
「お兄ちゃま」
お兄ちゃまって花穂か?
「はっ!」
「よかった。お兄ちゃま、気がついて」
そうだ、忘れる所だった。
僕は確か花穂のニードロップをまともに食らって気を失ったんだ。
「大丈夫、お兄ちゃま?」
「ああ、大丈夫だよ花穂」
「よかったぁ」
そう言って花穂が僕に飛びついてきた。
「ちょっと、花穂?!」
「よかったよ。お兄ちゃまが死んじゃうかと花穂思ったんだよ」
花穂は涙を浮かべている。そんなに心配してくれるなんて。
なんて思ってたら
「アニキ、春歌ちゃんが遅いって怒ってるよ……」
鈴凛がやって来た。
僕としては別にやましいことはやってないんだから特に気になったわけじゃないんだけど
「春歌ちゃんとの約束の時間に30分も遅れてるからみんな心配してるって言うのに!アニキは何!花穂ちゃんといちゃついてたっての!!」
……どうやら他人から見ればいちゃついているように見えるらしい。
「ちょっと待て鈴凛。僕は別に花穂といちゃついてたわけじゃなくて」
僕は慌てて弁明を述べたんだけど
「別にいちゃついてたわけじゃないよ鈴凛ちゃま。ただちょっとお兄ちゃまと、きゃぁ♥」
待って花穂、なに今のリアクションは?! って言うかそのリアクションでは火に油を注いでいるとしかいいようがないじゃないか
「ア・ニ・キ!!」
……予想的中……
「ちょっと待て鈴凛。本当に何もしてないって。ただ僕が階段から落ちて花穂も落ちてきて、そのときに」
「そのときに花穂ちゃんのニードロップを受けて今まで失神してたとでも言うの?!」
おー、さすがは鈴凛。言わなくてもわかってくれた。
「そんな言い訳信じるわけないでしょ!!」
……訂正。わかってくれてなかった。
「待って鈴凛。今鈴凛が言ったまんまのことが起こったんだって。その前にそのトンカチなんとかしろ!」
僕はとりあえずトンカチを振り回して僕を追いかけてきている鈴凛から逃げて、春歌が待ってるはずの庭に出た。
まあさっき鈴凛が言いかけたことから察するに、どううやら僕はすでに30分以上も失神していたみたいだし。これ以上春歌を待たせるのは後々の事を考えてもよくないだろう。
僕が鈴凛から逃げ切って庭に出ると、春歌と妹達(見たところ四葉と花穂と鈴凛はいない。ってまあ花穂と鈴凛がいないのはあたりまえだけど)が待っていた。
見た目には誰も怒っているようには見えない。
それにしても、なんか段幕みたいなのがあがっているのは気のせいかな?
「兄君さま。遅いですわ」
一応春歌はそんな事を言ってきたけど、まあ口調も怒ったときのような口調じゃないし、顔も怒ってはいないからまあよかった。
何はともあれ謝っとかなくっちゃいけないよな。
「ごめん、ぜぇぜぇ、ごめん」
それにしても、はぁはぁ、なんか勝負する前から疲れてるよ。
「兄チャマはさっきまで花穂ちゃまのに―ドロップをまともに食らって気絶してたデス。その後鈴凛ちゃまに追いかけられていたデス」
いつのまにか僕の後ろに四葉が立っていた。
「そうですか。それでは仕方ありませんわ」
春歌はそう言って自分のなぎなたを構えた。
「それでは、尋常に勝負です、兄君さま」
「ちょっと待って、春歌」
僕はとりあえず四葉について気になっていることがあったので、春歌に緊急停止をしてもらった。
「あのさ四葉」
「なんデスか兄ちゃま?」
「そこまで知ってるんだったら、何で鈴凛を止めてくれなかったの?」
「止めようと思ったらメカ鈴凛ちゃまに止められたデス。なんでも鈴凛ちゃまの日頃の鬱憤を誰かにはらしたいって言ってたデス」
てことは僕は憂さ晴らしのためだけに追い掛け回されたのか?
「あー、すっきりした―」
そんな事を思っていたら、鈴凛が花穂とメカ鈴凛ちゃんを連れてやってきた。
この時点で僕は今月の援助はしないと心に決めた。
「まだですか、兄君さま?」
あ、すっかり忘れていた。よく考えたら僕は今春歌と勝負することになっていたんだった。
「そういえば、僕の得物はどこにあるんだい?」
「それでしたら兄君さまの真後ろにあるもののうち、どれでも好きなものを使ってください」
僕は春歌に言われて後ろを向いた。
ちなみにこのときすでに四葉はいなかった。他の妹達がいる場所で観戦していた。
まあそれはそれとして、僕はとりあえず得物をとって春歌のほうに向きなおした。
「兄チャマ、リストバンドはとらないんデスか?」
「リストバンド?」
「四葉のチェキによると、兄チャマが練習しているときはリストバンドをとっているデス」
まずい。さすがは四葉。見てたのか。って別に気にすることないよな。
四葉や他の妹達がこのリストバンドの秘密を知ってるわけじゃないんだから。
それにたいした理由じゃないし。
「え、ああ、別に気分の問題だけだから」
「そうですか。何だ、四葉の推理は失敗デスか。四葉はてっきり兄チャマの力はリストバンドで封印してるもんだと思ってデス」
僕は孫悟空か浦飯勇助か? まあ確かにリストバンドとってやったほうがつけてやるより気分が違って動きも違ってくるけどさ。
「それではいきます!」
春歌が木製のなぎなたを構えた。僕もつられて木刀を構える。
「がんばってね、春歌ちゃん」
「春歌たま、負けちゃやだよ」
なぜか春歌のほうばかりみんなは応援している。
うう、なんだか寂しい(涙)。
「はぁ!!」
僕が木刀を構えつつ気落ちしていたら春歌が動いた。
十分とっていた間合いがいっきに詰められた。
前回同様、春歌はなぎなたの柄の上端部分と中央部分を持っている。
得意の接近技で一気に攻めきる作戦なんだろう。
彼女の第一閃は右真横から僕の左脇腹を狙っての攻撃。
これは彼女が最初の一撃にする基本的な技の1つだ。
僕は春歌の攻撃をよんで真後ろに一歩後ずさりして第一閃をよける。
だがここで気を抜いてはいけない。っと言うのも
「はぁ!!」
掛け声と共に春歌は右足を軸に半回転するように左足を前に出す。そしてその足の動きと連動するように、今度は柄で僕の右脇腹を狙ってくる。
この動きは彼女が得意とする第一撃目からの連続技だ。
僕はこう解説しているぐらいだから、この動きも予想していた。
まあだからこそ第一撃目は後ろに下がってよけたんだけどね。
僕はこの春歌の二撃目を受けるためにも、左手に持ってる木刀の剣先を下にして右のほうに持っていって防御をしようとしたんだ
だけど……
つるっ!
「えっ!!」
どうやら僕はぬれた落ち葉の上に右足を載せていたみたい。
右足が僕の意思とは関係なく少し前に動いた。
もちろんこの動きに僕は予期していたわけではないのでバランスを崩してしまった。
今の状況を客観的に見てみると、バランスを崩して右斜め下方向に傾いてる兄の右肩に春歌の柄が向かっている。
もちろん数秒後には
バシッ!!
「くっ!」
……客観的に解説してる場合じゃないね……。マジ痛い(TT)。
だけど僕はここで倒れるわけにはいかない。
「兄君さま、覚悟!!」
そう、まだ春歌の攻撃は終わっていないのだ。
って言うのも、第一撃からの春歌のあの技は基本的に三撃技。
右斜め上から来る第三撃が最後に来るだけあって威力が一番ある。
これは絶対にくらうわけにはいかない。
僕は右肩の痛みも一時的に忘れて何とか中腰になって真後ろに必死に飛び、春歌の三撃目をよけた。
だけど着地に失敗して尻餅をついちゃった。
「うぅ、い、痛い」
右肩は痛いし、尻餅はついてお尻は痛いし、みんなに尻餅を付いたところを見られるし。
うぅ、恥ずかしい(;;)
「春歌たま、つよ〜い」
僕が何とか立ち上がったとき、不意に観客席から春歌を褒め称えるヒナの声が聞こえてきた。
「春歌ちゃま、がんばって!花穂ちゃんと応援してるから!」
いつもは僕を応援するからって言ってる花穂が、今日はなぜか春歌だけ応援してる。
うぅ〜、昨日みんなに僕が土曜日の朝やってることがばれて、やっぱりみんな僕のことが嫌いになったのかなぁ。
その後も僕は春歌の攻撃を何とかよけたりしてるんだけど、なぜか時々足を滑らせたりしてバランスを崩し、いくらかのダメージを受けてしまっている。
「春歌、負けちゃだめよ。なんてったってお兄様との熱い夜がかかってるんだからね」
春歌と勝負をし始めてから数十分後、咲耶が急にそんな事を言った。
ってちょっと待って。
何今の「お兄様との熱い夜がかかっている」という言葉は?
「ねえ、春歌」
「なんですか兄君さま。もう降参ですか?」
いや、さっきまではそれでもよかったんでうすけどね、と心で思いつつ
「さっきの咲耶の言ったことはどういうことだ?」
「あら、ワタクシ兄君さまにお話しませんでしたか?」
「だからなにを?」
そう言ったら春歌は段幕のほうを指差した。
だから僕もそっちを見たんだけど、いきなり驚いたよ。
段幕には「春歌が勝てばみんなが兄と1人ずつ夜をすごせるぞ杯」と書いてあった。
「……春歌さん、あれはどういうことですかな?」
僕は一様いつもどおりの調子で聞いてみた。
もっとも、顔はかなり引きずっていたかもしれないが。
「読んで字のごとくですわ、兄君さま」
にっこり笑って春歌は答える。
「誰の許可を得たんだい?」
「ワタクシはてっきり兄君様にはもうお話したと思っていましたから」
いや、してないって言うか少なくとも僕は聞いていない。
それに例え聞いていたとしても絶対に許可することはない。
「覚悟してくださいませ、兄君さま。あれがかかっているいじょう、ワタクシは負けるわけにはいきませんわ。勝って兄君さまと契りを、ポォ!」
いや、かってに腰をくねらせて話を進めないでください、って言うか、もしかしてあれはもう決定事項なの?
一応みんなも見てみよう。
そう思って観客席らしき場所を見る。
そしたらやっぱり
「春歌ちゃんがんばって!」
とか
「おねえたまがんばれ!」
とか
「兄上様、ここはいさぎよくお負けになってください」
とか
「お兄様、早くわたくのもとにいらしゃい」
とか
「兄チャマの負ける姿をチェキデス」
とか……以下省略
どうやらルールを変えることは不可能らしい。
やばい。やばすぎる。これじゃ負けられないじゃん!
「それではいきますわよ」
まだ作戦考えてる最中に試合続行(T〇T)?!
こうなったらとりあえずリストバンドはとって士気は上げて闘わないといけないかな。
でもあれとったらめちゃくちゃ好戦的な性格になるんだよな、って考えてるひまないし!
「はぁ――!」
すでに春歌がなぎなたを僕の頭に振りかぶってるし。
「くぅっ」
僕は何とかそれをよけたけど
「甘いですわ、兄君さま」
そう言う春歌のなぎなたの柄が右肩をかすめる。
「兄君さま、先ほどから手を抜かれておられるのですか?この前勝負したときはもっと軽やかな動きでしたわ」
そうは言われても、考え如しながら闘えるほど僕はすごくないんだから。
「前回は武器がどうのこうのとおっしゃってましたが、今回は同じ木製品。これならこの前のように刃の部分を切り落とすなんて無理ですわ」
オーマイゴ―――ッド!
めちゃくちゃデンジャラスやないですか。
状況がやばすぎ。
どう考えてももう逃げれないし、負けたらやばいし。
かといって勝つのも容易じゃないし。
とりあえずリストバンドは外しておこう。
「おお、兄チャマがリストバンドをとったデス。やっぱり本気になったらあれを取るんデスね」
「いや、だから気分の問題だって」
ホントに僕はそう思ってるんだから。
「兄くん・・・」
千影が何か言いたそうに僕に話し掛けてきた。もちろん観客席から。
「なんだい?」
なんだかよくわかんないけど、リストバンドを外したら急に肩の痛みとかもなくなって、余裕ができたみたいだ。
千影の不自然に出された言葉にも僕は先ほどまでとは違って軽い感じで反応できた。
「兄君さま!敵を前にして横を向くとは。すきを作りすぎですわ!」
春歌が突進してくるのが見えた。
でもなんだかさっきと違った気分の僕は特にそれに対しておそれることもなく
「千影、話は後にしてくれるか」
僕はそう言って春歌のほうを向いた。
彼女はもうすでになぎなたを横一文字に振っている。
僕は僕の左のほうからくるそのなぎなたを左手に持っている木刀で押さえ込み、右手で彼女の左肩を殴った。
「くぅっ」
春歌の顔が一瞬苦痛にゆがみ、なぎなたを持っている右手も少し力が抜けたようだ。
その瞬間に僕は彼女のなぎなたに木刀をかなりの力を入れて当てた。
「あぁ」
案の定、彼女はなぎなたを落としてしまった。
「これでおしまい」
僕はその状態で静止している春歌に言って、先ほどとっさに地面に落としたリストバンドを拾い、腕にそれをはめる。
観客の妹達は静まり返っていた。
いつものドジな僕からは想像もできない動きをしたと自分でも思っているから。
とりあえず僕はその場を離れようとしたんだが
「逃がさないわよ、お兄様」
なぜか咲耶と他の妹たちが僕の周りを囲んでいる。
「えーッと、みんな、何のつもりかな?」
「お兄様、勝負は3回って書いてあるわよ」
咲耶に言われて段幕を見る。
そこには今まさにとってつけましたっというような感じで「勝負は3回」と書いてあった。
もちろんさっき見たときはそんなものは書いてなかった。
「それは・・・兄くんの気のせいだよ・・・」
千影はまた僕の心を呼んでくれたらしい。
しゃべらなくてもわかるというのは便利だけど、かなり怖いからやめてほしい。
「それは・・・無理だね・・・」
……別に回答を求めてたわけじゃないのだけど……
「にいさま、ルールを守らずここで逃げるなんて事はしないでほしいですの」
ッていうか、そのルールは誰が決めてるんだよ!!
「兄や・・・逃げないで・・・グスン」
って僕は逃げてるの?!
それにその顔で言われたらなんだか僕が罪悪感にさいなまされる。
「皆様、おやめください」
そんなときに春歌がみんなをいさめてくれた。
「今回もワタクシの完敗です」
春歌が敗北宣言したってことは、僕の勝ちは決定したんだよね。
「それではお約束どおりワタクシを自由にやってください」
その言葉のすぐ後、他の妹達から僕に向かって殺気が発せられたのは言うまでもない。
「ちょっと待ってよ春歌!何その約束どおりって言うのは!」
「え、今日ばかりでなく明日もあさっても夜部屋にこいだなんてポォ、ポォ、ポォ!」
話がかみ合っていない。
春歌は無意味に腰をくねらせてるし、先ほど以上に周りから殺気を感じるようになった。
もちろん僕は逃げたかったけど、周りをみんなに囲まれてそんなことはできない。
そして
「お兄様、LOVEよ♥」
それを掛け声にみんなが襲ってきた。
手にいろいろ持って。
あるものは分厚い本、あるものは鍋、あるものは肥料を入れた袋、あるものはスパナ―などなど……
このまま逝くのかなと思ってたら、急に当たりが真っ白になった。
そしてそのまま意識ももうろうとしていって、僕は眠ったと思う。
案外これが死というのかもな、などとちょっと思いながら。
堕天使シュベルトさんへの感想はこのアドレスへ
deathgod4@hotmail.com
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