「兄くん・・・」
おお、ここはまたしてもあのお花畑。
確か今日2回目だよ。まあ僕にとってそれが多いのか少ないのかはわからないけど。
「・・・兄くん・・・」
なんだかここの居心地はいいな。
現実の世界だと生傷が絶えないからね。
あれ、あっちに扉が見える。
「兄くん・・・もうそろそろ戻らないと・・・」
なんだかさっきから呼ばれてる気がするけど、気のせいかな。
「いろんな実験・・・するよ・・・」
実験?今実験って聞こえなかったかな?!
「それじゃ・・・手始めに・・・生贄召喚の」
「うわぁー――!!」
僕はとっさに目を覚ました。
あのままあの世界にいつづけてもよかったけど、多分一生現実世界に戻れなくなるという予感が僕はした。
ちなみにいい事に関しては全く予感することさえできないのに、嫌な予感に関してだけ僕の場合たいていあたる。
今回も例外ではなかったらしい。
目を覚ました僕は何かの魔方陣の上にねかされていた。
近くに火の灯ったろうそくの置いてある祭壇も見えた。その先にはもちろん
「ごきげんよう・・・兄くん・・・」
千影がいつもと変わらずいた。
「やあ千影。今何をしようとしていたのかな?」
「聞きたいのかい・・・兄くん・・・?」
どこか寒さを感じる千影の言葉に
「い、いや、遠慮させてもらうよ」
というのが精一杯だった。なんだか情けない……。
「それじゃ僕はこれで」
危機感を先ほどから嫌というほど感じている僕は早くみんなのいる所に行こうと出口を探したが
「ない……」
ドアが見つからない、というより壁が見当たらない。
「あの千影さん?」
なぜか丁寧な口調で千影に聞いてしまったのは気のせいだ。
「ドアが見当たらないんですが、どうやったらここから脱出、いや出ることができるのでしょうか?」
「ここは・・・私が作り出した空間だよ・・・」
「だから出口はどこに」
「ここは・・・私が作った空間なんだよ・・・兄くん・・・」
僕はそれ以上聞くことに恐怖を覚えた。
千影、召喚魔術じゃ空き足らず、とうとう空間まで作り出すほどまでにいたってしまったのか?!
僕は、僕は君をそんなふうに育てた覚えはないぞ!!
「奇遇だね・・・私も・・・兄くんにそんなふうに育てられた覚えはないよ・・・」
また心を読まれた・・・。こういうのを読心術というんだろうなぁ。
「そんなことよりも・・・私が兄くんとここにいるのには・・・わけがあるんだよ・・・」
まあ意味もなくこんな空間は創らないだろうけど。
っていうか心を読むことはそんなことなんて言葉で済ませられるほどのことじゃないだろ?
「私との・・・既成事実を・・・」
何でいきなりそんな話をするねん?!
ってなぜか大阪弁の口調になっちゃった。
「その話は・・・また後日するとして・・・」
ちなみにその話の「その」とはなんですか?僕が急に大阪弁口調になったことのことですか?
「もちろん・・・私との・・・既成事実の件だよ・・・」
……そっちの話はもういいですよ……
「まあ・・・その話よりも重要な事を・・・兄くんに話さなくてはいけないんだよ」
僕の心の声は無視ですか?というより、1人だけでしゃべっててさびしくないかい千影?
「私には・・・兄くんの声が・・・耳から聞こえてるように聞こえるから・・・別に気にすることはないよ・・・」
そ、そうですか・・・。もはやなんとも言いがたいですなぁ。
「それでは・・・本題に戻るよ・・・」
まあ、なんだな。こんな状況で会話(?)してて特に驚くことはないだろうな。
「ふふふ・・・それはどうかな・・・兄くん・・・」
……やめて下さい千影さん。その笑い方。怖いを通り越してもう心で思うこともできません。
「やっぱり・・・生贄になるかい・・・兄くん・・・?」
遠慮しときます。
それにしてもよく顔色1つ変えることなく言えるね、千影。
「それでは・・・本題に戻ろう・・・」
それさっきも言ったよ千影。
「兄くん・・・君には・・・神の魂が宿っている・・・」
露骨に僕の言ったことは無視ですかって
「何ですと?!」
あまりに千影の言うことに驚いて、せっかくこの傍から見たら会話になっていない会話を楽しんでいたのに。しゃべってしまっては僕の負けではないか。
「・・・遊んでいたのかい・・・兄くん・・・」
え、いや、別にそう言うわけではありませんよ。今思ったのは単に今思ったわけでして。
「まあ今度実験に・・・協力してくれるというのであれば・・・許してあげよう・・・」
……それは勘弁してほしい
「それが無理なら・・・今すぐ生贄に」
今度ね、今度・・・。
そんなことよりなんだよ、僕に神の魂が宿っているって言うのは。
「そうだね・・・。ここからは・・・他の妹達といっしょに話したほうがいいだろうね・・・」
千影がそう言ったら僕達は家の広間に戻っていた。
作者 堕天使シュベルトさん
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「おにいたま」
「あにぃ、怪我はない?」
「兄ちゃまの生還した姿をチェキデス」
「ご無事で何よりですわ、兄上様」
「本当に心配したんですよ。起きたら兄君さまと千影ちゃんのお2人だけがおりませんでしたから」
「兄や・・・亞里亞ぐるぐるです」
「心配させないでよね、アニキ」
「ご無事でよかったです、アニキ様」
「姫、にいさまが帰ってきたらお腹減らしてると思って料理を作っておきましたの」
「よかった。お兄ちゃまが帰ってきて。花穂、あのまま捨てられたのかと思ったよ」
「ホント心配したのよ、お兄様」
みんなが周りにいる。
どうやらみんなに僕が襲い掛かろうとしたときに千影がみんなを眠らせたようだ。
そして僕をあの変な空間に連れて行ったんだろうな。
「ああ、大丈夫だよ。ありがとう、心配してくれて」
僕はみんなを見わたしてそういった。
でも確か、あのままいったら本当に僕は返らぬままの人になってると思うけど。
まあみんな心配してくれたから言わないでおこう。
「それにしても千影!」
咲耶が千影に近づいていったよ。
おいおい、何を言う気だ?
「お兄様とどこに行ってたの」
「ちょっと・・・調べたいことが・・・あってね・・・」
千影はすごい剣幕の咲耶に驚くことなく、いつもの態度で答えてる。
さすがは千影。伊達にいろいろ召喚してないな。
「まさか! お、お兄様のあれを調べてたなんて事をしてたんじゃ」
急に咲耶が声を小さくして言ってる。なんか顔も微妙に赤いぞ。
「あれとは何なんだい・・・咲耶くん・・・?」
「だから、その、あれよ、あれ」
咲耶はそう言って僕のほうを見た。
いや、正確には僕のある物を見ていたわけだけど
「こ、今回は・・・それを・・・調べてた・・・わけじゃ・・・ない・・・///」
千影は顔を真っ赤にさせて言ってる。っておい!
「咲耶! 何でそう言うことしか考えないんだ!」
「だって、私がお兄様の事を調べるとなると、そこしか思いつかないから」
咲耶が腰をくねらせて言った。
周りを見たら過半数が顔を赤くしてる。
というかどうやら咲耶の言った意味がわかっていないのは亞里亞とヒナだけみたい。
「ねえねえ、咲耶たまが言ったあれって何?」
ヒナが亞里亞を引きつれて花穂に聞いている。
「え、そ、その、あれって言うのはね」
「ああ、わかってない者にわざわざ教えるな!!」
はぁはぁ、珍しく怒鳴ってしまったよ。
でも怒鳴った効果はなかったみたい。
「そっか。あれっておにいたまのゾウさんのことなんだ〜」
わざわざしゃがんで雛子と亞里亞の耳もとに花穂はささやくように教えたらしい。
そこまでして教えないでよ
「ところで・・・みんな・・・」
千影、まだ顔赤いぞ。
「兄くんの・・・強さの秘密を・・・知りたくないかい・・・?」
そうそう、僕もそれを聞きたいんだよ。
なのにここに戻ってきて早々あれだから。
「兄ちゃまのことは全部チェキするデス」
予想通り四葉が最初に反応した。って四葉もまだ顔赤いぞ、おい。
「ワタクシも兄君さまの強さの秘密を知りたいです。そして兄君さまを追い抜いて夜のお勤めを、ポォ!」
しなくていいし、顔から湯気立ってるよ、春歌。
なんて思ってたらみんな知りたいと言ってきたよ。
物好きといえなくもないよなぁ、僕の秘密を知りたいなんて。
っていうか、全員知ったらもう秘密でもなんでもないじゃん。
「兄くんには・・・」
ちょっと待ってよ千影。お前僕の心の声が聞こえるんだろ。ちょっとは僕の心の声の言い分も聞いてくれよ。
「神の魂が・・・宿っている・・・」
露骨に無視ですか・・・。
まあ今にはじまったわけじゃないからいいけどさ。
それに、遅かれ早かれ四葉にそのうちチェキされたみんなにばれるだろうし。そのときに裏金が動くよりはかなりましだし。
「おお、兄ちゃまが神なんですか?!」
そうとれなくもないけど、そうとるのはなんだと思うよ、四葉。
「そう言うことになるね・・・」
……そうですか……って僕は神なのか?!
「ちょっと待てよ千影。僕が神ってどういうことだよ」
「これ以上聞きたかったら・・・この箱に・・・みんながある物を入れてくれないと困るな」
そう言って、千影はいつの間に持ってきたのか募金箱の大きいヴァージョンを僕達の目の前に置いた。
「これってなんですか、千影さん?」
「兄くんの心には・・・すでにわかっていると・・・でているが・・・」
こういうときだけ読心術使うな!!
って言うかさっき僕が裏金が動かなくてよかったとほっとしてたのをおまえはわかってやってるだろ!
え、絶対そうだろ!!
「兄くんの・・・好きなように考えてくれて・・・結構だよ・・・。私も・・・実験でいろいろと物入りでね・・・」
そ、そうですか・・・。
「兄ちゃまの秘密のチェキにためならば」
そう言って四葉は千円札を入れたよ。
おいおい、そこまで払う価値があるのか?自分で言うのもなんだけど。
「ワタクシも兄君さまとの夜のため、ポォ!」
湯気出しながら千円札入れるなよ、春歌。
それに秘密を知ったからってなぜ夜が関わってくる?
「そしたらその次の日は私だから」
そういいながら咲耶も千円札入れてるよ。
もしかしてあの勝負のルールは変わる事はないのか、一生……
とか思ってたら、やっぱりみんなお金入れていったよ。
まあ金額はまちまちだったけど。
それにしても今あの箱には一万近くは言ってるんだろうな。
なんか鈴凛がほしそうな目で箱見てるぞ。
そういえばメカ鈴凛ちゃんもお金入れてたなぁ。
「どうするんだい・・・兄くん・・・」
のこすは僕1人。自分の知らない秘密をしれるんだから、千円だったらまあいいかな。
でも、やっぱ自分の秘密のためにお金を入れるってなんか複雑な気分になるな。
そんなことを思いながら千円札を入れよと思ったら
「兄くん・・・額が違うよ・・・」
なんて千影が言ってきたよ。何のことかと思ってたら
「箱をよく見てごらん・・・」
仕方なしに箱を見たら、「兄くんは1万円」なんて書いてたよ。
一応僕は目をこすってもう一度見てみたよ。
万って漢字が千と読み間違えたのかもというはかない夢を持って。
結果は無駄な足掻きをしただけだったけど……
「何で僕だけ1万なんだよ、千影」
「それは・・・兄くんの秘密を言うのだから・・・あたりまえじゃないか・・・」
何だこのわけのわからない気迫は。
ここで払わなかったらなぜか後が怖い。
自分の秘密のことなのに、なんでこう恐怖を感じるんだ?
もしかして知っておかないとこれからますます千影の生贄にされるというのか?!(混乱中)
ああ、わかった、わかったぞ!
「ほらよ」
なぜか僕は万札を箱に入れてしまった。
いったい今なにがどうなったんだ?
もしかして心を操られた?!
「察しがいいね・・・兄くん・・・」
本当にですか?!?!
読心術だけじゃ物足りなくなって心も操れるようになったんですか?!
「では話そう・・・兄くんの秘密を・・・」
やはりここでも僕の心の声は完全無視ですか。兄、悲しいの・・・グスン。
「兄くんは・・・その昔の・・・魔界の神なのだよ・・・」
え?! 魔界の神? 現実世界の神じゃなかったのかい?!
「ここで過半数の者が・・・現実世界の神じゃないのかという事を思っているようだが・・・私は・・・一言もそんな事を言った覚えはないよ・・・」
さすがは千影。しゃべらなくてもみんなの疑問に答えてくれる。頼もしすぎす。
・・・いや、不気味すぎるの間違いだな。
「失礼だな・・・兄くん・・・」
Oh―――No―――!聞こえていたのですね千影様!
「可憐くんの・・・質問だが・・・」
って言うか、声だして質問しようよ。
「闘神アレスという・・・魔界の戦いの神だ・・・」
・・・可憐の質問内容がわかりませんが。
「ちなみに・・・・可憐くんの質問は・・・「お兄ちゃんはなんて名前の神様なの」だよ・・・」
そんなめんどい解説するよりしゃべってしたほうが楽だろ。
「では・・次の」
「ちょっと待て」
「意見があるなら・・・心で私に言ってくれれば・・・いいんだが」
「千影だけじゃなくてみんなにあるんだよ」
僕はそう言ってみんなを見ていった。
「何でみんな黙って聞いてるんだよ?聞きにくいと思わないのか?」
「でも、千影ちゃんはちゃんと答えてくれるよ」
「そうだよ。それにこの方が楽だし」
みんな頷いてるよ。
おいおい、家にはまともなのがいないのか?
「四葉は兄チャマの意見に賛成デス」
おお、四葉!お前だけだよ。僕のことがわかってくれるのは(嬉涙)。
「みんな黙ってたら四葉の読唇術が使えないデス」
……そっちかい。
って言うか、こんな近くにいてたら読唇術で何言ってるか見るより、聞いたほうが早くないと思わないか、四葉。
「と、とりあえず普通にしゃべろうよ。そのほうが僕はうれしいな」
案の定みんな僕の意見に賛成するようになった。
なんか卑怯な手を使った気がするがまあよしとしよう。
「では・・・話を戻そうか・・・」
「そうだった。それで、その僕が神だって言うのは本当か?」
「・・・本当だよ」
そんなあっさりといってくれてうれしいよ僕は(棒読み)。
「あのリストバンドは何か関係してたデスか?」
「名探偵の・・・予想通りだったよ・・・」
おお、四葉の予想があたっただって?!それは四葉に何かご褒美をあげなくては。
「兄くん・・・四葉くんにずいぶん失礼な考えをしてるね・・・。」
NO―――!やっぱり心はまだ読んでるんだね。
「あたりまえだよ・・・兄くん・・・」
「何を考えたデスか兄ちゃま!」
デンジャラス!四葉がステッキもって睨んでるよ。こ、怖い。
「ところで・・・四葉くん・・・回答していいのかな・・・?」
「あ、いいデス」
ふぅ、助かった。サンキュウ千影。
「あのリストバンドは・・・兄君の力を封じる・・・リミッターの役割をしているのだよ・・・」
「リミッター?」
僕はそう言いながら自分の腕についてるリストバンドを見た。
ちなみに今日は赤色のを使っている。
「そう・・・あれを外していると・・・兄君が持っている魔力が抑制されず・・・兄くんの身体能力が・・・通常の兄くんの100倍以上となるんだよ・・・。その力は・・・日常生活においてはかなり危険なものだ・・・。だから・・・通常はあのリストバンドをして・・・力を抑えているのだ・・・」
ヘー。このリストバンドにそんな力があったとは。でも
「でも、僕は今までそんな話は知らないし、このリストバンドしてるのもしないと気分が好戦的になるからという理由と、確か父さんと母さんとの約束したからしてるんであって」
「そう・・・リストバンドは能力の向上の抑制に加え・・・好戦的になる心も抑えているんだよ・・・。私の調べたところによると・・・闘神アレスは通常は友好的だったらしいが・・・戦いになるとそれまでとは全く別人のような・・・好戦的な性格になったらしい・・・」
「なるほどなるほど。これはチェキデス」
四葉はそう言いながら手帳にメモってる。メモる必要ってあるのかなぁ?
「ですからワタクシとの戦いのときもいつもと違う感じの兄君さまを見ることができたんですね」
なんだかうれしそうに言ってるけど、それはいいことなのか、春歌?
「そういうことになるね、春歌くん、兄くん」
って僕の疑問にもその答えでいいのかい……
「でもでも、お兄ちゃんはお父さんとお母さんとの約束もあるからしてるんじゃないんですか?」
ナイスな質問だよ可憐。
そう、僕は父さんと母さんに「日常生活ではこれをしといたほうがいいよ」って小さい時にリストバンド7つを渡されたんだ。それが今も続いてつけているっていうのは大きな理由の一つだぞ、千影。
って可憐、君は千影のさっきの答えには何の疑問も持たないのかい?
「多分・・・私たちの父さんと母さんは・・・兄くんの秘密を知っているはずだ・・・」
なるほどなるほど。・・・あの2人は知ってて黙ってたのか・・・。
ってちゃんと教えろよな!
「兄チャマの秘密をダディーとマミーに先に知られていたのデスか?!ショックデス!」
おい、なぜショックなんだ?
「仕方がないよ・・・四葉くん・・・。彼らは・・・兄くんが生まれる前からその事を知っていたはずだから・・・」
自分の親を彼らで終わらせるのはなんだと思うよ、千影。
「知っていたってどういうことよ、千影」
「知らなければ・・・あのリストバンドは・・・作れない・・・」
そう言って千影は僕の腕につけてるリストバンドを指差す。
「さっきも言ったが・・・このリストバンドはリミッターの役割を果たしている・・・。しかし・・・それを作るには・・・何者かの意思が彼らに伝わっていないと・・・作れるものじゃない・・・。多分・・・闘神アレス自身が・・・母さんの体内に入る前に彼らに直接渡したか・・・指導して・・・作らせたのだろう・・・」
『ふぅ――ん』
「他に・・・何か質問はあるかい・・・?」
「リストバンドしていないと兄チャマの持ってる魔力が抑えられなくって身体能力があがるってどういうことデスか?」
「・・・説明不足だったね・・・」
千影は一息ついてからまた僕について説明しだしてくれた。
「リストバンドをしているときの兄くんの体は・・・通常の人間の構成と基本的に変わりない・・・。この状態で・・・通常の100倍以上の力が出せるようになると・・・兄くんの体はどうなるか・・・」
「力に耐え切れなくって体が壊れてしまいますわ」
千影の言葉を聞いて春歌が間髪いれずに答えた。
「そう・・・そのため・・・兄くんは力を発揮する時は・・・魔力を解放させ・・・体の大半を魔力で構成をしなおすんだよ・・・。魔力で構成された体は・・・防御力・・・耐久力・・・強度等々・・・人間の体とは比較にならないほどの能力を持っているのだよ・・・」
なるほどなるほど。だからリストバンドを取った後は体の傷がいえてるんだ。
「そう・・・魔力が瞬時に体を構成しなおすから・・・からだの傷などが治っているんだよ・・・兄くん・・・」
……また声に出してなかったことに関して千影が反応してくれたよ……(;;)
「それじゃ、リストバンドを取っているときのお兄様は、全く人間とは違うってこと?」
「いや・・・そういうわけではないよ・・・咲耶くん・・・。確かに体の構成の大部分は・・・魔力になるが・・・今の兄くんでは・・・体を完全に魔力で構成することはできないんだよ・・・」
なるほど。
「他にはあのリストバンドに謎はないの?」
「ああ・・・言うのを忘れていたよ・・・」
なんだ、リストバンドには他にも秘密があるのか?
「リストバンドには・・・魔力を抑える効果・・・そして特殊能力を与える効果・・・その2つの効果が・・・あるんだよ。」
「魔力を抑える効果と特殊能力を与える効果?」
「そう・・・兄くんの魔力は・・・体を構成するだけのためにあるんじゃないんだよ・・・。文献によると・・・闘神アレスは・・・魔界の炎を操る能力を持っていたらしい・・・。魔界の炎を操るとなると・・・相当な魔力を持っていると考えられる・・・。現に・・・兄くんがリストバンドを外しているときは・・・兄くんをこれで操れなかったよ・・・」
そう言って千影は懐から藁人形を出したよ。
・・・もしかして操って負けにしようとしてたのか?
「それでは特殊能力というのはなんですか?」
そういえば、なぜみんながさも当然のように僕に代わって質問してるんだ?
「あのリストバンドでは・・・兄くんの魔力は・・・100分の1程度にまでに押さえ込むのが限界なんだよ・・・」
「100分の1で限界って、かなりおさえてるんじゃないの」
そうそう、僕もそう思うぞ、咲耶。
「確かに・・・そう・・・聞こえるかもしれない・・・。しかし・・・リストバンドをしている・・・今の兄くんでも・・・実は・・・ある程度魔力を発揮できる・・・。そして・・・その魔力によって・・・並みの人間の10倍の身体能力を・・・発揮することが兄くんにはできるだよ・・・」
おお、みんな僕を見てるよ。もちろん、疑わしい目で。
自分自身でも怪しいと思うし。
僕が並みの人間の10倍なわけないじゃん。
僕が10倍なら、咲耶と春歌は20倍、衛にいたっては30倍はあるだろ。
「まあ・・・みんなが疑う気持ちはわかるよ・・・。なぜなら・・・特殊能力によって・・・それが明るみにならないようになっているからね・・・」
「なんデスか、その特殊能力というのは?」
「ふふふ・・・それは・・・」
千影独特のあの笑い方。ちょっとやめてほしいものだけど、今はそんな事を言ってるときじゃない。なんせ自分の秘密だし、1万払ったんだし。
『それは』
みんなが声を合わせて言ってから少し間をおいて
「花穂くんが持っている能力と・・・同じだよ・・・」
っと千影が静かに言った。
一瞬みんな黙り込んだけど、次の瞬間に
『ドジ』
って言ってしまったよ。
「ふぇ〜ん。みんなひどいよ〜。花穂が気にしてることハモっていうなんて〜」
ハモらなければよかったのかなぁ。
「それに、お兄ちゃんは言わないって信じてたのに〜」
「ごめんごめん、花穂」
僕は涙声で言ってくる花穂をいさめるためにも、そう言って頭を撫でてやった。
そしたらすぐに落ち着いたみたい。
でも、なんだか周りの視線が痛すぎる。
春歌はなぎなた(鉄製)を構えてるし、白雪は包丁持ってるし・・・危ないからもうやめておこう。
とりあえず花穂の機嫌も直ったみたいだし。
「それで、僕には特殊能力『ドジ』がついてるのか?」
「そう言うことだよ・・・。ちなみに・・・ドジのレベルは・・・花穂くん並だよ・・・」
それはどれくらいなんでしょうね。
「ちなみに・・・花穂くんのドジレベルは・・・世界でも・・・トップ5にははいる・・・レベルだよ・・・」
そこまですごかったのか、花穂のドジは……
「ねえ千影ちゃま、それは花穂喜んでいいの?」
喜んだらだめだろ、花穂。
「ある意味すごいよ・・・。世界でも・・・五本の指に入る能力を・・・持っているんだから・・・」
「そっか」
物は言い様だな。
でも花穂、頼むから納得はしないでくれよ。
ん? 待てよ。
「って事は、僕もかなりレアな人間になるのか?」
「もちろん・・・そういうことになるね・・・」
喜べねー。
そうか、今日の朝に階段から落ちたのも、花穂のニードロップで死にかけたのも、鈴凛に追い掛け回されたのも、春歌に勝負を挑まれてめちゃくちゃ攻撃を受けてしまったのも、全部この特殊能力のせいだったのか。
「そういうことだよ・・・兄くん・・・。特に重要な場面で・・・その能力は・・・最大限に発揮される・・・」
だめだめじゃん。それじゃ千影にその特殊能力を
「それはできないよ・・・兄くん・・・」
「ちょっと待て千影。まだ僕は思ってもいなかったじゃないか」
「その特殊能力があるから・・・兄くんを・・・うまく生贄の材料にしたりできるんだよ・・・」
……おいおい……
「そうだったのね。お兄様の秘密は奥深いわ」
「でも花穂はうれしい。だってやっぱり花穂とお兄ちゃまはドジでつながってるんだもん。」
僕としてはそう言うつながり方はかなりいやなんだけど。
「ドジなアニキだから簡単に援助してもらえるんだね」
悪かったな。
って言うかそれと援助はどうつながるんだ?
「ドジな兄チャマのほうがチェキしがいがあるデス」
って事はドジじゃなきゃチェキはしないのかな。
「でもドジじゃない兄チャマももちろんチェキするデス」
そうですか・・・。
みんな口々にいろんな事を言ってくれるよ。
結局今回わかったのは、通常僕はドジって事か……。
これからの生活になぜか不安を感じてしまうのは僕だけ?
あとがき
「兄の秘密」の続編となる「兄の正体」。いかがでしたでしょうか。
今回の話で兄が強い理由がいくらかわかったと思われます。つまり、彼は「生粋の人間」ではないという設定なんですね。
この新事実をもとに、彼はこれからどうなっていくのか、長い目で見守っていただけると嬉しいです。では唐突ですが、花穂のお兄ちゃまの方々、ごめんないさm(__)m 花穂の設定を「世界で5本の指に入るほどのドジ能力をもった者」としてしまいました。
彼女の本当のドジレベルを知らないためにこうなってしまったわけですが、ゆるしてください。それから少し世間一般で言われるような「下ネタ」ができてしまってますね……。
あぅ〜〜〜。実は書いた当初も恥ずかしかったです〜〜。 完全健全SSだと思われた方、ごめんなさいm(__)mでは、ご意見ご感想、そして誤字脱字などを発見されましたらメールでよろしくお願いします。
それでは〜☆
堕天使シュベルトさんへの感想はこのアドレスへ
deathgod4@hotmail.com
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