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 それは、生まれた時からの絆
 それは、永遠に続く絆
 だがそれは、時に高い高い壁となる
 少女は思う
 何故こんな絆を持ってしまったのか、と

 しかしそれは、決して切れることの無い絆
 やがて少女は思うだろう
 この絆を持ててよかったと…


生まれた時からの絆〜四葉〜

作者:カッツォ


 心の中には、いつも雨が降っていた
 傘もささずに、濡れたまま
 冷たくて
 寒くて
 寂しくて
 でも、泣くこともできなくて
 ただ、震えているだけだった



「兄チャマ兄チャマ! 早く〜!」
「はいはい、わかってるよ」
 6月21日。
 四葉の誕生日である今日、兄妹は遊園地に来ていた。
 と言っても、ここに到着したのは数時間前。
 まだまだこれからといった感じの四葉に対し、兄にはそろそろ疲労の色が見え始めている。
「お疲れモードの兄チャマ、チェキデス!」
   カシャ
「うわっつ!」
 四葉に追いついた瞬間、兄を待ち受けていたのはフラッシュ攻撃。
 実は、これが疲労の一番の原因だったりする。
「いきなりフラッシュはやめようよ……」
「今日は四葉のバースデーだから、特別にチェキし放題! って言ったのは兄チャマデス!」
「まぁ、そうなんだけどさ……」
 迂闊なことは言うもんじゃないなぁ……と、新たに学ぶ兄であった。



 この雨は、いつから降っているのだろう?
 わからない……
 思い出せば、いつも雨に濡れていた
 ずっとずっと、凍えていた
 でも……



 兄が初めて四葉に会ったのは4年ほど前であるが、四葉の印象はその時からほとんど変わっていない。
 出会った当初から、妙に元気でハイテンションだったのだ。
 出会って最初の言葉は、「チェキ!」だった。
 そして、その時もいきなりのフラッシュ攻撃。
 今と、まったく変わらない。
 とても騒がしくて、元気な子。
 印象は、そんな感じ。
 だが、少しだけ気になることがあった。
 その笑顔にはどこか陰りがあるような気がした。
 周りの誰も……あるいは、本人さえも気付いていなかったかもしれない。
 ただ、何となく自分と同じ匂いのようなものを感じた。



 心の中に、今も雨は降り続く
 でも、今はもう濡れていない
 暖かい
 笑っている
 どうして?
 ……あぁ、そうか……



「わぁ! 兄チャマ、凄いデス!」
「あぁ、そうだね」
 そろそろ日も暮れ始めた頃、2人は観覧車に乗ることにした。
 四葉は、そこから見える風景に素直に感嘆の声を上げている。
 兄としても、座れることは非常にありがたかったり。
「兄チャマ兄チャマ! ほら! ほら!」
 まるで初めて乗ったかのように、窓にはりついてはしゃぐ四葉。
 兄は、そんな四葉を優しく見つめていた。
「? 兄チャマ、どうかしたんデスカ?」
 その視線に四葉も気付き、少し兄の方に向き直った。
 兄は、そのままの様子でそれに答える。
「いや、四葉が笑うようになってよかたなーって、ね」
「え? 四葉はずーっと笑ってマシタよ?」
「そうだね。四葉はそれが一番可愛いよ」
「?」
 何のことかよくわからない、といった様子で、四葉は顔にハテナを浮かべている。
 だが何を思ったか、いきなりカメラを取り出した。
「チェキ!」
「おわっ!」
 やはりいきなりのフラッシュ攻撃に、思わずのけぞる兄。
 それを見て、四葉はコロコロと笑う。
 そこには、もう何の陰もない。
 あの頃から、変わらず純粋で。
 あの頃よりも、さらに眩しくなった笑顔。
 そんな四葉に、兄も優しく微笑んでいた。



 雨は、今もやんでいないけど
 あの人が、傘を差し出してくれたから
 優しく抱きしめてくれたから
 だから今、笑っていられるんだ……
 雨は、もうやまないのかもしれないけれど
 あの人がいれば……
 きっと、ずっと笑っていられる
 だから……



「ありがとう、兄チャマ!」
「ん? あぁ、またいっしょに行こうね。誕生日おめでとう、四葉」  
 
 
 
 
 
 
 

あとがき

 どうも、カッツォです。
 BDSS一発目です(ホントは3番目に書いたんですけどね)
 一応これが正規の(?)BDSSとなるわけですが、ぶっちゃけ一番の不作です(死)
 どうにも、シリーズに合うようなのが作れなかったもんで……
 まぁとにかく、残りのSSも読んでやってくださいね。
 え〜っと、とりあえず(いろんなことで)ごめんなさい。
 感想はもちろん、てめぇふざけんじゃねぇ! というものまで、何でもいいので送っていただければ幸いです。



カッツォへの感想はこのアドレスへ
1483sy@hkg.odn.ne.jp

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