作者:カッツォ
「ふぅ……」
俺は緊張の溜め息を吐いた。
今日は可憐のピアノの発表会。
ご多分に漏れず、聴くだけであるはずの俺の方が緊張している次第である。
「お……」
舞台脇から可憐が現れた。
その表情は、むしろ俺よりもずっと落ち着いている感じだ。
「……………………」
ペコリと礼をし、椅子に座る。
鍵盤に指を乗せ、大きく息を吸い、
「♪お兄〜ちゃんお兄ちゃん」
演奏を始めた。
「ってオイ! 弾き語りかよ! しかもなんだその歌!」
しかし、なぜか観客に反応はなし。
静寂の中、ピアノの音色と可憐の歌声、そして俺のツッコミだけが響く。
「♪お兄ちゃんは〜可憐のお兄ちゃん〜」
「勝手に変な歌作るなよ! そしてこんな場所で歌うなよ!」
「♪絶対〜無敵〜完全〜無欠〜」
「俺は普通だ!」
「♪刺しても死なない〜」
「死ぬわ!」
「♪焼いても死なない〜」
「死ぬって!」
「(ラップ)肺に穴空け困難、両手両足腱切り束縛、耳削ぎ目潰し舌を切り、熱油かけてもシ・ナ・ナ・イ!」
「だから死ぬし! 殺し方具体的でマニアックな上グロいし! そしてなにゆえいきなりラップ調!?」
「♪胸に〜7つの〜傷が〜ある〜」
「ねぇよ! 一子相伝の暗殺拳とか受け継いでないし!」
「♪愛とサボテンだけが友達さ〜」
「ちゃんとした友達もいるわ!」
「♪理系なのに国語が〜一番得意〜そして理科が苦手〜」
「そりゃ作者だ!」
「♪今更米米CLUBにハマってる〜〜」
「それも作者!」
「♪宝物〜は空蝉コレクション」
「どんなマニアだよ!」
「♪携帯の待ち〜受け画面〜は〜〜〜せがた三四郎」
「古っ!」
「♪パソコンの〜壁紙は〜〜〜シーマン」
「起動した瞬間テンション下がるわ!」
「♪主な栄養源は〜アリナミン〜V〜」
「健康に悪っ!」
「♪年中カルシム不〜足」
「そりゃアリナミンじゃそうなるだろ!」
「♪実は〜M78星雲出身〜」
「変身しねぇよ! 父も母も地球人! お前と同じだ!」
「♪将〜来の夢はレントゲン技師〜」
「どうやってなるのかもわからんし!」
「♪趣味はヘソのゴマ取り〜」
「暗っ! いや、暗いのかどうかもわからんわ!」
「♪好きな料理は冷奴〜」
「すごい簡単!? っていうかそれ料理か!?」
「♪太陽光に凄く弱いの〜」
「俺は何者だよ!」
「♪『こんな○○は××だ!』(著・鉄拳)に〜感動の涙を流すようなロマンチスト〜」
「絶対その感性は間違ってるぞ!」
「♪いつ〜の日か〜世界〜中の〜カーネル人形〜の〜白髪を染めようと思ってる」
「でかい割に実のない野望だなオイ!」
「(セリフ)可憐の大好きなお兄ちゃん、お元気ですか? 可憐は最近お兄ちゃんに会えない日が続いていて、とってもとっても淋しい気持ちでいっぱいです。可憐、本当はいつだってお兄ちゃんと一緒にいたいのに、ずぅっとお兄ちゃんに会えないでいるから……。だから、ピアノのお稽古でも、毎日悲しい曲ばかり弾いてしまうの。今日はお兄ちゃん早く会えるように、マリア様にお祈りして寝ます。きっと今夜はお兄ちゃんの夢を見れるかな……。お兄ちゃん、大好き」
「長っ! しかもそれパクリだろ!」
「(セリフ)…………じつはこの間、ステキな猫のミイラを手に入れたんだが、よかったら見に来ないか?」
「それは違うキャラだ! っていうかまだ続いてたのかよ!」
「♪全国模試で〜トップだった人が〜自分と同じ志望校で〜相当ショックを〜受〜けてる〜」
「だからそれ作者だって!」
「♪好きな植物はケシ〜」
「危なっ! アヘンの原料じゃねぇか!」
「♪鳴かぬなら〜泣いて頼もうホトトギス〜」
「腰低っ!」
「♪座右の銘〜は〜『焼肉焼いても家焼くな』」
「晩餐館のCM!? 結構懐かしいし!」
「♪実は〜マギー審司のファンクラブ会員〜しかも一ケタナンバー〜」
「バラすなよ!」
「ホントなのかよ!」
「いきなりツッコミになった!?」
「♪あぁ、お兄ちゃんお兄ちゃん〜〜〜あしびきの、お兄ちゃん〜」
「なんでそんな枕詞付いてんの!?」
「♪メガネ伯爵、お兄ちゃん〜」
「そんなだいぶ高い爵位とかもらってないしね!? そもそも俺メガネかけてないし!」
「♪ツッコミマスター、お兄ちゃん〜」
「お前のせいでツッコミせざるをえないんだよ!」
「♪お〜兄ちゃんお兄〜ちゃ〜ん、お兄〜ちゃんは愉快だな〜」
「サザエさんのエンディング!?」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
ようやく演奏が終わった。
観客は全員無言、ノーリアクション。
唯一観客席で立ち、34連発のツッコミで息を切らしている俺だが、こちらに視線を向ける者すらいない。
しかし、可憐がペコリと礼をした瞬間。
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ……!!!
「うそぉ!?」
会場全体から沸き起こる、割れんばかりの拍手。
しかも全員がスタンディングオペレーション。
涙を浮かべている奴までいる。
『アンコール! アンコール!』
「ピアノの発表会なのに!?」
大きなアンコールに、可憐は照れくさそうにもう一礼し、
「じゃあ、2番を」
「あるのかよ!」
あとがき
どうも、カッツォです。
今回、久々にめちゃくちゃ短いです。
というか、昔のを含めても有数の短さです。
しかも会話(?)オンリー。
でも、私は結構こっちの方が好きだったりします。
大して面白いわけでもありませんが……(汗)
それはそうと。
とにもかくにも、これで今BDSSシリーズも終了です!
とりあえず受験終了までBDSSも書かないことにしますので、これがほとんど受験前最後のSSですね。
最後がこんなのでいいのか、って感じもしますが……
とにかく! ここまで読んでくださった皆様、どうもありがとうございました!
え〜っと、とりあえず(いろんなことで)ごめんなさい。
感想はもちろん、てめぇふざけんじゃねぇ! というものまで、何でもいいので送っていただければ幸いです……
カッツォへの感想はこのアドレスへ
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