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鈴凛、兄を招待する

作者:カッツォ


『本日、私のバースデーパーティーみたいなのに招待するよ。場所は私の部屋だから、絶対来てよね! 
   P.S.財布をお忘れなく』
 というカードが、いつの間にか部屋の戸に挟まっていた。
 当の鈴凛は、昨日から部屋に籠りっきりだ。
 しかし、なんでわざわざ自分の部屋でパーティー?
 だいたい、同じ部屋に住んでんのに招待も何もないだろうに……
 ……あれ?
 バースデーパーティー……『みたいなの』?
 ……すごい嫌な予感。



 とにもかくにも、行くしかない。
 鈴凛の部屋のドアをノックする。
『は〜い、いらっしゃい。入っていいよ〜』
 機械を通したような、少しくぐもった声が中から聞こえた。
「ん、おじゃましま……」
 絶句。
 確か一週間程前に入った時には、足の踏み場もない程散らかっていたはずだ。
 が……この部屋には、何もない。
 片付けたとか、そんなレベルの話ではない。
 ホントに、何もないのだ。
 あえて言うなら、今俺が顔を出しているドアと、正面にあるもう1つのドア。
 あと、天井にあるスピーカーとカメラ。
 ……って、ちょっと待て。
 今俺いるこの部屋。
 たぶん、今までの鈴凛の部屋と同じくらいの大きさだ。
 その部屋に、もう1つドア……?
『ヤッホ〜、アニキ』
 天井のスピーカーから声が聞こえた。
「鈴凛……とりあえず何はさておき、あのドアは何だ?」
『何だ、って言われても困るんだけど……次の部屋に続くドアだよ?』
「次の部屋!? それがそもそもおかしいんだっての!」
『何が?』
「広さ! 物理的に不可能!」
『そうだっけ?』
「そうなの!」
『ま、気にせず進んでよ』
「気にしないわけにはいかないんだが……」
 まさか、開けたらその先は空中でした、っていうドッキリなのか?
 それならそれでいいんだが……
「ワ〜オ」
 開けてビックリ玉手箱。
 なんと、その先にも部屋はあった。
 さっきの部屋と同じくらいの大きさで、またしてもドアがもう1つ付いている。
「どうやって作ったんだよ……」
『このぐらいで驚いてちゃダメだよ、ア・ニ・キ! なんとそこを含めて、あと109もの部屋があるんだから!」
「完全に空間歪んでるじゃねぇか!」
「科学の勝利だね」
「勝ちすぎ! どんだけオーバーテクノロジーなんだよ!」
「アニキには、全部の部屋を通って私の所に来てもらうから」
「109も通んの!?」
「そこも含めて、だから残りは108だよ」
「変わんねぇよ!」
「大丈夫、ちゃんと道案内用意したから」
「そういう問題じゃないしぶぇ!?」
 いきなり、頭に大きな衝撃。
 どうやら、鈴凛の言う道案内が『降ってきた』らしい……
『紹介するよ。私の傑作、お笑いロボ』
「は〜はっはっはっはっはっ!」
 ……めっちゃ笑っていた。
 身長は俺と同じくらい。
 ボディはフレームが見えているようなデザインで、某中華ロボ先○者を彷彿とさせる。
 顔の部分には、なぜか大爆笑している明石家さんまの顔写真が貼られている。
「は〜っはっはっはっはっはっ!」
 ……そして、めっちゃ笑っていた。
「お笑いロボって『笑う』ロボットなのかよ! 普通『笑わせる』ロボットだろうが!」
「ひゃっひゃっひゃっひゃ」
『なんと、213種類もの笑い方ができるんだよ』
「なんだその無駄な機能!」
「しぇっしぇっしぇっ」
「何その笑い方!?」
「だっふぁっふぁっふぁっふぁ!」
「あぁ、うるせぇ!」
「けっけっけっけ……ぐぼぁ」
 いきなり、笑い声が止まった。
 というか、ロボの動き自体が止まった。
 ロボは、そのまま盛大に倒れる。
「あ? 何?」
『これがお笑いロボ最大の目玉、笑死機能!』
「その機能の意図は!?」
『やっぱ科学者としては、ロボットはより人間に近づけたいじゃない?』
「笑死する人間なんてめったにいねぇよ!」
『あ、ちなみに死んだ後は爆発するようになってるから』
「へ……」
 爆発。
 小規模ながら、すぐ横で爆発されたこっちは大ダメージである。
『これぞ究極の人間らしさを追及した結果、自爆機能!』
「お前は人間をどんな生物だと認識してるんだよ! つーか、結局何だったんだあのロボは!」
『だから道案内だって』
「案内する前にぶっ壊れただろうが!」
『あ、そうか。ごめんごめん、一本道だから勝手に進んでってよ』
「だったら元から道案内いらないだろ!」
『まぁ、細かいことは気にしないで。次の部屋行ってみよ〜』
「帰る、っていう選択肢はないのか……?」
『次の部屋、行ってみよ〜』
「……逝ってみよ〜」



 次の部屋に入った瞬間、そいつと目(?)が合った。
 身長は俺と同じくらい。
 ボディはフレームが見えているようなデザインで、某中華ロボ先○者を彷彿とさせる。
 顔の部分には、なぜか大爆笑している関根勤の顔写真が貼られている。
 ……ぶっちゃけ、10秒ほど前にも見た気がするんですが?
 いや、一応顔(?)は違うけど。
「お笑いロボ……?」
『あ、よくわかったね』
「そりゃわかるけど……また道案内か?」
『ん〜ん。それは戦闘用』
「戦闘用!? 『お笑い』ロボなのに戦闘用!?」
『第一の部屋は、アニキ VS お笑いロボ。ベットは1:3だよ』
「ベットって!?」
『レディ……ゴー!』
「ゴーじゃねぇよ! 何なんだ!」
 スピーカーにがなるも、返事はなし。
 代わりに、今まで沈黙を保っていたお笑いロボが笑い出す。
「は〜っはっはっはっはっ!」
「うぉ!?」
 そして、ロボの手から液体が噴き出す。
 反射的に身をかわしたが……どうやら、正解だったらしい。
 少しだけ液体のかかった服が、ジュワッと音をたてて焦げた。
『あ、それ強酸だから』
「お笑いロボなのに!?」
『当たんないように気をつけてね〜』
「そんな忠告するくらいなら初めっから作んな!」
「は〜っはっはっはっはっはっ!」
 ロボが容赦なく襲ってくる。
 顔が爆笑している関根勤だけに、何かかえって怖い。
 時間を追うごとに、液体の噴き出し口は増えてきた。
 両手、口、胸の部分からも出ている。
 ついでに、背中からはミサイルも発射されていた。
「お笑いロボなのにーーーー!?」
「は〜っはっはっはっはっはっ!」
「うわっ! おぅ! のぁ!?」
 それらの全てを、何とか避けきる。
 とはいえ、相手は液体とミサイル。
 爆風や跳ね返ったしぶきが、服や肌の表面を焦がしていく。
「げっ……」
 正面からの攻撃を、飛び退くことで避ける。
 そこまではよかったんだが、着地点に酸の湖ができていた。
 それに足が滑り、見事転倒。
 何とか酸の中にダイブだけは免れたが、その分大きく体制が崩れる。
 お笑いロボが眼前に迫り……
「やばっ……」
「は〜っはっは……はっ……」
「……?」
「……………………」
 唐突に、その動きが止まった。
 ずっと響いていた笑い声も無くなる。
 よく見てみると……
「自分自身が溶けてんじゃねぇか!」
 そりゃ、金属と酸だもんな……
 もうちょっと考えようぜ……
『はいは〜い! おめでと、アニキ!』
「めでたくねぇよ! 服とか焦げまくりだって!」
『命が残ってるだけラッキーだよ』
「なんでこんな所で命賭けにゃならんのだ!」
『まぁまぁ。あと107回もあるんだから、落ち着いていこうよ』
「ちょ、待てい! 107回もこんなことやんのか!?」



 結論から言おう。
 107回、きっちりやりました。
 言い換えると、107回死に掛けました。
 107回分も書いてられないので(by作者)、ここからはダイジェストで。



「ガトリング!?」

「おま、それワシントン条約とかに違反してるだろ!」

「燃えてる! 火ぃついてるって!」

「召喚したの!? キャラ違うだろうが!」

「え? 人間……エスパー!?」

「でっか!」

「ロボットダンスロボって何だ!」

「普通のオッサンじゃねぇか!」

「煙出てるけど!?」

「ちょ、待って! トイレ!」

「雨乞い!?」

「エスパー……伊藤!?」

「2万年ぐらい前に絶滅してなかったっけ!?」

「生臭っ!」

「浮いてるし! 角生えてるし!」

「喰われてるってば!」

「既に死んでる!?」

「喋るマグロがいてたまるか!」

  ・
  ・
  ・
  ・
  ・
  ・
  ・
  ・

「はぁ……はぁ……」
 そんなこんなで、ついに辿り着いた108個目の部屋。
『ワ〜オ、さっすがアニキ! 次の部屋さえクリアすれば、私と感動のご対面だよ!』
「なんでここまでして会わにゃならんのだ……? それが疑問になってきたわ……」
『別に戻ってもいいけど、また107回闘わなきゃいけないよ?』
「奴ら復活してんの!?」
『どうする? 戻る?』
「……進みます」
『オッケ〜。じゃ、頑張ってね〜』
 ドアを開ける。
 次で終わりかと思うと、何やら少々感慨深いものまである。
 107個の部屋での出来事が、走馬灯にように……って、そりゃダメだろ!
 不吉な考えを振り切り、部屋に足を踏み入れる。
「カ……」
 どっかで見たことのあるヤツだった。
 目は、カニのように顔の上へと突き出ている。
 全身は薄い黄色で、所々に黒い模様も。
 口は顔の大部分を占め、なぜかチャックだった。
「カネ○ン!?」
 ○谷プロダクションだった。
『そう、最後の部屋を守るのはそのカネ○ンだよ』
「なんでカネ○ン!?」
『私に相応しいでしょ?』
「そうだけどそうじゃなくて! なんでカネ○ンが存在するんだ!」
『バイオテクノロジーの粋を集めてみました』
「作ったの!?」
『さぁ、ラストバトルはアニキ VS カネ○ン。ベットは 58003 : 2 !』
「高っ! 俺すごい高っ! カネ○ンそんなに強いの!?」
『レディー……ゴー!』
 既に108回目となった鈴凛の声で、108回目のバトルが幕をあけた。
 直後、予想外のスピードでカネ○ンが突っ込んで来た。
「カネ〜!」
「その声はたぶん間違ってるぞ!?」
 反射的に防御体制を作る。
 だが突っ込んできたカネ○ンは、何の攻撃もせずにそのまま素通り。
 そして振り返り、手をこちらに向ける。
「……って、あれ!? 俺の財布!?」
 その手には、しっかり俺の財布が握られていた。
 なんちゅう早業……
「あぁ! 喰うな! 喰うな!」
 カネ○ンは、手にした財布を丸ごと口に放り込む。
 あぁ……俺の全財産に近いのに……
「カネ!?」
「ん?」
「カネ! カネ! カ……カ……」
 突然苦しみだした(と思われる)カネ○ンは、そのまま泡を吹いてぶっ倒れた。
 それっきり動く気配もない。
「な、何? なんで……?」
『アニキ……もしかして、財布に二千円札入れてた?』
「え? あぁ、うん。そういや入れてたような……」
『あちゃあ……カネ○ンは二千円札アレルギーなんだよね……』
「何だそのピンポイントなアレルギーは!」
『まぁいいや。勝者、アニキ! 全ての部屋のクリア、おめでとう!』
「あ? あぁ、そうか……終わったのか……ようやく……」



 109個目の部屋には、本物の鈴凛がいた。
 別に一日会わなかっただけなので、懐かしくも何ともないが。
「おめでと、アニキ。さすがだね」
「どうも。しかし、ずっと疑問に思ってたことがあるんだが?」
「なに?」
「これの、どこがパーティーなんだ!? 死にかけただけじゃないか!」
「いやぁ、こっちは大盛り上がりだったよ? みんなアニキが勝つなんて思ってないからさ、ガッポガッポの大儲け!」
「儲け……? ってお前、途中で言ってたベットとかって……!」
「うん。大賭博パーティーやってたの。ちょっと犯罪っぽいけどね」
「犯罪だ犯罪! 色んな意味で!」
「ま、いいじゃん。それよりアニキ、一万二千円」
「あ? 何が?」
「だから、パーティーの参加費だよ」
「参加費取んの!? っていうか、お前のカネ○ンに喰われて財布無くなったよ!」
「え〜? シケてるなぁ……」
「お前のせいだろうがあからさまに! だいたい、何で死にかけた俺が金払わにゃならんのだ!」
「もぅ、アニキ。昔かっら言うでしょ? 若い時の苦労は買ってでもしろ、って。だから売ってあげたのに……」
「わざわざ買わんでも十分苦労しとるわ!」









あとがき
どうも、カッツォです。
いやぁ、会い変わらず会話の多いSSだ(汗)
(私にしては)そこそこ長い割に、展開早過ぎなような気もしますし……
鈴凛ほとんど出番ないですし(殴)
まぁ、それはともかく(死)
このシリーズもあと2作で終わりですね〜
そして、イコールもう受験ですね〜
はははは……(滝汗)
え〜っと、とりあえず(その他、いろんなことで)ごめんなさい。
感想はもちろん、てめぇふざけんじゃねぇ! というものまで、何でもいいので送っていただければ幸いです。





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