「だから、X=3になる、と。OK?」
「う〜ん…?」
ここは彗の部屋。中にいるのは、彗の他には政樹だけ。
「はぁ…何が悲しくて政樹と2人で勉強しなきゃいけないんだ…」
溜息交じりに彗が呟く。
休日の昼間に男2人。確かに少々寂しい情景ではある。
作者:カッツォ
「なあ、政樹」
手を休め、ふと思いついたように彗が呟く。
「ん?」
「何でお前、関西弁喋ってんの?」
「その質問…何回目やねん」
そう、彗は昔から幾度となくこの質問を繰り返してきた。
それほど納得がいかないことだった。
「だってさ〜…お前、関東生まれの関東育ちだろ?」
「うん」
「で、両親は標準語だよな?」
「うん」
「…それで何故関西弁になる?」
「わからん」
「…なんでだよ」
やはり納得がいかない、といった風に彗が呟く。確かにかなりの謎である。
「それより! 早く続き教えてや!」
「へいよ…」
さて、何故彗が政樹に勉強を教えているのか。
それは、政樹が8教科中7教科赤点、という快挙(?)を成し遂げたからだったりする。
彗、政樹、圭が通う『私立・新星学園』は、幼稚園から大学まで全てある学校で、学力もそれなりに高い。
妹達も、全員この学校に通っている。
それなりに頭のいい学校で進級できたのだから、政樹もそれなりに頭が良いのが道理なはずである。
しかしながら政樹は、はっきり言って激烈に成績が悪い。
それでも、肝心なテスト(進級テストとか)の時だけは点数がとれるのだから不思議なものである…
「わかった?」
「ま、わかったようなわからんような…」
「ふぅ…まあいい。次いくぞ」
ビー! ビー!
その時、彗の持っている通信機がけたたましい音をあげた。
『総隊長! あなたの自宅付近でディファーが暴れています! 至急対処をお願いします! 場所は…』
通信機越しに、風紀委員の通信係が告げる。
「おお! 任務やな! ラッキー!」
政樹が嬉しそうに叫ぶ。ちなみに、政樹も風紀委員である。
「いや、帰ったら続きだって」
「え゛ぇ〜!?」
「俺だって嫌だってーの…」
「あ、兄や…」
「おにいたま〜! どこ行くの?」
現場に向かうために家を出た彗達であったが、そこで雛子と亞里亞に呼び止められた。
「ああ、ちょっとお仕事だ」
「あ〜! ヒナも行きた〜い! ダメ?」
「亞里亞も・・・」
上目遣いでお願いしてくる雛子と亞里亞。
滅多なことが無い限り、妹のお願いを断ることの無い彗である。当然返答は…
「よし、行こうか」
と、言う風になる。
「いや、ちょっと待てや! 子連れで戦う気かい!」
「まあ、細かいことは気にするな」
「ぐ…まあ、いつものことか…」
脱力する政樹を尻目に、雛子と亞里亞、そして彗は嬉しそうに歩いていく。まるでピクニックに行くかのようだ。
とても今から怪物と戦いに行くとは見えない風景である・・・
「わぁ〜! 大きいね!」
現場に着くなり、とりあえず歓声を上げる雛子。
「ああ、そうだな」
「亞里亞、恐い…」
現場に着くなり、とりあえず恐がる亞里亞。
「大丈夫だって、俺がついてるから」
そんな2人の相手を、嬉しそうにする彗。
とりあえず緊迫感のカケラもない。
街で暴れているディファーは、3メートルぐらいで熊のような形態をしている。
なかなかにパワーがありそうだ。実際、素手で壁とか壊しているので、かなりの力があるのだろう。
「さ〜て、どうしようかね〜」
ゆっくり、おっとりと、彗が呟く。
「ゆっくり見物してる場合かい!」
対し、政樹は興奮気味である。
「そうだな…というわけで政樹、よろしく!」
シュビっと右手を上げ、そう言う。
「…なんでオレ?」
「だって俺、こいつら守んなきゃいけないし」
そう言って、雛子と亞里亞を抱き寄せる。
「じゃあ連れてくんなや…」
戦う前から疲れ気味になっている政樹。
というより、政樹にとっては戦うよりもこっちの方が疲れるのだろう。
「とにかく! 頼んだぞ!」
「ったく…しゃあないなぁ…」
本当に仕方が無い、といった感じで、政樹はディファーと対峙する。
風紀委員第1部隊の隊長である政樹の能力。
それは空気を爆発させること。
「エクスプロージョン!」
ボンッ!
目の前に爆発が起こり、ディファーが一瞬よろける。
その間に政樹は、いつも腰に掛けてある斧をとり、一気にディファーの肩まで跳んだ。
爆発を起こす時に叫ぶ意味はないのだが、気合を入れるにその方がいいらしい。
「当然、斧は政府認可済みだ。良い子…っていうか、悪い子もマネしちゃダメだぞ!」
「おにいたま、誰とお話してるの?」
「うん、気にしちゃいけないよ」
相変わらず、こちらには緊迫感のカケラもない。
ある意味、政樹への信頼でもあるのだろうが。
政樹の戦いに話を戻そう。
その能力は、だいたい距離に比例する。
相手に触れた状態で爆発を起こせば、かなり力を抜いてもその部分をふっ飛ばすことぐらいはできる。
「アックス・ボム!」
ボンッ!
政樹の斧が入り込んだ瞬間にまた爆発が起こり、ディファーの右腕はその衝撃でふっ飛んだ。
ちなみにこの場合、素手で爆発を起こしても腕ぐらいはふっ飛ばせるため、特に斧で攻撃する必要はない。
が、政樹は大抵斧を使った攻撃をする。なんでもそれが今の流行だそうだ。
当然、他にそんなことをやっている人は見たことがない。(というか、いたら犯罪である)
「くすん…」
「おにいたま、あの花火キレイじゃないよ〜?」
雛子と亞里亞が避難の声を上げる。
普通ならツッコミが入りそうな場面だが、この男にそんな常識は通用しない。
「おい政樹! もっと綺麗な爆発起こせ!」
という始末である。
ちなみに、政樹もかなり気を遣って戦っている。
幼い2人に残酷なシーンを見せるわけにもいかないので、爆発で全てを隠しながら戦っているのだ。
「ぐ…好き勝手言いやがって…」
着地した地点で止まったまま、政樹が呟く。
「ガァァァ!!」
そんな政樹に、右腕を失ったディファーが怒り狂って襲い掛かる。
しかし政樹はその場でじっとしている。どうやら避ける気も無さそうだ。
「ふぅ…しゃあない。オレのとっておき、見せたんでぇ!」
さっきよりもやや高く跳んだ政樹は、向かってくるディファーの頭部に触れる。
「レインボー・ボム!」
ボンッ!
政樹の手から出た虹色の爆発で、ディファーの頭はふっ飛んだ。
ちなみに今度は、斧ではなく素手だ。
恐らく本人にとってもどうでもいいことなのであろう。
「わあい! にじさんだぁ!」
「きれいです…」
素直に感想を口にする2人。結局、終始緊迫感は生まれなかった。
「た〜まや〜!」
彗は彗で、よく耳にする言葉を叫んでいる。
「うぅ…勝ったのに嬉しくないのは何でやろう…?」
なんとなく泣きたくなる政樹であった…
「おお、綺麗だったぞ。政樹」
「いや、褒めるところが違うと思うねんけど…」
「確か他にも色々できたよな?」
「(う゛…なんか嫌な予感)…できるけど」
「いや〜、雛子と亞里亞がもう1回見たいって言ってさ〜。どうせなら他の妹にも見せたいし」
「…やっぱり」
ドーン! ドン! ドン!
「綺麗…だね…」
「ええ、ホント…」
その夜、昇神家では派手な花火大会が行われた。
妹達には大好評。それぞれ感嘆の声を漏らしている。
協力してくれた(無理に協力させたとも言う)のはもちろん…
「お前ら〜!! オレを何やと思っとんね〜〜〜ん!!」
ドーン! ドン! ドーン・・・
夜の空に、花火(爆発)の音と政樹の声だけが木霊していった…
あとがき
作:作者 四:四葉 政:政樹
(作)「どうも、カッツォです」
(四)「四葉デス!」
(作)「はい、今回は(も?)オリキャラメインです」
(四)「全然妹が出てきてないじゃないデスか!」
(作)「あはは…申し訳ない(汗)」
(政)「っていうか、オレメインやのに、オレの扱い酷くないか?」
(作)「まあ、所詮お前はそんなキャラだ」
(政)「酷い…」
(作)「ってなわけで、政樹の設定資料を公開」
岡井 政樹(おかい まさき)
彗の友人。
関東で生まれ、関東で育ったにも関わらず関西弁を使う変なやつ。
性格は人なつっこく、かなりカルい。頭も少しカルい。
顔は悪くないのだが、その性格のためそんなにモテない。本人は結構女に飢えている様子。
彗とは違うクラスだが、新学に通っている。
風紀委員1番隊隊長。
爆発を起こす能力を使い、どちらかというと攻撃で押し切るタイプ。
武器は斧。
こちらも特に工夫した使い方はせず、力任せに振る。
(作)「って感じかな」
(政)「なんか設定資料でまで酷いこと言われてる気がする…」
(作)「ちなみに、『関西』とか『関東』とか言ってることからも解る通り、ここはほとんど日本だと考えてください」
(四)「アナザーワールドみたいな感じデスね」
(作)「そういうこと。で、次回はもう1回オリキャラメインで行かせていただきます」
(四)「はぁ…もうあえてつっこまないデス…」
(作)「よし、じゃあ今回はこの辺で。四葉」
(四)「はいデス! 感想はモチロン、ふざけんじゃないデス! っていうものまで何でもいいので送って欲しいデス!」
(彗)「お、今回は結構短く終わったな」
(作)「まあとにかく」
(全員)「「「「次回もよろしくお願いします!」」」」
カッツォへの感想はこのアドレスへ
1483sy@hkg.odn.ne.jp
トップへ SSの部屋へ