トップへ  SSの部屋へ


Wild Wind

第1話  少年の普段通りな一日

作者:カッツォ


「よう! 俺の名前は昇神 彗(しょうじん すい)! この話での兄だ! よろしくな!」
 と、『彗』と名乗った人物はぐっと親指を立てた。
「誰に話し掛けてんの?」
 そう言ったのは彗の友人、岡井 政樹(おかい まさき)。
「ついにラリった? いい病院紹介しようか?」
 次に同じく友人、安田 圭(やすだ けい)。
 この3人は小学校からの仲で、互いのことはほとんど知っている。
「いらん! っていうかラリってない!」
 3人で下校していると、彗が急に誰かに向かって話し出した。
 それに対しつっこむ(?)2人。
 そしてこの物語は、3人の愛と笑いの感動長編である。
「「「違う!」」」
 違ったようだ。話を元に戻そう。
 この彗という男、特徴はいろいろあるのだが、あえて1つ挙げるとすれば…
「ねえ、あれって花穂ちゃんじゃない?」
 圭の言葉にそっちを見る彗。そこには1人の少女が立っていた。
「あ、ホントだ。お〜い、花穂〜!」
「あ、お兄ちゃま!」
 花穂と呼ばれた少女も気付いたようである。
 『お兄ちゃま』というセリフからもわかる通り、花穂という少女は彗の妹だ。
 そして彗には、花穂を合わせて12人もの妹がいる。
 さらにその12人は全員が可愛く、しかも全員が兄大好きである。
 つまり彗という少年は、このような環境にいる非常に幸せなやつなのだ…一部を除けば。
「あ、こんにちは。政樹さん、圭さん」
「ちわ〜っす」
「こんにちは、花穂ちゃん。じゃあ僕達は先に帰るから」
 そう言って先に歩き始める2人。
 政樹曰く「あの兄妹の邪魔したら、後が恐いねんな〜。いろんな意味で」だ、そうだ。

「で、どうしたんだ? 花穂」
「うん、今日はチアの練習がお休みだから、お兄ちゃまを待ってたの」
「そうか。そういや今日は職員会議で全部の部活が休みなんだったな」
「だからお兄ちゃまもお休みなんでしょ。いっしょに帰ろうよ!」
「っていうか、今まで待ってたのか?」
「そうだよ?」
 この日、彗達は調べ物があり、2時間ほど学校に残っていた。
 そのため、校内にはもうほとんど生徒が残っていない状況だ。
「先に帰ってればよかったのに」
「だって、お兄ちゃまといっしょに帰りたかったんだもん!」
「そっか。じゃあ帰るとするか」
「うん!」
 本人に自覚は無いようだが、この時の彗の顔はとろけまくっている…



 しばらく仲むつまじく帰っていた彗と花穂。
 だが突然後ろから声をかけられ、同時に彗のほっぺに激しい痛みが。
「お兄〜様〜? 私を置いていくなんて酷いじゃな〜い」
 そこには、顔は笑いながらも目は笑っていない、という器用な表情をした咲耶が立っていた。
「いひゃひゃ! ひゃ・ひゃくや! ほっふぇをひっふぁるな〜!(いたた! さ・咲耶! ほっぺを引っ張るな〜!)」
「私もご一緒していいかしら?」
「わひゃっひゃ! わひゃっひゃはらひっふぁるな!(わかった! わかったから引っ張るな!)」
 ってなわけで、(半ば強引に)咲耶もいっしょに下校することとなった。
 その横で花穂は多少の不満を感じたものの、姉のプレッシャーにおされて何も言えずにいた。
「じゃあ行きましょう、お兄様」
「あ・ああ。でも今日は可憐のピアノ教室の日だろ? ついでに迎えにいってやろう」
「そうね」


 というわけで、可憐のピアノ教室の前まで来た一行。
「(ねえ、あの人誰? かっこいい〜)」
「(知らないの? あれは可憐ちゃんのお兄さんよ)」
「(それにかっこいいだけじゃなくて、頭良し、運動良しのパーフェクト王子様なのよ!)」
「(え〜、いいなあ可憐ちゃん。そんなお兄さんがいて)」
 そんな声に嬉しさを感じながら、可憐は彗に向かって走っていく。
「お兄ちゃ〜ん!」
 そう言って彗に抱きつく可憐。
 後ろからは非常に鋭い視線が送られていたが、それはこの際無視しよう。
「よぉ、可憐。迎えに来たぞ」
「うん、ありがとう、お兄ちゃん!」
 


 そうして4人は家に向かって歩き始めた。
 しかし美少女を3人連れたかっこいい兄ちゃんとなると、いやでも人目を引く。
 当然それを快く思わない者もいるわけで…
「よお、兄ちゃん。可愛い子3人も連れて、いい身分じゃねぇか」
 つまりこういう輩である。
 今時こんな奴いるのかよ…と言いたくなるほど、典型的に不良君だ。
 しかし、あたかもそこに何も存在しないかのように、横を通り過ぎようとする彗達。
「てめぇ! 無視してんじゃねぇよ!」
 不良君は今にも飛び掛ってきそうな勢いだ。
「きゃ〜! お兄様、恐〜い!」
 そう言って彗に抱きつく咲耶。しかし明らかに顔は笑っている。
「あ、ずる〜い! 可憐も!」
「花穂も花穂も〜!」
 そして2人とも彗に抱きつく。
 その行動が相手の堪忍袋にとどめをさしたようだ。
「ふざけやがって! くたばれ!」
 拳を振り上げ襲い掛かってくる不良君。
 一方彗は、(なぜか凄い力で)抱きつかれているため、身動きがとれない。
「お・おい、離れろよ…ん? この気配は…」
「兄君さま!」
 その声と共に、今まさに襲い掛かろうとしていた男をふっ飛ばした少女。
 それは…
「やっぱり春歌か。ありがとう、助かったよ」
 実際はあの状態からでも何なりと対処はできたのだが、とりあえず妹の行為に感謝を表す。
「いえ、当然のことを…兄君さま…?」
 話の途中で急に表情を変える春歌。明らかに殺気が放たれている。
「?」
 不思議に思い、まわりを見てみる彗。
 現在の状況は…3人の妹に抱きつかれている。
「ま・待て春歌! これは…」
「兄君さま! 言い訳とは見苦しいですよ! お覚悟を!」
「そうよ、お兄様! 許さないわ!」
「可憐、お兄ちゃんのこと信じてたのに…」
「ひどいよ! お兄ちゃま!」
「そうだよ! ひどいよあにぃ!」
「皆に責められる兄チャマをチェキデス!」
「ちょ・ちょっと待て! 俺が悪いのか!? いや、っていうか咲耶達は意味わかんねえし! しかも何気に2人増えてる!?」
「「「「「問答無用!」」」」」
「ボコボコになる兄チャマをチェキ!」
 なぜか総勢5人によって袋叩きにされる(+1名により激写されまくる)彗。
 後に彼は、この時ほど世の理不尽さを感じる時はないと語る…



数分後
「ふぅ、いい運動になったよ、あにぃ!」
「兄チャマフォトシリーズがまた増えたデス!」
「…っていうか何でお前らがいるんだよ」
 既に尽きかけた体力を振り絞り、とりあえず尋ねてみる。
「2人で帰ってたら、何かおもしろそうなことやってたから」
「そういうことデス!」
「おもしろそう、ですか…そうか…お前達にはあれがそう見えるのか…」
 改めて、妹達の将来に不安を感じる彗であった。



 なにはともあれ、無事(彗以外は)に家の前までたどり着いた一行。
「はぁ…やっと着いたよ…」
   ドッカ〜〜〜〜〜ン!
 一息つく間もなく、家の中から爆発音が聞こえた。
「…また鈴凛か」
 が、いつものことなので、そう気にとめないで家に入る。
 ちなみにこの家、13人で住んでも十分すぎるほど広い家で、しかも周りの土地もほとんど所有している。
 そのため、かなり大きな爆発でも(音以外は)近所迷惑にはならない。
 何故こんな広い家なのかは、また今度。
「ただいま〜」
 いつも通り扉を開けた彗だが、そこは何と言うか…異様な光景だった。
「ふふふ…もう逃げられんぞ…」
「いやです…やめてください…」
「ぐふふふ…よいではないか…あ! おにいたま!」
「そんな…あ、兄や…」
 雛子と亞里亞、年少組みの2人が何やら怪しげな遊び(?)をやめ、彗の方にかけよってくる。
「…雛子、亞里亞、今日もかわいいな!」
 とりあえず現実を否定する彗。
 これも、彼が培った長年の成果だと言う。
「あ、おかえり。アニキ〜」
「お・おかえりなさいませ…兄上…様…ぐふっ」
 なぜか真っ黒になっている鈴凛と鞠絵が出迎える。
 鞠絵にいたっては、言い終わると同時に吐血して倒れてしまった。
「わ〜!! どうしたんだ鞠絵!?」 
「あ・兄上様…鈴凛ちゃんの新発明『病気治療装置・碑威臨愚(ひいりんぐ)君3号』を試していたら急に爆発して…」
「(鞠絵もそんなもん試すなよ…)…鈴凛、今月こづかい減給」
「え〜!? アニキの人でなし〜! ちょっとしたおちゃめなのに〜!」
 そんな声を無視し、、彗は自分の部屋へと戻っていった。
「(おちゃめで姉妹を殺しかけるなよ…)」
 そんな思いを胸に秘めつつ…



 しばらくして。
「にいさま〜」
「ん? 白雪か。どうした?」
 珍しく彗しかいない部屋に、白雪が入ってくる。
「今日、学校でクッキーを作ったんですの。だからにいさまに食べて欲しいんですの」
「へぇ、どれどれ…(ぱくっ)」
 白雪の持ってきたクッキーを口にいれる。
 さすが料理を特技としているだけのことはあり、かなり上手い出来だった。
「ん、美味いよ。白雪」
「よかったですの(ニヤリ)」
「はい? 『ニヤリ』?…は! 体が痺れていく…痺れ薬か!?」
「うふふ…にいさま、姫をた・べ・て(はあと)」
「ぐ…動けなひ…」
「さぁ…にいさま…」
 白雪の顔がだんだん彗に近づく。
 彗が覚悟を決めようかと思った、その時。
「きゃあ!…ですの」
 突然白雪が倒れた。
 と同時に、彗も動けるようになっている。
「し・白雪!? あ、千影」
 いつの間にか背後に立っている千影。
 しかしそんなことは既に日常茶飯事なので、彗もあえてつっこまない。
「フフ…ついでに…兄くんの痺れも取っておいたよ…この礼は…今日の実験に付き合ってくれればいい…」
「あ・あの…千影?」
「なんだい…?」
「白雪に何をしたんだ?」
「フフ…ちょっと…魂をね…」
「…それで、もとに戻るのか?」
「フフ…」
 不適な笑みを浮かべたまま、千影は壁に消えていった。
「お・おい! どうなんだ千影〜!」
 その後、白雪が目を覚ますことは無かっ
「姫は生きてますの!」
 失礼。白雪は約2時間後に目を覚ましたそうだ。




 その日の夜。
「兄くん…今日は…上級悪魔を召喚するよ…」
「悪魔? またこの前みたいに、いきなり襲い掛かってきたりしないだろうな?」
「…………じゃあ、始めるよ…」
「おい! 返事は!? っていうかいつも以上に間が長かったぞ!?」
「闇に潜みし誇り高き者よ…」
 彗を無視して儀式を始める千影。
 呪文が紡がれるにつれ、次第に床に描かれた魔方陣が光を帯びてくる。
「…我の前に姿を現せ!」
   シュゴォォォォォォ…
 最後の呪文を唱え終わると同時に、黒い霧と共に何かが現れた。
「フハハハ! 愚かな人間よ! 我を呼び出したことを後悔しながら死ぬがよい!」
「くそ…やっぱりこうなるのかよ…」
 その日は、夜遅くまで楽しげな戦いの音が響き渡ったとさ…(千影談)






あとがき
作:作者 四:四葉
(作)「どうも、カッツォです」
(四)「四葉デス!」
(作)「いや〜、ついに始まったね。W・W」
(四)「W・Wって何デスか?」
(作)「『Wild Wind』の略だ。いちいち英語を入力するのはだるいからな」
(四)「(自分の作品のくせに…)まあいいデス! それよりもこの話は何デスか!」
(作)「何って?」
(四)「この物語の説明が全く入ってないデス! これじゃただの短編ギャグデス!」
(作)「いやぁ、ははは…全員出そうと思ったらこんな風になっちゃってさあ…」
(四)「これじゃ速攻で『番外編』じゃないデスか!」
(作)「仕方ない、ここでちょっと説明だ」
(四)「メチャクチャデスね…まあいいデス。四葉が説明しマス。四葉達が住んでいるのは、地球に似てるけどちょっと違う世界デス。具体的には、魔法やドラゴンなんかが普通に存在する世界デス」
(作)「まあ、それについては次回で詳しく」
(四)「で、肝心の兄チャマの説明もされてないデス!」
(作)「う〜ん、じゃあちょっとここで設定資料の一部を公開」
 昇神 彗(しょうじん すい)
  この物語での兄。
  『私立・新星学園(にいぼしがくえん)』に通う高校2年生。卓球部所属。
  そこいらのモデルよりもよっぽどルックスはいい。
  ただし、「美形」というよりも「かっこいい」という形容詞が相応しい。
  さらに成績・運動はバツグンときて当然もてまくりだが、シスコンのため(本人は否定)告白してくる女性を片っ端からふっている。
  『ちょっと天然』との噂もあるが、実は結構クールだったりする。
  ただし、妹と関わった場合はキャラが著しく豹変する場合あり。
(作)「ってな感じかな?」
(四)「う〜ん、やっぱり兄チャマは凄いデス…」
(作)「この話を見てもそうは思わんがな…」
(四)「それは作者の力不足デス! っていうか、オリキャラ2人の出番が全然ないデス!」
(作)「岡井政樹と安田圭だな。(みなさんへ)この2人はオリキャラで〜す。これからも出番があるのでよろしく!」
(四)「はぁ…だいたいこのヘボ作者に全員登場なんて書かせるのが間違いデスね…ナレーションも無茶苦茶デスし…」
(作)「あ、作者力不足のため、あんまり出てこない妹がいるのは勘弁してくださいね!」
(四)「…ホントにダメダメデスね」
(彗)「おい! お前ら、あとがきだけでスペースとりすぎだ!」
(作)「はうあ! しまったぁ! でも最後にあれだけは言っとくぞ。四葉!」
(四)「はいデス! 感想はモチロン、ふざけんじゃないデス! っていうのまで、何でもいいので送って欲しいデス! ただし、ウィルスなんかは送っちゃイヤデスよ!」
(作)「というわけで、こんな駄作ではございますが…」
(全員)「「「よろしくお願いします!!」」」




カッツォへの感想はこのアドレスへ
1483sy@hkg.odn.ne.jp

トップへ  SSの部屋へ