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マジックスクールライフin熱海

第二章 「猫と世界と魔法な日常のはじまり」

作者:miyukiさん


「ふう、疲れたな」
「うむ、しかしなかなか興味深い話ではあった」
入学式を終え、俺に与えられた部屋に帰ってきた俺とクシュリスは長い校長の話への感想を述べ合っていた。
「興味深い?どこがだよ。あの人の言ってた事を格式張って話してただけじゃないか」
「いや、その所々に彼が話していなかった、そうだな、彼がほぼといった中に含まれていない事象をあの校長は言っていた。とはいえあのように聞く側を退屈させるような話し手ではダメだ」
「・・・・・おまえやっぱり変だよ、猫なのに」
「主よ、それは偏見というものだ」
「へいへい」

国立志阪大学付属高等学校。
二十年ほどの新設の国立の高校。通う生徒がその上の志阪大学に進学する。
大学、高校ともに入学試験は課さず、国のある審査によって入学者が決められ、入学することができるというかなり珍しい学校。
これが俺の通うことになったこの高校の世間向きの姿だ。
かなり奇妙な学校として、また久しぶりというかそんな感じで建てられた国立の学校として当事はかなり注目されたらしいが、入試を課さない、その授業はきわめて平凡ということで最近は見向きもされないが、学費、生活費、その他の諸経費をすべて学校が持ってくれるということではいまだに有名である。
実際、俺の両親も散々渋った上で納得したのは最後の条件があったからだと思う。
審査というのは今回俺がされたようなことだろう。と俺は思っているのだが実際どうなんだろう?
まあ、説明に嘘は、ない。授業は決して奇抜なことばかりを教えるわけではない。
普通の大学に進学する人もいるからだ。
しかしこの学校、表向きは普通だとしても実際やることはかなり普通じゃないので一学年の人数は極端に少ない。
聞いて驚かないでくれ、40人前後。
つまり一クラスしかないんだ。
学年全員がクラスメートってことになる。

「ところで隣の部屋の住人に挨拶済ませてないだろう」
「ああ」
「早く済ますべきだな。何しろ三年間、下手すれば七年間お世話になる相手だからな」
「あいよ、後で行くよ」
「だめだ、今すぐ行こう」
「・・・へいへい」
ったくクシュリスは妙なところで変に人間くさい。というか年よりくさい。
これ以上渋ってもクシュリスがうるさいだけだし、結局行くことになるので行くことにした。
まあ、俺としても行こうとは思っていたからちょうどいいといえばちょうどいい。
浜松で買ったう○ぎパイ(15枚入り)をもって部屋を出、隣の部屋のドアをノックした。
俺が住むことになった部屋は四階建てのこの一年寮の二階端っこにある。
正直俺としては一回に住みたかったがまあ、いろいろあるのか二階に住むことになった。
階段を上るのはだるい、が階段のすぐそばに部屋があるのは救いだ。
また端っこということで隣に住むことになるのも自然と一人ということになる。
ノックするとすぐに部屋の奥から声がし、どたどたという足音の後ドアが開いた。
中から出てきたのは下手したら小学生かと間違うような容姿の女の子だった。
「えと、何か御用でしょうか?」
不審者とまではいかないが知らない人を見る目つきで俺を見ている。
実際知らないわけだし。
「あ、えーと、隣に住むことになる者です。よろしくお願いします」
俺は少々不恰好ながら当り障りのない挨拶ではじめた。
その言葉を聞くと彼女はようやく何者かわかったといった感じの顔つきをし、そのあとにっこり微笑みながら挨拶を返してくれた。
「ああ、なるほど。ご丁寧にどーも」
しまった。う○ぎパイを渡すタイミングだが、よく考えれば俺は浜松出身ではない!
普通こういうときは地元のお菓子を渡すものだろう。
く、ある意味人生最大の選択ミスだ。
渡そうかどうしようか迷っている俺を見かねてかどうかは知らないが、
「えー、我輩はクシュリス、同じく隣に住むことになるものだ。よろしく頼む」
と、きわめて普通にクシュリスは挨拶した。
「わー、丁寧な猫さんですねー。はい、よろしくです」
と彼女もクシュリスに挨拶した。ってちょっと待て。
クシュリスの声って俺にしか聞こえないんじゃないのか!?
う○ぎパイとクシュリスの謎に頭を悩ます俺をよそに二人(?)は会話を続けた。
「うむ、クシュリスと呼んでくれ。わが主がいろいろと迷惑を書けるかも知れんがよろしく頼む。また、わが主がおぬしにひどいことをするようなら我輩に言ってくれ。善処するように伝えると約束しよう」
「あ、どーもです。こちらこそ迷惑かけるかもですが。ところでクシュリスさんはそちらの方の使い魔なんですか?」
「うむ、当然の質問だな。しかし我輩は使い魔と言われる存在ではない。どちらかというと保護者だな」
「わー保護者さんですかー」
「うむ、この青年をここまで育てるのには非常なる苦労を伴った。特に六歳のとき・・・」
「っておまえとの付き合いそんなに長くないわーーーーー!!」
かってに猫に育てられたことになりそうな展開にようやく俺は戻ってきた。
「ようやく戻ってきたか、主よ」
「ああ、さすがに猫に育てられたという過去を受け入れるほど俺はやさしくないからな」
いやな汗をぬぐい、彼女に話し掛けた。
「で、こいつのいってることわかるの?」
「ん?クシュリスさんの言うことですか?わかりますけど」
彼女は当然といった感じで答えた。
「その、不思議じゃないの?猫がしゃべるって」
「ああ、私なんか昔から動物さんがしゃべるの聞きなれてるんですよ。そういう特殊な耳らしいです」
いや、特殊な耳らしいですといわれても・・・・。
「受け入れろ、主よ。おぬしの選んだ現実はかくも厳しい」
・・・・やっぱり間違えたか?人生の選択。
「あ、申しおくれました。私、名前は印譜丹堵といいます。えと、そちらの方のお名前聞いてもよろしいですか?」
「あ、ああ。風間龍」
「風間さんですね。では風間さん、クシュリスさん、よろしくお願いします」
「ああ」「うむ」
「では、片付けのほうがまだありますので失礼しますね」
そういって彼女、印譜丹堵はドアを閉めた。
「・・・・・」
「こういうとき人間の間でなんというか心得ている」
「・・・なんだ?」
「どんまい、だ」
「・・・ありがと」
入学初日に不安を覚えたのであった。

その後渡せなかったう○ぎパイはしばらくの俺のおやつになったのは言うまでもない。

明日はまあ、この学校のメインであろう魔法の授業についてのガイダンスがある。
一年生は全員基礎魔法を習うことになっている。
おそらく皆が持つ魔法への懐疑心のQ&Aといったところだろう。
ガイダンスを先に読んでおく必要があるらしい。
荷物は特にいらないので早めに寝ようかと思っていると部屋のチャイムが鳴った。
「はいはい」
答えながらドアを開けに向かう。開けるとそこにはあの青年がいた。
「やっほー、元気?」
「ああ、あんたか」
「あんたはないだろう。先輩だぞ?」
青年は少し冗談っぽく言った。
「へいへい。って、そうだ、名前すら聞いてないぜ?」
「おっと、そうだったね。僕の名前は綿村勝宏。魔法コースの二年生だよ」
「ふむ、ワタムーだな」
クシュリスがボケなのかマジなのかよくわからない声で言った。
「で、わたむー先輩、何かようですか、って言うかなんで俺の部屋知ってんですか?」
「その呼び方採用なのかよ!!ま、いいか。ようは特に無い。部屋は寮のおばちゃんに教えてもらった」
「なるほど。っとそうだ、ついでだから連絡先も教えてくださいな」
「ああ、いいよー」
携帯のメルアドを交換し、その後他愛のない話をしてから綿村先輩、もといわたむー先輩は帰っていった。
「さてと、・・・・やることないし、飯食って寝るか」
「まあ、妥当な案だな」
ガイダンスを読んでおく必要があったことには布団に入った後気がついたがめんどくさかったので気がつかなかったことにしてねた。


まだ私が幼い小学一年生のころのこと、授業の一環で将来なりたいものをみんなの前で発表するというものがあった。
「きれいなおよめさんになる」
「飛行機のパイロット」
みんな思い思いの夢をみんなの前で言っていった。そんな中、順番が回ってきた私は
「魔法使いになる」
といってしまった。小学一年生といっても魔法がないことぐらい知っている。
当然のごとく男の子たちは私をはやしたて、女の子はくすくすと笑い声を立てた。
そんな雰囲気に気おされた私は泣き出してしまった。
先生が騒がしくなった教室をなだめつつ私にこういった。
「もうなかなくてもいいからね。でも魔法使いにはなれないんだよ」
優しいその言葉の中の否定的な部分、それは私をより悲しくさせた。
そんな中、次に発表するはずであった男の子が勢いよく立ち上がってこういった。
「じゃあ、俺はその泣き虫の魔法使いを守る勇者になる」
私の目にさっきとは別の涙があふれた。


「ふぁぁぁぁ、ねみぃ」
あくびをかみ殺し、俺は周りを見回した。
毛半分くらいは来ただろうか?ガイダンスの会場は着実に席を埋めていった。
「昨日あれだけ寝たというのにまだ眠いのか?」
「寝すぎると逆に眠くなるんだよ」
「ふむ」
背もたれにもたれかかって寝ようかと思っていると不意に声をかけられた。
「あの、隣座ってもいいですか?」
「え、あ、はい、どうぞ」
とっさのことにびっくりしたが取り繕った笑顔を向けながら俺はそういった。しかし再び俺は驚愕することになる。
「っておい、何でお前がいるんだよ!」
「え?って、ええええええええええ」
お互予想外のことだった。俺に座ろうとしていたのは知り合いも超知り合い、小学校からの腐れ縁、三津広美だったのだから。
「ちょ、何であんたがいるのよ!」
「それはこっちの台詞だ」
「大体あんた魔法とか信じてなかったんじゃないの」
「成り行きでこうなっちまったんだよ」
「成り行きって・・・あんたの人生それでいいの?」
「哀むような目で見るな!」
「朝から元気ですねぇ」
最後にわって入った声はどこか聞き覚えのある声だった。
顔を後ろへと向けるとそこには普通に俺のとなりに座っている印譜がいた。
「をい」
「はい?なんでしょうか?」
「何で俺の隣に座っている」
「え、いや、知り合いが他にいなかったので」
「・・・・・」
「いやー両手に花とはこのことですな、ダンナ!」
また別の方向、俺の席の後ろから声が飛んできた。
まったく聞き覚えのない声に顔を向けるとなにやらにやついた顔の男子学生がいた。
「ども、クラスメイトになる内沢進。よろしくな」
勝手に自己紹介されたし。
「あ、私、印譜丹堵っていいます。よろしくおねがいします」
勝手に自己紹介してるし。
「ちょっと、龍、どういうことよ!」
勝手に混乱してるし。
「主よ、こういうときはため息をついていいと思うぞ」
猫にはアドバイスされるし。
「はぁ」
俺の学校生活はなかなかハードなものになりそうだ。
だれか俺の平穏を返してくれ。

予想どうりのQ&Aなガイダンスは無事終わり、帰ろうとすると内沢進とやらに親睦を深めるには昼飯を食うことが大切だとか言われて四人(プラス猫)で食堂へ昼飯を食いに行くことになった。
正確にはつれてこられた。
「ということで改めて自己紹介だ。俺は内沢進。君らと同じクラスの、って当たり前か」
内沢は勝手に自己紹介を終えると席に座った。
するとまっていたかのように印譜が立ち上がり、
「えと、同じクラスの印譜丹堵です。よろしくお願いします」
といって再び席に着いた。すると入れ替わりに三津が立ち上がり、
「三津広美です。よろしく」
といって座った。
さて、場が静かになった。
なにやら三方向からの視線を感じるが気にしないでおくとしよう。
するとクシュリスが不意に言った。
「主よ、さすがに流せないのでは?」
・・・ちっ。仕方なくだるそうに立ち上がり、
「風間龍」
とだけ言って座った。
「ま、これから三年間は同じ教室に机並べる友人になるんやからよろしゅうな」
「ウン、よろしくね」
印譜と内沢はどうやら速攻でこの状況を甘んじて受け入れたらしい。
というかまあ全面的に内沢が作った状況だから不思議ではないだろう。
「さぁーて、落ち着いたところで聞かせてもらうわよ、龍」
出た、めんどいのが。
「なんだよ」
「何であんたがこの学校にいるかってこと」
「さっきも言っただろうが。成り行きだよ」
「あのね、何年あんたと一緒にいると思ってんの?あんたが成り行きで動かない人間ってことは嫌になるぐらい知ってるんだから」
ちっ。
「ましてやあの雪摩先輩の物理の講義を聞いてたあんたが魔法なんて存在信じるわけがない。そこから私が推測する答えは一つ、魔法の存在を信じざるを得ないようなことを見せ付けられた。どう?」
・・・ばれてらー。って言うかこいつホント俺の事見透かしてやがるな。
「ああ、そうだよ、その通りですよ」
俺がそう答えると三津は得意げに胸を張った。なんかむかつく。
「大体俺から言わせたらお前こそなんでここにいるんだよ」
そうなのだ。三津がここにいるはずがないのだ。
皆がだれながら受験勉強に取り組む中必死にひとり勉強してるのはこいつだったのだから。
正直、こいつの成績ならもっといいところにいけたはずだ。
「別に私はおかしくないわよ。あんた、家が兄弟多いの知ってるでしょ?」
「ああ、ってまさか学費がタダだからか!?」
「あたりまえじゃない」
「じゃ、じゃあ魔法を信じてってわけじゃ・・・」
「全然ないわね」
うわーいったよこいつ、魔法学校の中心で魔法否定を叫んではいないけどいっちゃったよ。
「ここを出たって普通の大学にもいけるし就職もできるんでしょ?だったらタダのほうがいいに決まってるじゃない」
「そりゃそうだけどさ。確かに魔法をしんじきって入学してこいなんていってないけどさ、一応魔法をカリキュラムにしてんだから否定はすんなよ」
「ま、否定するかどうかはこれから決めるつもり」
なるほどね、っとなんか三津と話してる間に印譜と内沢は打ち解けていた。
「へぇ、そうなんだぁ。内沢くんは物知りだねぇ」
「いやぁ、ただこの前読んだ本に書いてあっただけさ」
・・・何処のナンパだ。
ジト目で二人を見つつうどんをすすっていると不意に三津が聞いてきた。
もう俺を追及する気はないらしい。
「ところであんた、クラブはどうすんの?また陸上?」
あーそういや部活かぁ。見学に行くかな、昼から暇だし。まあ、陸上あたり。
「今日見て回るつもり」
「ふーん。・・・ついてっていい?」
「へ?」
「だから見学についてっていいって聞いてるの」
「そんなことはわかってるよ。何でついてくんだよ」
「・・・不安なのよ」
「は?」
「不安なの!なんかこの校舎広いし迷ったら戻ってこれなくなれそうだしかといってクラブはみて回りたいしでも迷うのはいやだし知り合いがいるならちょうどいいじゃないってこと!」
一気に言い切ると三津は大きく一呼吸した。
何もまくし立てなくても・・・。
「よーし、みんなで部活動見学に行こう」「行こう」
何がよーしなのかわからないがともかく俺らは四人で部活動見学をすることにした。
「主よ、我輩を忘れないでいただきたい」

しかしいったいこの学校は何を考えているんだろうか?
いや、何も考えてないかもしれない・・・。
というのはあるわあるわ、なんじゃそりゃといった部活から定番の部活まで。
そしてそのどれもがけしてまともとはいえない活動をしていた。
内容は・・・・いずれはなすとしよう。
ともかくそんなこんなで結構な距離を歩いたので俺たちは疲れ果てて食堂前でへばっていた。
「ひれー、おおいー、なんじゃそりゃーの三拍子そろった疲労だな」
「何を言ってるのかいまいちわからんが同意」
「ふにゃー、つかれたですね」
「無駄に広すぎよ、この校舎・・・」
四者四様の意見を吐き出した。
「今日はこれで解散にしない?」
そう三津が切り出したのに、
「賛成」
と三人の声が重なりお開きになることとなった。
「じゃ、おつかれー」
「またあしたー」
お互いそんなことをいって分かれる・・・はずだったのだが。
「何でみんなこっちくんのよ」
「だって下宿こっちだし」
みんな下宿の方向は一緒だった。

「ん?なんだあれ」
四人で他愛のないことを話しながら下宿に向かう途中、俺の視界の端に奇妙な建物が引っかかった。
近づいてみてみると「理学館」とかいてあった。
「理学館、か」
「なんか怪しい建物ですね」
「でも、文化部がありそうな建物ではあるわね。いってみましょうか」
という三津の意見に
「え?」
と俺は思わず声に出してしまった。
「何よ、なんか文句あんの?」
「いや、別にないけどさ。てっきり運動部に入るもんだと」
「いいじゃない、別に」
ま、俺の思い込みか。中学では俺と一緒の陸上部でエース張ってたし体育の成績は抜群だったからついそう思ってたがまあ、別に文化部に入っても変じゃないよな。
「じゃ、いきましょうかぁ」
印譜がα波がでてそうな声で先頭きって入っていきほかがそれについていくといった感じで理学館へと入っていった。

四人で部活をやってそうなところを探して階段を上っていくと2階と3階の間、ちょうど踊り場になっている場所に部室のような場所があり中から声が聞こえる。
扉のところには「科学部兼生物部兼将棋部兼華道部」と書いた張り紙がしてある。
結局何をする部なのかははなはだ見当もつかない。
「なんだ、この部は」
「少なくとも四つの部活が混じってるね。よっぽど部室がないのかな?」
「まあ、興味が惹かれそうな部ではあるけど・・・。ってどうしたの?龍」
「い、いや?」
なぜだろうか?部活くっつけちゃえー的な突拍子のない発想はどこか懐かしいものを感じるんだが・・・。
四人でごたごた話しているとドアが開いて中から女の人が顔をのぞかせた。
「あら、新入生かしら?」
落ち着いた物腰の柔らかい先輩、そんな印象を受けた。
「あ、はい。ちょっと見学に」
「そう、ごめんなさいね。今日はみんな来てないのよ。よかったら中に入ってゆっくりしてって」
「えっと、それじゃ、失礼します」
そういって四人で部室の中に入ったのだった。
このとき初めて俺はいつの間にかクシュリスがどこかに行っていることに気がついたが、まあ特に気にも留めないことにした。

「えっと、お名前、うかっがってもいいかしら?」
そういってその先輩は切り出した。
「あ、先に名乗るのが礼儀ですよね?私はこの部の三年生、古浦河緋秋(こうらがひしゅう)といいます。変わった名前でしょ?」
そういって少し微笑んだ。なんか日向ぼっこが似合いそうな先輩だなと思った。
「えと、すみません、まだ入るって決めたわけじゃないんで名前とかは・・・」
三津がそういい、内沢、印譜も同意するかのようにうなづく。
「あーっと、そうよねぇ。ごめんなさいねぇ。ついつい順番飛ばしちゃって」
なんだかかわいらしい仕草をしながら、
「それじゃあ、ここがどういう部活なのかを説明しますね」
そういって、部活について説明してくれた。

とりあえずやりたいことやればいいんじゃないの?大雑把に言うとこういう部活らしい。
・・・少々適当すぎやしないだろうか?

「まあ、適当って言われたら、そんな気もするけどねぇ」
俺の表情を読み取ったのか、古浦河先輩はそういった。
「でも、そんな適当な内容で顧問をやってくれる先生いらっしゃるんですか?」
「ええ、だから部活としては成り立ってるわ。国語担当の山元先生、教師をやりながら小説も書いていらっしゃる素敵な先生よ」
・・・あれ?教師って副業やってよかったっけ?
「もちろんダメよ」
そう古浦河先輩が答えたので俺は驚いて顔を上げた。
「あっと、別になんでもないわよ」
なぜだろう?入学前にクシュリスにも同じようなことをされた気がするんだが、俺の心はそんなに読みやすいのか?
「いえいえ、そんなことは」
・・・確実に読まれてる。というか会話が成り立ってしまってる。
これではホイートストンブリッジで魔法という現象の説明すらできるのではないかと思ってしまう。
「いったい何時活動してるんですか?」
三津が心の(?)会話をさえぎって質問した。
「そうねぇ、いつでもやってるわ。それと同時にいつもやってない」
「つまり、やりたいときにやる、と?」
「ええ、そんな感じかしら」
そこまで適当なのか・・・。
その時古浦河先輩の携帯が音を立てた。
説明しておくといくら魔法学校といってもテレパシーで連絡を取り合うわけではない。
最近は携帯電話を持つ生徒が多くなったようだ。
「あらら、ごめんなさいね」
失礼しますといった感じのしぐさで先輩は俺たちを残して廊下に出た。
「・・・で、どうするよ?」
内沢が聞いた。どうするとはつまりこの部に入るかどうかって事だろう。
「うーん、今日見た部活の中でましっちゃあ、マシね」
「でもぉ、一番やる気ないぶですよねぇ」
「・・・やる気があってもあんな陸上部とかには入りたくないがな」
あーだ、こーだと四人で話していると先輩が戻ってきた。
「ごめんなさいね、急な用事が入っちゃって部室閉めなきゃいけないの。また、今度ゆっくりできるときにいらしてね」
そういって手早く俺たちを廊下に出すと鍵をかけた。っていうかこの部屋の鍵、南京錠ですかい?
すっげぇセキュリティとかに不安を感じるんですが。
「あら、そうでもないわよ。案外丈夫なんだから」
・・・もはやいうことはないだろう。俺と先輩以外の三人は何のことかわからず首をかしげている。
「あっと、そうだそうだ」
急いで階段を駆け下りていた先輩は急に止まり戻ってきて、
「はい、またご縁がありますように」
そういって俺たち一人ひとりに五円玉を握らせると、
「じゃあねー」
といってまたあわただしく階段を駆け下りていった。
「ご縁、ね」
俺たちは特に会話もなく階段を下りて理学館を後にした。

「じゃ、おつかれ」
自室のドアの前で印譜とあいさつしてドアを開けた。
「あ、あの」
中に入ろうとする俺をさえぎって印譜が話しかけた。
「えとね、わたし、さっきの部に入ろうと思う」
「・・・そうか」
「うん」
「・・・・」
何と無くの沈黙。印譜は俺に何かを期待してるんではないだろうか?そんな感覚にとらわれる。
「俺は・・・・・」
「?」
「俺は、もう少し考えるよ」
そういって場を流すことにした。すると印譜は笑って、
「うん、それがいいと思うよ。私も今晩考えてみる」
「じゃ、おつかれ」
「うん、おつかれさま」
そういって俺たちはそれぞれの自室へと帰った。


それから毎日男の子は私のところにやってきて、
「今日はないてないな、魔法使い」
そういって私をからかった。そのたび私は不機嫌な顔をしたものだが内心はうれしかった。
でもそんな日々はあまり続かなかった。
「・・・ちゃんってさぁ。・・・・のこと、好きなんじゃないの?」
そんなことを友達から言われたからだった。
それまで意識していなかった男の子のことを急に意識し始めてしまった。
それに伴う幼い羞恥心から男の子を避けるようになってしまった。
守ってくれるといってくれた勇者を。


「主よ、飯はまだか?」
クシュリスのそんな言葉で俺ははっとした。
どうやらずいぶんとぼーっとしていたらしい。
帰ってきたときはまだ明るかったのに既に部屋は真っ暗になっている。
あわてて部屋の電気をつけ、時計を確認するとちょうど8時になったころだった。
「って言うか、お前、途中から何処に行ってたんだよ」
「野暮用だ。気にするな」
・・・はぁ。まあ、いい。こいつの奇怪な行動は今に始まったことじゃないしな。
「よし、食いに行くか、食堂に」
そういいクシュリスを連れて俺は食堂に向かった。

「で、入る部活は決めたのか?」
飯を食い終わり、満足した様子のクシュリスはそう聞いてきた。まだ何と無く迷ってた俺は、
「ん?ああ・・・」
といってごはんを食うのに集中してるフリをしてその場をごまかした。
何故そんな行動をとったのかは自分でもよくわからない。
そしてこのとき俺は気づいてはいなかったし、気づくはずもなかった。
これから起こる、後に「クライシス」と呼ばれることになる事件が既に動き始めていたことを。



どこかの会議室のような場所。
そこで10人ぐらいの人が集まって何か話している。
国籍はどうも統一されてはいない。
そのうちリーダーのような男が話し始めた。
「・・・・・か。まあいい、ほうっておけ。そのうち向こうが動く」
「また、後手ですか?やれやれ、うちの可愛い後輩が犠牲になるかも知れんのですよ?」
日本人の男が口を開いた。
「そうならないようにするのが君たちの仕事だろう?」
「・・・やれやれ、所轄の刑事さんたちの苦労がわかりそうな気分やわ」
「それよりも奴らの動向はつかめたのか?」
「そっちは・・・・くんがやってるはず。そう急がされても困るんやけどな」
「こちらとしては一向に構わんよ。そのぶん君の後輩に危害が及ぶだけだ」
日本人の男は少し不快を表情に出して、またすぐにおしとどめた。
「・・・あんたらに何言っても埒明かんわ。ま、こっちはこっちでやらしてもらいます」
「ハナから東洋の果ての国にあまり期待はしていない。のんびりやるがいいさ」
別の男がそういうと日本人の男を除くものが笑い出した。
「・・・不愉快やね、帰らしてもらうわ」
そういって日本人の男は部屋を後にした。






あとがき?
ハイ、ようやっと完成、第二章。つかね、遅すぎw
ついでにね、文章能力なさ過ぎwでもまあ、自分的にはまあまあ納得の行く展開にできたからいっかぁw
次ができるのはこのペースだと12月か・・・w
まあ、期待しないでまっててくださいw


miyukiさんへの感想はこのアドレスへ
yukimamikoto@hotmail.com


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