名(迷?) 探偵 四葉 AS3
生まれ変わって≪後≫
『何度も生まれ変わって、何度もめぐり合うと約束して』――少女は、そう、呟いた――
――次の日の早朝。
その日、ゼファールはいつもより早く起きることとなった。
「……ゼファール殿、ゼファール殿」
「…むぁ?」
部屋で寝ていたゼファールを起こしに来たのは、見知らぬ兵士であった。
その見知らぬ兵士は『王がお呼びである。至急、御前に参上すべし』という旨をゼファールに告げると、どこかへ去っていった。
(――はて?)
自分はなにか、王の気に触ることをしただろうか?
ゼファールは服を着替えながら考えた。
しかし、考えても考えても、そのようなことがあったとは思えない。
とりあえず顔を出すしかないようだ。
ゼファールは覚悟を決めると、部屋を出た。
部屋を出る前に見た時計によると、今はまだアーガの刻≪=四時半≫であった。
(アードリアが攻勢にでもうってでたのか?)
アードリアとは中央に位置する大国である。小国家群をはさんで、目と鼻の先の国だ。
ノーゼル川上流の激流がアードリアの信仰を防ぐ役割を果たしてはいたが、本気になって攻められれば、全力で迎え撃つ他ない。
だが、それにしては城内は静かだった。
(いったい、どうしたというのだ?)
釈然としないものをかかえながら、ゼファールは玉座に足を進める。
玉座にはミガルシャットの王であるクリルクルス王ただ1人がいた。
40代後半と聞くが、まだまだ若々しい、赤髪の王であった。
赤い顎鬚≪クリルクルス≫が、えもいわれぬ威圧感を醸し出している。
衛兵すらいないことを不思議思いつつ、王の前まで足を進めて、ゼファールは膝を折り、首を垂れる。
「赤の騎士が子、ゼファール参上いたしました」
「顔を上げろ、ゼファールよ。そして、もっと近くによりなさい。人払いしてあるが、だれぞに聞かれると厄介だ」
「……はっ」
ゼファールは立ち上がると、二・三歩前に歩み、再び膝をつく。
今回は、顔は王に向けたままである。
「このような朝早くから来てもらったのは他でもない。我が子、グランセクトとセントシャットのことだ」
「は」
……誰かから、あの2人のことを聞いたのだろうか?
だとすれば厄介なことこの上ない。
だが、たかだかそれだけで自分を召すものだろうか?
「緘口令をしいておるのだが、実はあの二人、駆け落ちしおった」
「……はっ?」
おもわずゼファールは聞き返していた。
まさか、という思いであった。
まさか、こんな早くに行動を起こすとは。
「グランセクトとセントシャットが昨日の夜遅くに共の者を数人つれて城から駆け落ちした。もしその事が民にでも漏洩すれば、この国の基盤を揺るがしかねん。……そのうえ、この国は是神教の国家だ。もし『破門』でも受けた場合、あっという間にこの国は戦火の渦中に放り込まれ、アードリアに滅ぼされることになるだろうな」
「は、はぁ」
王は他人事のように言った。
ゼファールは相槌を打つことしかできない。
いったい、王は自分に何を期待している?
「余も人の子、あの2人の子が可愛くないわけがない。だが、あの2人が駆け落ちしたということ知られるところになれば、余は自らの子らを自らの手で誅殺せねばならなくなるのは必死じゃ。国や民のためとはいえ、自分の子を殺すようなことはできぬ。そこで、だ。お主に穏便な解決をしてもらいたい」
「といいますと、あの2人を連れ戻せ、ということでありますか?」
「あの2人だけではない。おぬしの妹、クローバー他三名の騎士も連れ帰れ。穏便に済ませられるならば、余は穏便に済ませたい。それができるのは、我が国一の使い手、とされるお主だけじゃ。……頼めるか?」
ゼファールは考える素振りを見せた。
「……たとえば、クローバーが二人の中を後押ししていたとしても、クローバーの命は保障していただけますか?」
「もちろんじゃ。余は、人の命をいたずらにとろうとは思わんよ。……二人とも病気で伏せていることにしてあるが、あんまり長い間伏せているのも変であろう。あまり時間をかけるなよ。最悪の手段をとらねばならなくなるかも知れぬからな」
「……承知いたしました。赤の騎士の名にかけて、必ずやあの二人、および他の騎士も安全に連れ帰りましょう」
「たのもしいな。頼んだぞ」
「はっ」
最後のチャンスだ。
ゼファールは、そう感じた――。
――次の日の夜。
クリルクルス王の下に、ある人物が尋ねてきた。
名を、アーリマン。
現王国第一の諸侯である。
性格は卑屈で臆病だが、その性格ゆえに、着実に階段を上ってきた男である。
「…王」
「アーリマンか。呼んでおらんぞ」
クリルクルスはこの男が全くもって嫌いであった。
この男の持つ、鬱屈とした雰囲気。
なんというか、一緒にいるだけで不幸になるそうな、そんな雰囲気だ。
いつか、なにかに嵌めて失脚させようとは思っているのだが、なかなかシッポをつかませない。
「…教会のほうから、兄妹で駆け落ちしたものがいるのではないか、という通達がきましたが」
「なぜお前が教会からの使者の言を聞くのだ。ここまで連れてこぬか」
「…私に言うなり、戻ってしまいました。ですから、今ごろはすでにゲルベルクに入っている頃と思われます。…それとはべつに、わたしめがその役目を司ってもよろしいでしょうか?」
「兄妹で駆け落ちするものなど、この国にはおらぬ。そう使者を送れ。探す必要など全くない」
「……さようでございますか。…王からいただきました我が領内でそれらしき兄妹を見たという噂をきいたのですが」
「……ならば、その使者どもはおぬしの下に来たのであろう? なぜ余にそのことを言う? お主は自らの領内すら満足に統治できぬか?」
「…滅相もありません。…では、すぐに領内に戻り、捕らえましょう」
「…………」
「…では、失礼いたします」
アーリマンが出て行くのを見守ってから、クリルクルスはつぶやいた。
「――時間がないぞ、ゼファールよ」
――さらに1日後。つまり、あの2人が駆け落ちしてから二日後。
ほとんど寝もしないでサラーダルク地方を馬に乗って駆け回っていたゼファールは、ついに有力な情報を掴んだ。
ミガルシャット平原の東北部に落ち延びていく綺麗な服を着た二人とそれを守る騎士の一団を見かけたという。
「ミガルシャット東北部か……よし、あと一働き頼むぞ、エンフルワズ」
彼はそう、自分の乗った馬に話し掛けた。
赤い鬣の馬は、彼と一緒にずっと走り続けていたけれど、疲れも見せずに、おおきくいなないた。
ゼファールが馬の横腹をける。
「よし、行くぞ!」
訓練された紅い軍馬は、星明りが照らすのみの草原を紅き風となって疾走し始めた。
――同じ頃。
……既に城を出てから二日が経ちました。
城からでたとき、お父様が緘口令を敷くだろうから、はやく逃げ切れるとばかり思っていたのに……
どこにもかしこにも、私たちを探しているらしき兵隊さんがいて……逃げるために交戦しているうちに、いつのまにか、私たちについてきているのはクローバーのみになってしまいました……お城を出たときは、クローバーのほかに3人の騎士がいました、でも――
――その3人は、私と兄君を守るため……亡くなってしまいました……。
クローバーもそうなるのかと考えると…すごく、ぞっとします…。
私たちは、とある森の中でひと時の休息をとっています。
明日には、ウルグンヌ山脈には入れるでしょう。
そうすれば、さすがに追っ手はやってきません。
――意外に、兄君は元気そうです。
今は眠っていらっしゃいますが、なんだか、外の世界をとっても満喫しているように思えます…。
センも、そのように思えればよかった…のに。
――クローバーは既に帽子を落としてしまいました。
『帽子なんて要らないデス』とは言っているけど……とても悲しそうで――それに、服のあちこちはほつれ、満身創痍のように見えます……
――神様、私たちが愛し合うことは、間違いだったのでしょうか?
………――
……………………
「――センちゃんっ! 起きてっ、見つかっちゃった!」
……どうやら、私はいつのまにか眠ってしまっていたようです……。
そして…わるいことに、追っ手に見つかってしまったらしいのですっ。
見たところ、囲まれてしまっています……っ!
「セン、乗れ!」
「……っ!」
私は手を掴まれ、馬上に引っ張り上げられました。
私を引っ張り上げたのは、もちろん私の…愛する兄君…。
兄君は私を自分の前で抱きながら、上手に手綱を捌いて馬を回転させ、兵を近寄れないようにしています。
「早く行ってくだサイ! ここはクローバ−が!食い止めます!」
クローバーが振り向かずに、そう言いました。
「しかし……っ!」
兄君が逡巡します。
すると、クローバーは振り向いて、言いました。
「早くっ!」
「……わかった、必ず生きろ!」
「クローバー!」
私は無我夢中で叫びました。
幼馴染のクローバー……ここに残せば、彼女は死ぬまで戦ってしまう!
すると信じられないことに……クローバーは私を見て微笑みました…とても穏やかで誇らしげに。
「センちゃん、クローバーのことは心配要りませんっ! ……さぁ、はやく!」
「……絶対死ぬな!」
兄君は馬を走らせ、兵の頭を飛び越えました。
「クローバーぁぁぁ!!! ――」
――どれくらい走ったでしょうか?
日は昇り、いまや天近くに来ています。
馬は既に、限界が来ていて……先ほど別れました。
よく2人を乗せてがんばってくれたものだと…ありがたく思い…これからは自由に生きて欲しい。
そう、私たちのように。
――私たちの周りは、一面に黄色い花が咲いています。
既にウルグンヌ山脈に入り…兄君と隣り合って、手をつないで歩いています。
黄色い花はとても綺麗で……私たちの新しい未来を……祝福してくれているような……そんな感じです…。
そんな花畑を進んでいると、ふと、兄君が立ち止まりました。
「どうしたの、兄君」
私は振り向いて、兄君に尋ねました。
そして、離れてしまった手を、もう一度兄君と結びつけるため……手を伸ばしました。
「さぁ、行きましょう、2人だけの世界へ」
「……あぁ、そうだね」
…そう言った兄君の眼は、とても悲しそうでした。
――ゼファールがそこを訪れたのは、その二日後の昼であった。
黄色い花が咲き乱れる、非常に綺麗な平原――ここにあの2人はいるはずであった。
二日も経ってしまったのは……クローバーを葬っていたからだ。
彼女の死は、辛かったが、受け止めた……あの2人を、今は探さなくては。
エンフルワズから降りてゼファールが辺りを見回すと、ちょうどその真ん中辺りに、ポツンと一つだけ小屋が建っているのが見える。
「――あそこだな」
非常に落ち着いて、彼は言った。
クローバーが死んで、自分も死のうと思ったが……復讐の炎が、それらも悉く焼いてしまって……さっぱり死のうという気にはならなかった。
(それに……クローバーは、俺に"生きて"といったしな……)
クローバーの最後の願いだった。
ゼファールはそれを守ろうと思っていた。
心地よい風が吹いて、ゼファールを現実に引き戻した。
ゼファールはエンフルワズをその場で待たせ、黄色い花をかき分け、その小屋へと向かう。
どのような顔をして合おうか? ……どのような顔をすればいいのか?
成り行きに任せよう、ゼファールはそう思った。
――ほどなくして、ゼファールはその小屋に着いた。
城とはあまりに違いすぎた。
(この中で2人は仲良く暮らしているのだろうか?)
クローバーは結局死んでしまったのだ。
この2人を邪魔する必要があるのか?
(――いかんいかんいかん!)
クローバーが死んでからというもの、自殺しようという気は起きないが、考える事がやたらと暗い方向ばかりだ。
様子を見るだけでもいいではないか。
それでもし、あの2人が決して離せない、そう自分が感じたら……自分が王を説得すればいい、ただそれだけだ。
(――よし)
ゼファールは意を決して戸を叩いた。
が、中から返事はない。
「――? ゼファールだ。……グランセクト? セントシャット? ……いないのか?」
へんだな。ここではなかったのだろうか?
ゼファールが戸を横に引くと、がさがさという音を立てて、その戸が開いた。
窓が一つしかなく、その中は暗い。
あけた戸から差し込む光が、誰かの脚を照らしていた。
脚の数は四本だ……ということは間違いない、グランセクトとセントシャットのものだ。
「――なんだ、いるじゃな……い……」
そこでゼファールは気付いた、血の匂いがすることに。
(なっ、…そん、な……!)
喉が凍りついて、足が固まる。
何かいおうにも、何にも言葉が出ず、足は石になってしまったかのように動くことが敵わない。
暗闇に目が慣れてきて――その彼の眼にうつったのは、残酷な現実。
グランセクトとセントシャットは仲良く並んでいた。
眠っている、とゼファールは思ったかもしれない――二人の胸に突き立っているナイフを見なければ。
「どうしてだ……ッ!」
かろうじて、その言葉だけが、ゼファールの口から洩れた。
彼はがっくりと膝をつき、地面に臥した。
程なくして、地面に染みができた――。
――さらに二日後。
ゼファールは王城にいた。
「――なるほど……、皆、死んでしまったか……」
「……はい」
クリルクルスは天井を仰いで嘆息した。
必死で涙をこらえている……ゼファールには、そのように見えた。
しばらくして、クリルクルスはゼファールに問う。
「――お前まで死ぬことはないだろうな」
「はい」
これだけは、はっきりと言えた。
クローバーが言った"生きて"という言葉が…今でも鮮明によみがえる。
(俺は…クローバーのためにも、生きなくちゃいけない)
心に突き刺さる何か……それは現実だ。
あまりに痛く、彼の精神を苛んでいる。
だが……だが――
(――これを乗り越えたときに……希望を信じれるだろうか?)
ゼファールは天井に隠れて見えない天を仰いだ。
『――その15年の後、クリルクルス王が死ぬと、ゼファールがその王国の王となった。
『赤の騎士』の名誉は回復しており、ゼファールは懸命に国を良くしようと"生きた"。
結果、王国は成長し、中南東部に覇権を築く礎を築き上げた。
名君として知られ、隣の小国家であるとある国から"エイ"という姫を妻にもらい、その国と永きにわたる平和を築いた。
晩年の彼の口癖である。
『私は、事実を乗り越えて、希望を築くことができただろうか』――』
――冥界《アルタイキア》の中央からすこし西にずれた辺りにその館はあった。
冥主の館《グレイノート》。
それがその館の名前だ。
名のごとく、そこに住んでいるのは、冥主ヘルだ。
グレイノートの上空を白く輝く何かが東から西へ飛遊してゆく。
それは魂だ。
セントシャットの魂は、今そこを通ろうとしていた。
魂にはほとんど意思はない。
だが、それが人から呼ばれたりしたとき、その存在意義を思い出し、人格が再び宿るのだ。
「――そこを行く魂……セントシャットというのですね。ちょっと来てください」
グレイノートの中心にある塔の一番上で、その男が彼女の名を呼んだ。
モノクルをかけたその男は、すこしやせ気味で色白であった。
男の名は、ヘル。
つまり、この屋敷の主であり、アルタイキアの主だ。
『私を呼んだのは…貴方ですか?』
「いかにも。…貴方は非常に高い魔力を持っていますね。どうでしょうか、私のいうことを聞いてはくれませんか?」
『私は一刻も早く生まれ変わり、私の、兄君と再びめぐり合わなければなりません。どうか、そっとして置いてください』
そういうと、魂はさろうとした。
その魂に、ヘルは言う。
「では、貴女が私のいうことを聞いて下さったら、貴女が望むときに、記憶を所持したまま、現世に生まれることを可能にするといったら……どうしますか?」
『えっ? ……そんな事ができるのですか?』
「もちろん。記憶のない状態で、前世を思い出すことは不可能に近いですよ。貴女はとある男と来世で会うことを誓い合った。私のいうことさえ聞いてくだされば、来世といわず、その先も、さらにその先も、貴女をその男とめぐり合うように生まれ変わらせれますよ。こう見えても、顔が広いのでね。……ただ、記憶を持ったまま生まれ変わると、死んだ歳までしか成長しないのですが……それぐらい構いませんよね?」
『…………』
セントシャットは逡巡した。
しかし、ほどなくして、彼女はそれに頼むことに決めた。
『……よろしくお願いします』
「本当にいいですね? 心臓を貫かれぬ限り終わることのない永遠の命を持つこととなり、そして、その名を捨てなくてはならないけれど、いいですね?」
『……それは初耳なんですケド』
「気にしないで下さい。……この世界で心臓を貫けば、永遠は終わりますから。現世で心臓を貫かれたとしてもこの世界に戻ってくるだけですよ―――では、まず、その名を捨て、これより貴女は"千影"と名乗ってください」
『ち…かげ…?』
「そうです。永遠の命を手に入れるための、ちょっとした儀式ですよ」
『……はい』
これが彼女を輪廻の苦しみに何度もいざなうこととなった――。
――その世界で、1500年の月日が流れた――
「……千影」
「はい………父上」
彼女が冥主に依頼されたこととは、魔界をすべる魔王の唯一直属の臣、魔王長ルキフィシエルの娘になることだった。
詳しい理由は知らない。
だが、ルキフィシエルはとりあえず千影には良くしてくれた。
――1500年の時で、今までに2回転生した……が、どちらも失敗に終わっていた。
「あの男が……お前の望んでいる男が……もうすぐ現世に甦る。お前は…どうする?」
「私も………甦ります…………」
「そうか………」
ルキフィシエルは決して感情を表に出さない男……というか常に仮面をかぶっていたが……なんとなく、がっかりしたような声音だった。
その声を聞いて、千影は思わず微笑む。
「安心を…………父上…………。きっと私の兄くんも………魔王長を継ぐに相応しい…者になっているでしょうから…………」
その不思議な親子が、声を合わせて微笑した――。
――千影は、すこし焦っていた。
今年は、彼女が生まれ変わって15年目になる。
彼の近くに生まれることはできても、細部までは調節できないらしく、なぜか彼の妹としてしか生まれないのだが……まぁある意味好都合だと言えた。
ルキフィシエルは『必然』がどうのこうの言っていたが……まぁたいして自分には関係ないだろう。
知ったところで、何もかわらないだろうから。
ともかく、今言いたいのは、時間がない、ということだ。
(…………後一年……か)
昔から鈍感だったが……ここまで鈍感になってしまっているとは。
千影は手中の大きなクリスタルから目を離した。
このクリスタルには彼女の記憶が、1500年分つまっている。
悠久に近い時間をすごしてきたせいで、ときどき自分が何をしていたのか忘れそうになってしまう。
そういうとき、このクリスタルを見る。
見て、決して途絶えぬ思いを……再び胸に秘める………のだ。
(兄くん……)
前世で誓い合った仲なのに…………どうして、アナタは…気付いてくれないの?
そのとき、家のドアが叩かれた音がした。
(………そうか、今日は兄くんが…………私を誘っていてくれたんだっけ…………)
まったく…………そういうところだけは………まめなんだから……。
――すこしだけドアをあけると…………そこにいたのは………やっぱり、兄くんだった…………。
「やぁ……兄くん…………今日は、はやいんだね………」
私がそう言うと…………兄くんはむっとした顔をして……『いつも約束には早く待ち合わせてるつもりなんだが』……なんて、言うんだ…………。
ふーん…………この間、約束をすっぽかしてくれたのは…………どこの誰だったかな………?
『そ、それは……』………冗談だよ………兄くん………。
『………な、なんだか悔しいぞ』。
フフッ………本当は……もうそろそろ…1500年来の約束を……果たして欲しいんだ………兄くん…………。
兄くんは………私が悲しそうな表情をしたのを…………決して見逃さない。
いつも『どうしたんだい、千影?』……ほら、こんな風に…………訊ねてくるんだから。
…………そういうところを…………私は好きになったんだ…………。
「…………兄くん」
「なんだいちか……」
私は…………兄くんの顔を両手で押さえて…………私の唇を…そっと………兄くんのそれに重ねた…………。
『…………』
…………兄くんへ。今度という今度は………必ず、キミを…………私のものにしてあげる…………。
後懺悔:後悔するなら書くなよ、という突っ込み早めてください。
すみません、目茶目茶長くなってしまいました。
25000文字突破しちゃったり……。
名探偵四葉AS6を破る大記録となっちゃいました……。
いろいろと突っ込み所があると思いますが、なんだか、ワタシはこれで満足してしまってるので、『これのどこが千影BDSS?』とかそういうツッコミをくれたりすると、泣いて謝ります。……だから、その根本にかかわる突っ込みは……やめてください◇
短くできましたとも。タレットの上で飛び降り心中させれば、もっと短くなりました。
しかし、それでは四葉の活躍がないじゃないですか!≪今回はクローバーですが……≪笑
このくそ長いSSをここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。
感想なんかくれたら、さらに嬉しいデス。
『感想なんかくれると、これの少し抜けた部分のありかを教えちゃう! あーん、四葉ってばすばらしいチェキをしちゃった!』
宣伝:
∞螺旋、読んでください。犯人当てに、参加して下さい◆