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少女達の会話4

作者:カッツォ


「ねぇねぇ衛。アンタ、幽霊が見えるってホント?」
「鈴凛……ボクは思うんだけどさ、それはいきなり人の部屋のドアを爆破して入ってきた人間の第一声として正しいのかな?」
「まぁいいじゃん。ちょっと火薬が余っちゃってさ」
「だからって人の部屋のドア爆破しないでよ!」
「まぁまぁ。ちゃんと新しいドア作ってあげるからさ」
「……どんな?」
「1000円入れると開くやつ」
「なんで自分の部屋入るのにお金払わなきゃいけないのさ! しかも高いよ!」
「これでこの問題は解決ね」
「してないって!」
「で、幽霊が見えるってホントなの?」
「……っていうかさ、そんな話誰に聞いたわけ?」
「別に? 私が勝手に思っただけ」
「なら、さも『みんな言ってます』みたいな言い方しないでよ! しかも何で唐突にそんな事思うのさ!」
「いや、千影アネキが『衛くんには……なかなか才能がある……』って言ってたから」
「……マジ?」
「うん。生贄としての」
「マジ!?」
「気をつけた方がいいんじゃない?」
「気をつけてどうにかなる……?」
「今なら、2000円で」
「いらないよ!」
「……チッ」
「はぁ……とにかく、一応気をつけることにしよう」
「そうね。でないと、知らない間にお星様になっちゃってるかもよ?」
「嫌なこと言わないでよ……」



「ところでさ。結局このドア、どうしてくれんのさ」
「だから、私が直してあげるって。なんと今なら無料で」
「入るたびにお金とられるやつ?」
「うん。2000円」
「何気に増えてるし!」
「この鈴凛ちゃんを、タダで働かせられるなんて思わないでね」
「さっきと言ってること違うじゃん!」
「世の中に、常に変わらないものなんてないんだよ」
「変に正しい事言われても困るし! だいたい、なんでそっちが壊したのにボクがお金払うのさ!」
「まったく……じゃあ、1980円にしといてあげるわよ」
「値段の問題じゃない! ……っていうか微妙! 毎回、どんだけ小銭入れなきゃいけないのさ!」
「大丈夫。お釣りは出ないから」
「大丈夫じゃない!」
「もぅ、守銭奴なんだから……」
「どっちが!」
「じゃあ、1290円」
「ダメ!」
「1670円」
「増えてる!」
「仕方ないなぁ……980円にしといてあげるよ。これでおいちゃん、儲けがなくなっちまったぜ」
「あんた誰だよ! っていうか全額儲けじゃん!」
「よし、じゃあこうしよう。タダにしてあげるから、代わりに写真撮らせてよ」
「は? ボクの?」
「うん」
「何に使うの?」
「焼き増しして売る」
「誰に!?」
「男女問わず、衛ファンの皆さんに。1枚2500円はかたいね」
「ぼったくりすぎでしょ! っていうか売れないって!」
「いやいや、そんなことはないって。あんた、バレンタインデーにもホワイトデーにも大量にプレゼントとかもらうでしょ?」
「う……まぁ」
「そんだけファンが多いってことじゃん」
「それを言うなら鈴凛だってそうでしょ! バレンタインの時なんてボクより明らかに多かったじゃないか! 自分の売ればいいじゃん!」
「あれは3分の1ぐらい小森さんからなんだよね……だいたい、知らない人間が自分の写真を大切に持ってると思うと、気持ち悪くって」
「ボクだって嫌だよ!」
「わかった。じゃあ写真を撮らせてくれとは言わない。代わりに、使用済みハブラシとか……」
「もっと嫌だよ!」
「もぅ……じゃあ、どうしてほしいの?」
「自分で壊したモノぐらい自分で直してよ!」
「……ま、いっか。今まで散々協力してもらったし」
「え? 協力って……まさか……」
「いやぁ、体育大会の次の日なんて、10万円も儲けさせてもらったしね」
「盗撮!? っていうか儲けすぎでしょ!」
「1枚100円だったけどね」
「あ、意外と良心価格……って、1000枚も売れたの!?」
「いやぁ、アレには私もビックリよ。衛の底力を感じるね」
「何の力さ! あぁ……少なくとも1000人の人がボクの写真を持ってんのか……」
「いやいや。1人で何枚も買ってく人もいるから、実際はもっと少ないよ」
「フォローになんないよ!」
「ご愁傷様」
「誰のせいだよ!」



「もう……衛、いつまでヘコんでんの?」
「だから誰のせいだって……」
「わかったわかった。じゃあ、秘蔵の『アニキの寝言コレクション』あげるから」
「あ、それいいかも……」
「『衛〜』なんてーのもあるよ」
「ホント!?」
「マジマジ。特別にタダであげちゃうよ」
「やった! ありがとう、鈴凛!」
「ま、いいってことよ」
「あにぃ、どんな夢見てるんだろうなぁ……」
「(アニキの寝言を聞いて興奮する衛の写真……いや、ビデオ。こりゃ高く売れそうだわ……)」
「やっぱり、ボクの夢見てるのかなぁ……」
「(なんせレアもんだからね……ガッポガッポよ……)」
「うふふ……あにぃがボクの夢……」
「あははは……ガッポガッポ……」

「なぁ、咲耶。あいつら何やってんだ? ドアもぶっ壊れてるし……」
「だいたい想像がつくんじゃない?」
「あぁ、まぁ……」
「じゃあ、ほっとくのが一番でしょ」
「そうかもな」
「まったく、なんであんな風に育っちゃったのかしら?」
「……お前も含めてな」







あとがき
ついに第4弾まで出てしまったこのシリーズ。
まだ出るのか続編。
出していいのか続編。
むしろ、ここまで来たら出さなきゃいけないのか続編。
全ては謎に包まれています(ォィ)

さて、衛は2回目の登場です。
やはり、ツッコミとしての貴重な戦力(?)ですからね。
毎回このシリーズは結構書きやすいんですが、今回は特に書きやすかったです。
やはり、衛&鈴凛は書きやすいみたいです。
まぁ、ネタが出やすいかとなると全くの別問題ですが。
今回も微妙な出来っすね……(汗)

このままシリーズを続けるとなると、残る妹はかなり限られてきましたね……
果たして書けるのでしょうか?
なんか、一番難しい奴らが残ってる気がします……(汗)

感想はもちろん、てめぇふざけんじゃねぇ! というものまで、何でもいいので送っていただければ幸いです……



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1483sy@hkg.odn.ne.jp

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