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 どうも、サボテンを愛して止まない男・兄です。
 今日は、特にお気に入りのジェニファーちゃんの紹介をしたいと思います。
 ジェニファーちゃんは、本来室内観賞用ではありません。
 だから、かなり大きくなるまで成長します。
 そうだ、せっかくだから身体測定をしてみましょう。
 身長は……160センチ。
 うん、2センチ育ったな。
 じゃあ、次は体重を……
   バン!(部屋のドアを開ける音)
「あにぃあにぃ! 大変だよ!」
   ドンッ!(衛がタックルかます音)
   プスッ(ジェニファーちゃんの熱い抱擁の音)
「ぐわぁぁぁぁ!」
「あにぃ、大変だよ! 下着ドロボーだよ!」
「って、普通に話進めんな!」


ランジェリーを守りぬけ!

作者:カッツォ


 どうも、サボテンを愛して止まない男・兄です。
 今日は、特にお気に入りのジェニファーちゃんの紹介をしたいと思います。
 ジェニファーちゃんは、本来室内観賞用ではありません。
 だから、かなり大きくなるまで成長します。
 そうだ、せっかくだから身体測定をしてみましょう。
 身長は……160センチ。
 うん、2センチ育ったな。
 じゃあ、次は体重を……
   バン!(部屋のドアを開ける音)
「あにぃあにぃ! 大変だよ!」
   ドンッ!(衛がタックルかます音)
   プスッ(ジェニファーちゃんの熱い抱擁の音)
「ぐわぁぁぁぁ!」
「あにぃ、大変だよ! 下着ドロボーだよ!」
「なんか話ループしてませんか!?」

「……で、下着ドロボーってか?」
「うん、そうなんだよ」
 どうせ勝手に話を進められそうなので、とりあえず俺も参加することにした。
 顔面から血が吹き出てたりするが、気にするわけもない。
「誰のが盗まれたんだ? 咲耶か? 春歌か? 千影……は無理か」
「ボクのだよ」
「……お前の?」
「うん」
「他には?」
「ボクのだけだけど?」
「……ふーん」
「なに?」
「いや、なんでもない」
 相手は変態か、もしくは……
 とにかく、やっかいな相手になりそうだ。
「とりあえず、盗まれた現場に行ってみるか。現場百回っていうし」
「そうだね」

 そういうわけで、やってきました衛の部屋。
「しかしお前ら、わざわざ自分の部屋で干してるわけ?」
「まぁ、混ざっちゃうとマズいからね。さぁ、早く手掛かりをさがそうよ」
「あぁ、そうだったな」
 異様にはりきっている衛に続き、部屋の中に入る。
   ツルッ
「ごはっ!?」
 が、入った瞬間何かですべり、思いっきり頭をぶつけた。
 あまりにマヌケな光景である。
 何に滑ったかを確認しようと、とりあえずそれを拾ってみた。
「な……これは……イチゴパンツ!?」
「あ、あにぃ! それは……」
「衛……」
「え?」
「お前が下着ドロボーか!」
「……はい?」
「よりによって、こんな王道チックなものを盗みやがって、お前は……」
「いや、っていうか……」
「お前ならそんなことしなくても、パンツくれる女の子なんてたくさんいるだろ!」
「なんでだよ!」
「衛、あにぃは悲しいぞ……」
「あにぃ……それ、ボクのだよ!」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「……なにぃ!?」
 あまりにショッキングな一言に、たっぷり10秒は固まってしまった。
「だってお前は、トランクスを……」
   ドゴボコバキョ!
「ぐぉ……」
 言い終わらないうちに、何やら恐ろしい効果音付きで殴られた。
 いやしかし、俺はてっきりトランクスを
   ドキャベキグシャ!
 モノローグにまでつっこむとは……強くなったな、衛……

「だが、そういうことなら話は早い」
 さっき、何かが潰れたような音も聞こえた気がするが、既にモーマンタイな俺。
 我ながらナイス回復力だ。
「早いって、何が?」
「うむ。俺の知り合いに、10年間窓拭きのバイトをしてるやつがいてな」
「はぁ?」
「それで、ついたあだ名が『窓拭き』だ」
「ふーん……そのまんまだね」
「だろ? はははは……」
「アハハハ……は? って、関係ないじゃん!」
「まぁ待て。話はここからだ。そいつは、可憐の大ファンでな。我が校の可憐ファンクラブNo.0002でもある」
「可憐ちゃんって人気あるからね」
「あぁ、兄としても鼻が高いな」
「………………」
「………………」
「……終わり!? ドロボーの話は!?」
「せっかちな奴だな……本題はここからだ」
「前フリ長すぎだよ!」
「で、だ。その窓拭きには1つの特技があってな」
「窓を拭くことでしょ?」
「まぁ、それもそうなんだが。もう1つ、彼には鼻が異常に利くという能力がある」
「あ! それで犯人を見つけてもらうんだね? ……って、なんか犬みたいだね」
「ま、大体正解だ。可憐の生写真でもあげりゃあ、喜んで犬にでもなるさ」
「じゃあ、早速頼もうよ!」
「うむ。さしあたっては衛、お前のパンツを貸せ」
「……は?」
「奴の鼻は少々特殊でな。モノによって利き方が違う。特に、こと女性下着に関してなら、数キロ離れていようとも嗅ぎ分けることができる」
「それって変態じゃ……いや、すごすぎるけど……」
「と、いうわけでだな。お前のパンツと同じ匂いを探してもらうわけだ。もしお前がトランクス……まぁ待て。わかったから。拳を下ろせ。……ふぅ。とにかく、お前がイチゴパンツをはいているとくれば、これで全てが解決だ」
「絶っ対イヤだよ!」
「なんでだよ? やっぱりお前、トラ……ごめん」
「そんなのに匂い嗅がれるぐらいなら、盗まれてる方がマシだよ!」
「いっしょだろ? どうせ、盗んだ奴も匂い嗅いでるぞ?」
「そういうネタはやめてよ! 作品自体の品性が疑われるでしょ!」
「しかしこの場面、異様にナレーションが少ないな」
「だからって、いきなり話題変えないでよ!」
「もともと、こんなのに品性があるのか?」
「話が前後しすぎだよ!」
「ふぅ……仕方ない。別の方法でいくか」
「え? あぁ……うん。ありがとう」



「というわけで、張り込みだ!」
 夜9時、衛の部屋のベランダ。
 ここで次なる作戦は結構される。
 懐中電灯に蚊取り線香、PS1、携帯テレビと、準備は万端だ。
「そんなもん持ってきてどうすんのさ!」
「む、張り込みに暇つぶしの道具は必需品だろうが! かの青島刑事だって、張り込みの時はテトリス持ってたんだぞ!」
「テレビなんてつけたら、人がいることバレちゃうじゃないか!」
「……おっと、それは盲点だったぜ!」
「はぁ……不安だから、ボクもやるよ」
「普通、下着ドロが出るのは丑三つ時だ。そこまで起きてるのか?」
「そりゃおばけでしょ……でもまぁ、結構遅くまで覚悟しなきゃね」

 そんなこんなで、2人してベランダの陰に座る俺と衛。
 空には雲もなく、大きな満月が辺りを照らしている。
 衛も、その雲をじっと見つめているようだ。
「おっきぃ……」
「あぁ、そうだな……」
「でも、1つ気になることがあるんだ……」
「俺もだ……」
「昨日って、三日月じゃなかったっけ……?」
「あぁ……2人して、宇宙人に記憶操作された可能性は否めないけどな……」
「それと……もう1つ、思うことがあるんだけど……」
「たぶん、俺も同じことを思ってる……」
「「月が、近づいてきてる?」」
   ドゴォォォォォン!
 2人でハモった直後、月(?)がベランダに直撃。
 直径2メートル程の、見事な月(?)だ。
「う〜む、近頃は月まで落ちてくるようになったのか……異常気象、恐るべし」
「そんなわけないでしょ!」
 そうこうしているうちに、月の一部がパカっと開いた。
 そして中から、ある意味予想通りの人物が現れる。
「もうかりまっか?」
「ボケボケでんな」
「ちょっと、何言ってんの!? 出てきたのが誰かわかんないじゃん! っていうかあにぃは……いや、ある意味合ってるかもしれないけど!」
「んなもん、いちいち言わなくたってわかるだろ」
「そうそう。こんなことするの、私以外にはありえないって」
「自分で言うな!」
 もうわかってるとは思うが、中から出てきたのは鈴凛だ。
 ケガ1つしてないあたり、さすがは我が妹である。
「で、お前はなんで空から降ってきたんだ?」
「せっかく月の形してるんだし、こりゃあ降っていくしかないでしょう」
「じゃあ、なんで月の形してるんだ?」
「だって、月の形してた方が落ちてきた時かっこいいでしょ?」
「じゃあ、なんでお前は空から降ってきたんだ?」
「そりゃあ、せっかく月の形して……」
「もういいって! 先に進んでよ!」
 うむ、ごもっとも。
「で、お前は結局何しに来たんだ?」
「やだなぁ、アニキ。決まってんじゃない。下着ドロを捕まえに来たんだよ! 決して、ドサクサ紛れに衛のパンツ盗んで、ブルセラとかそっち系のおじさんとかに売ろうとしたわけじゃないよ?」
「出てってよ!」
 まぁ、衛の叫びが届くわけもないわけで。
 きっぱりと無視し、鈴凛は懐から何かを取り出した。
「鈴凛印のスーパーマシン! 『ドロボウさん、殺っちゃうゾ☆』!」
「何、そのネーミング!?」
 取り出されたのは、いわゆるネズミ捕りの巨大版である。
 無論懐に入る大きさではないが、彼女にとって物理法則など無視するためにあるようなものなのだ。
「フフ……ここにあるラーメンマン人形(超リアルVer)をとろうとドロボウが近づいた瞬間! バチン! グシャ! ゲチョゲチョ……」
「仕掛けるものが絶対間違ってるって! っていうか、音がエグいよ!」
「まぁ、ここはとりあえず鈴凛の科学力を信じるとしよう」
「うそぉ!?」
「さっすがアニキ!」
「いや、あれは科学とかじゃないって! っていうか……」
 まぁそんな感じで、オレ達は物陰に隠れてそれを見張ることにした。
「無視!?」



 で、3分後。
「う〜む、意外と早かったな」
「フフ……科学の勝利!」
「くそ……あまりのかわいさに、つい……」
「うそぉ……」
 ラーメンマン人形(超リアルVer)を握り締め、ネズミ捕り(略称)に捉えられた覆面。
 ちなみに、その覆面はロビンマスクのマスクである。
 ……ゆでたまごファン?
「さぁて、マスクを取とるとするか」
「だ、ダメ! マスクをとられた超人は……」
 なんか言ってた気もするが、かまわずマスクをはぐ。
 中から出てきたのは……
「咲耶あねぇ!?」
「くっ……」
「やっぱり身内の犯行だったね」
「あぁ、推理通りだな」
「え? そうなの?」
「考えてもみろ。この家には鈴凛のセキュリティが張られてるんだぜ? FBI本部に侵入するより難しいってーの」
「なるほど……ってことは、やっぱり咲耶あねぇが下着ドロ?」
「だよね? そう思って、ラーメンマン人形(超リアルVer)も仕掛けておいたんだよ?」
「ち、違う! ……と、トイレ。そう! トイレに行こうとしただけで……」
「あぁ、なんだ。そうならそうと早く言ってくれ。鈴凛、推理が外れちまったな」
「そうだね……おしい所までいったと思うんだけどなぁ……」
「そんなわけないでしょうが! どこの世界に、人のベランダ通ってトイレに行く奴がいるのさ!」
「もう、疑り深いわねぇ……私は決して、衛のパンツを盗んで、ブルセラショップやそっち系のおじ様に売ったわけじゃないのよ?」
「鈴凛と同じじゃないか! しかも、何気に過去形!?」
 ううむ、なかなかに判断つきにくい状況だ。
 仕方ない、切り札を投入しよう。
「咲耶、今なら『下着ドロな方に1/1ラーメンマンフィギュアあげちゃおうキャンペーン』実施中だ」
「ごめんなさい、私が犯人です」
「早っ! っていうか、1/1とかもらってどうすんの!?」
「よし、ホシは自供した。連行しろ」
「はっ!」
 鈴凛に連れられ、去っていく咲耶。
 夕日に照らされたその背中は、どこか寂しそうにも見えた。
「いや、今はもう夜だよ!?」
 結局奴も、時代が生み出した被害者の1人だったということか。
 悲しいことだ。
「わけわかんないよ!」
 そして俺は思う。
 次にこんなことが起こった時、俺は衛を守りきれるのだろうか……と。
「守られた覚えもないし!」
 この物語はフィクションです。実在の人物、団体名等は関係ありません。
「いきなり何!? いや、言っとかなきゃいけないけど!」
 ………………。
「え!? うそ、終わり!?」
 …………。
「いや、ちょっと……!」
 ……。
「あの……」
 …。
「 」








あとがき
どうも、カッツォです。
もう1度言っておきます。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体名は関係ありません。
ありませんったらありません。
さてさて、このSSは妄想戦士さんにリクエストいただいたものです。
え〜っと、もらったのは……4月頃でしたっけ?(死)
恐らく、期待したものとは全然違うものになってると思います。
ある意味ざまぁみろです(殴)
一応条件は満たしています。一応。
基本的にリクエストはいつでも受け付けてますんで、誰でもご遠慮なくどうぞ。
しかし、今回衛は徹底的にツッコミでしたね。
なぜだろう?
最初はボケのつもりだったんですけどね。
なぜか、兄がボケるボケる……
たぶん、衛は天性のツッコミです。
しかし、ナレーターがボケというのは非常にやりにくいですね。
その影響もあり、今回はいつも以上に尋常じゃなくナレーションが少ないです。
動きもなく喋ってるだけなのに入れようもないというか……
まぁ、入れようと思えば入れられるかもしれませんが。
私の力では、テンポを崩さず入れるのは不可能でした。
それにしても、今回の咲耶はわけわかんないですね(滅殺)
え〜っと、(その他、いろんなことで)ごめんなさい。
感想はもちろん、てめぇふざけんじゃねぇ! というものまで、何でもいいので送っていただければ幸いです。



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