トップへ  SSの部屋へ


「ふわぁ…おにいたまぁ…」
「ん? 何だ雛子、眠いのか?」
「うん…ポカポカしてて、フワ〜ンってなるの…」
「まぁ、春ってのは眠くなる季節だしな。じゃあ、もうお昼寝するか?」
「えぇ〜? ヒナ、もっとおにいたまと遊びた〜い!」
「う〜ん…そうは言ってもなぁ…」
「雛子くんが眠いのは…この暖かさのせいなんだろう…」
「いつも通り唐突だな、千影よ」
「ならば…その暖かさを無くせばいい……ブリザード…!」
   ビュオォォォォォ…
「さっむぅぅぅぅ!!」
「…………」
「雛子!? 大丈夫か、雛子!」
「あ〜…涼しくて気持ちいい〜…」
「うそぉ!?」


春眠暁を覚えず・壊れVer

作者:カッツォ


 何とか千影を止め、生命の危機から脱出した2人(兄だけ?)
 しかしまた暖かくなった途端、再び雛子は眠そうな顔をし始めた。
 …雛子にとって、千影案は意外と効果的だったのかもしれない。
「ほら、眠いんだったら早く寝た方がいいぞ」
「ふわ〜い…」
 兄にそう言われ、ソファーに向かっていく雛子。
 どうやら、眠気に抵抗しきれなくなったようだ。

 雛子が、 少しウトウトし始めた頃…
「お兄様〜!」
「うわっ!? 唐突に抱きついてくるな!」
 出かけていた咲耶は、帰ってくるなり兄に抱きついた。
 ドラム缶ぐらい軽くへこむような力で、だが、その程度で砕けるほど兄のろっ骨は弱くない。
「帰ってきたら、まずお兄様を抱きしめなきゃ!」
「いや、意味がわかんねぇよ」
「うみゅ〜…」
「「あ…」」
 突然雛子が起き上がり、兄に向かってフラフラ歩いてきた。
 それを見た2人は、同時に『しまった』という表情をする。
「………………」
 やや寝ぼけたような目で、現状を確認するように2人を見つめる雛子。
 やがて、ゆっくりと口を開いた。
「うるせぇよ、ボケ。それとお前。勝手に人のモンに抱きついてんじゃねぇ。オロすぞ、オラ」
「「…………」」
 寝ぼけたような目のままで、何やら恐ろしき事をのたもうた雛子。
 2人は、唖然として雛子を見ている。
「…2階で、もう1回寝てくるね」
「「…はい」」
 次のセリフは、もういつも通り可愛い雛子だった。
 しかし、なぜか2人はそう言うことしかできなかったという…




 …。
 …。
 …あれ? ヒナ、どうしてこんなに真っ暗ところにいるのかな?
   (ぱっ)
 あっ! お子様ランチだ!
   (ぱっ)
 オムライス!
   (ぱっ)
 ハンバーグも!
 いっただっきま〜す!
   (す〜…)
 ありり? みんな消えちゃった?
 ヒナ、食べたかったのになぁ…
「ひ・な・こ・ちゃん」
 あれ? 可憐ちゃん?
「雛子くん…」
 千影ちゃんも。
 ねぇねぇ、どうしてここにいるの?
 ここ、どこ?
「フフ…美味しそうだね…」
「うん…とってもおいしそう…」
 え? どうしたの…?
「「いただきま〜す」」
 うわ〜ん! ヒナを食べちゃやだよ〜!!




   ガバッ
 2人の手が到達しようかという瞬間、雛子の目の前に光が広がった。
 次に見た光景は、見慣れた自分の部屋。
「???」
 状況がイマイチのみこめないのか、寝ぼけ眼で辺りを見回している。
 ふと、その目に鈴凛の姿が映った。
「ヤッホー! いい夢見れたかな?」
「???」
 いつも通りやけにテンションが高い鈴凛に対し、やっぱり寝ぼけ眼の(というか半分寝ている)雛子。
 今更ながら、自分の頭にある機械に気付いた。
 さらに鈴凛の隣にも、雛子の体より少し小さいぐらいに機械が置いてあった。
 2つは、どうやらコードで繋がっているようだ。
「あ、気付いた? これはね、とっても楽しい夢を見れる機械なんだよ! ねぇねぇ、どんな夢が見れた?」
「……………」
「ねぇ? どうしたの?」
「……めっさ怖かったわボケェ!」
「(ビクゥ!)!!!」
 寝ぼけ眼から、一瞬だけ全ての生物を滅しそうな目に変化する。
 その目を見た鈴凛は、死ぬほど思った。
 あんたの方が数億倍怖ぇよ…と。
 そして、瞬時に悟った。
 …殺られる。
「うみゅぅ…」
 しかし、それはほんの一瞬。
 すぐに、元の目ボケ眼に戻った。
「しししし失礼しました〜!」
 これ幸いと、鈴凛は人間の限界値を軽く越えていそうなスピードで雛子の部屋を脱出。
 後に鈴凛は、この時ほど生きていることに感謝ことは無かったと語る…





「みゅ…」
「あら雛子ちゃん。お昼寝ですか?」
 まだ残る眠気に従い寝転がろうとした時、鞠絵が部屋に入ってきた。
 鈴凛が開けっ放しにしていったドアから、たまたま見えたのだろう。
「うん…ヒナ、お寝んねするの…」
「そう。なら、この薬を飲むといいですよ」
 そう言って、何かの液体を取り出した。
「これ、なぁに?」
「これは、安眠を促す効果のある薬ですよ」
「…ヤクか」
「ふふ…よくご存知ですね…」
「じゃあ、ちょっと貰おうかな」
「はい、どうぞ」
 またしても、一瞬だけ目が変化する雛子。
 しかし、なぜか鞠絵は動揺しなかった。
 さすが、普段から死の危機に瀕しているだけのことはある。
「そこ、問題発言ですよ」
 ナレーションにまでつっこむという神業まで成し遂げていた。
「いただきま〜す」
「ちょっと待て〜い!」
「(ゴクゴク)」
「って、もう飲んでるの!?」
 絶妙のタイミングで入ってくる兄。
 しかし、雛子はそんなこと全く無視である。
 兄のツッコミ虚しく、既にビンの中身は空になっていた。
 雛子の表情が、徐々に恍惚としていく。
「うふふふ…あははは…」
「鞠絵〜! どうすんだよ!」
「大丈夫ですわ。雛子ちゃんは今、大人への第一歩を踏み出したのです」
「んなわけあるか!」
「兄上様もお1ついかがですか?」
「いらん! っていうかお前、何本持ってるんだ!」
「わたくしの栄養源ですから」
「やめ〜い!」
「ふふふ…うふふふ…」
 12人の女の子と、1人の男の子が住む大きな家。
 その家には、今日も仲むつまじい兄妹の姿がありましたとさ…





 ちなみに、その夜。
「うふふ…」
 雛子は、まだアレだった。
「うふふ…」
 鞠絵も、いつもの習慣を行っていた。
「うふふ…」
 兄は、全てを諦めたようだった。
「「「あははは…」」」
 12人の女の子と、1人の男の子が住む大きな家。
 以下、省略…







あとがき
どうも、カッツォです。
あ〜…何だかなぁ…
とりあえず、壊れバージョンです。
雛子って、寝起きは機嫌が悪いんですね(死)
結局、思ってたより面白くならなかった…
あんまし変わってないような気も…
結局、壊れただけってことですか(滅殺)
今回は、とりあえず謝るしかないですね。
どうもすみませんでした!




カッツォへの感想はこのアドレスへ
1483sy@hkg.odn.ne.jp

トップへ  SSの部屋へ