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亞里亞の冒険?

作者:カッツォ


「亞里亞? 亞里亞かい?」
「あ、兄やぁ☆」
 ある日商店街で、フリフリのドレスを着た小さな女の子が、オドオドウロウロしているのを発見した。
 こんな場所であの格好は…と思い近づいてみると、やはり妹の亞里亞だった。
「どうしたんだい、亞里亞? こんな所に一人で。」
「亞里亞、おつかいに来たの…でも、道に迷ってしまったの…くすん。」
 今にも泣き出しそうな亞里亞に、慌てて声をかける。
 相変わらず泣き顔には弱いよな、俺。
「あ、泣かないで。よくがんばったね、亞里亞。えらいよ。」
「…亞里亞、兄やにほめてもらってうれしい…」
 泣きそうな顔からパアッと明るい笑顔になる亞里亞。
 うん、やっぱりうちの妹は笑顔がかわいい。 
 ………シスコンって言うな。

 
「それにしても……」
 おつかいって言ってたよな?
 亞里亞が今持ってるのって、ビデオコードと蝶番、それとみやげ物屋なんかでよく売ってるペナントなんだけど…
「いったいどんな買い物だ?」
「どうしたの? 兄や」
「い・いや、なんでもないよ…ん? そういえば亞里亞、どうやってここまで来たの?」
 冷静によく考えると、亞里亞の家からここまでは電車でも1時間はかかる。 
 とてもじゃないが、亞里亞一人で来れるとは思えない。
「ええっと…ここまで送って来てもらったの…」
「ふ〜ん、じいやさんに送ってもらったの?」
「ちがうの…羽が生えてて、緑色のフワフワした人に送ってもらったの…」
「え!? ………へぇ、そうなんだ………」
 何だかとても気になったが、あえて聞かないことにした。
 どうせ聞いてもわかんないだろうし、わかったらわかったで怖いし……
「じゃ・じゃあ俺といっしょに帰ろうか」
「はい☆」



 というわけで、俺は亞里亞の家へ行くことになった。
 が、途中いろんなことがあった。

「亞里亞、そっちじゃないだろ? 全くしょうがないなぁ」
 亞里亞が唐突にお菓子屋さんに入っていったり。(その後2万円分もお菓子を買ったり)

「てめぇ、亞里亞に触んじゃねぇ!」
 ロリ……もとい、あからさまに怪しいオヤジが亞里亞に近づいてきたり。

「あ・亞里亞? 誰と話してるのかな?」
 突然、「何か」に向かって亞里亞が話し始めたり。

「危ない!!」
 亞里亞がタールの沼らしき所に落ちそうになったり。

「おわ!! 避けろ亞里亞!!」
 羽の生えたでっかいトカゲ(始祖鳥?)に亞里亞がさらわれそうになったり。

 ……どういう所だここは……日本か?
 いや、それ以前にホントに21世紀か?
 しかしながら、中でも一番強烈だったのはあれだな。

「兄や、ここ…どこ?」
「う〜ん、ちょっとわからないなぁ」
 まさか、千影の力無しで異世界に迷い込むとはねぇ………
 その後なんとか脱出したけど(どうやったかは聞かないでくれ)、あの時ほど亞里亞の将来を恐ろしく思ったことは無いね。




 他にもいろいろとあったが、とにかく俺達は亞里亞の屋敷にたどり着いた。
 本来なら1時間ちょっとのところを、何故か5時間かけて……

「はぁ、やっと着いた…」
 何故かボロボロになっている俺。
「ありがとう、兄や。亞里亞、とっても楽しかったです☆」
 それに対し、とっても元気な亞里亞。
 …ふっ、まあいいか。亞里亞がうれしそうだし。
 …………だからシスコンって言うなって。

「ねぇ、兄や…」
「ん? どうしたんだい? 亞里亞?」
 そう言って、俺が亞里亞の高さに会わせてしゃがんだ瞬間。
「今日の…お礼です…」
 その言葉と同時に、俺の唇と亞里亞の唇が重なった・・・・・・
「あ・あり…あ?」
「兄や、大好きです☆」
 そして、とびっきりの笑顔を見せてくれた。
 頬が赤いのは、たぶん夕日のせいだけではないだろう。



「亞里亞様? 戻られたのですか?」
「あ、じいや」
 ほんわかした雰囲気の中佇んでいると、不意に若い女性の声が聞こえた。
 亞里亞のメイドさん、『じいや』だ。
「おかえりなさいませ、亞里亞様。ご苦労様でした。よくできましたね」
「はい、兄やがいてくれたから」
「兄や様が?」
「こんにちは」
「こんにちは。亞里亞様がお世話をかけましたようで、申し訳ありません」
「いえ、いいんですよ。それより……亞里亞が買った物って、ホントに合ってるんですか?」
「はい、すべて頼んだ通りのものです」
「そ・そうですか…」
 まあ、ビデオコードと蝶番は百歩譲って良しとしよう。 
 でも、ペナントって何に使うんだ?
「あの……ちなみに今日買ったものは何に使うんですか?」
「え? 生活の必需品ですが…」
「そうっすか…」
 いろいろつっこみたい所はあったが、いいかげん疲れたので、今日は帰ることにした。
「じゃあ俺はこの辺で」
「お気をつけて」
「バイバイ、兄や」
「バイバイ、亞里亞」




 こうして、俺と亞里亞のいつもとちょっと違う日は終わりを
「「「終わるか〜〜〜〜!!!」」」
「な・なんだ? せっかくほのぼので終われると思ったのに…」

「お兄様〜〜? 今、亞里亞ちゃんと何をしてたのかしら〜〜?」
 咲耶……笑いながら怒るな……心臓が凍りつく……

「ひどいよあにぃ、ボクだって…」
 衛……そんな切ない目で鉄パイプを振りかぶるな……

「兄君さま! お覚悟はよろしいですか?」
 春歌……それって真剣なのでは……?

「兄くん…これはね…この世で最高の苦しみを味わいながら死ねるという…素晴らしい薬だよ…フフ…」
 千影、いつの間に……お前にはもうコメントすることすら無いよ……


 訂正。終わるのは俺の命のようです。






あとがき
手直ししたSSではありますが、やはり訂正箇所が少ないです。
兄視点のSSは、今も昔もあんまり変わってないようですね。
改めて読んでみると、そう悪くはないような気もします(自画自賛?)
何より、衛を壊せていたことにちょっとビックリ(笑)
え〜と、とりあえず(いろんなことで)ごめんなさい。
感想はもちろん、てめぇふざんけんじゃねぇ、といものまで何でもいいので送っていただければ幸いです。(ただしウイルス等はご勘弁)


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1483sy@hkg.odn.ne.jp

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