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幸せよ……

作者:カッツォ


「好きです! 付き合ってください!」
「……ごめん。俺は誰とも付き合わないことにしてるんだ…」
「…あなたはいつもそう言って断るそうですね…どうしてですか!? 私が嫌いならそう言ってください! 好きな人がいるならそう言ってください! 冷たい言葉で突き放してください! そうしないと…あきらめられません…」
「…ごめん」
「あなたは…優しすぎます…その優しさは…時には人を傷つけることもあるんですよ…」
「…ごめん」
 俺にはそう言うことしかできない…彼女の言う事は…すべて正しいから…
「…いえ、いいんです。その優しさがあなたの魅力だから………っ…ごめんなさい!」
 そう言って女の子は走り去って行った。
 泣いているようにも……見えた。
 結構何度も見た光景だが…やっぱり胸が痛む。
「ホントにごめん…」
 誰に言うでもなく、もう一度そうつぶやいた。 
 それは自分を責める非難の言葉でもある。
 自慢じゃないが、俺はこれでも結構モテる。
 告白だってかなりの数を受けている。
 しかし俺は、さっきの言葉通り誰とも付き合わないことにしている。
 その理由は……
「兄君さま〜〜!」
「春歌…」

 恐らく、もう既に解っている方も多いだろう。
 そう、俺には12人のかわいい妹がいる。
 皆が俺のことを好いてくれてるし(まあ、愛情表現が異常な奴もいるが…)、俺も皆のことが大好きだ。
 それが、俺が誰とも付き合わない理由。
「兄君さま、いっしょに帰りませんか?」
「ああ、そうしようか…」

 帰り道、夕日に赤く照らされる寄り添った2つの影。
 それは、俺にとって最も愛しい時間。
 いつも俺のことを思ってくれている妹達。
 それは、俺にとって最も愛しい人達。
 永遠に続くものなんて無いことは解ってる。
 でも……できるだけ長くこの幸せが続いて欲しい……
 そう思うのは俺のわがままなんだろうな……

「兄君さま、どうかなされたのですか? ボーっとして」
「ん? いや、なんでもないよ」

 俺には12人のかわいい妹がいる。
 今はその幸せをかみしめていたい。
 たとえそれが、永遠で無くとも……














(?)  「って、終わるな〜〜〜!!」
(兄)  「な、なんだ?」
(春歌)「そうです! せっかくこれからワタクシと兄君さまの下校シーンだったのに。夕日の中見つめあう二人…だんだん近づく顔と顔、そして…いやんですわ!(はあと)」
(兄)  「い・いや、どっちにしてもそれは無かったと思うけど…って、あ〜! てめぇ作者じゃねぇか! 何しに来やがった!」
(作者)「アホか〜〜! あんな終わり方、たとえ読者が許してもこの私が許さ〜〜ん!!」
(兄)  「無茶苦茶言うなボケ! くそ…このアホ作者め…せっかくシリアス(?)で終われると思ったのに…」
(作者)「あんなオチも見せ場も無いままで終わってたまるか!」
(兄)  「じゃあどうすんだよ! 今からじゃシリアスに戻せねーぞ!」
(作者)「春歌といえば『命に代えても兄君さまをお守りいたします』だ! よって、不良登場だ!」



「よぉ兄ちゃん、見せつけてくれんじゃねぇか。かわいい女の子なんて連れてよぉ」
「ひょろい兄ちゃんだな、おい。」
「怪我したくなかったらおとなしく女の子を渡しな!」
「ホントに登場させやがった…何考えてやがんだ…」
「何ブツブツ言ってんだぁ?」
「そして兄君様とワタクシは…は!」
 春歌よ…まだ向こうの世界に行ってたのか…
「お待ちなさい!」
「なんだぁ? やろうってーのかい? ねぇちゃん!」
 春歌の妄想状態についてちょっとは触れろよ…
「兄君さまに狼藉をなす者、誰であろうと許しません!」
「へっ! やっちまえ!」
 そう言って春歌に襲い掛かる(かわいそうな)不良達。
「はっ!」
 初めに向かってきた不良の顎に見事な掌底をかます。まともにくらった不良(A)は当然気絶。
「てめぇ、調子に乗るなよ!」
 突然春歌の背後からおそいかかる不良(B)。しかし春歌は振り向きざまに裏拳をきめる。
「ぐわっ」
 あまりの速さに避けることもできなかった不良(B)はそんな叫び声をあげるのが精一杯なご様子。
「う…ちくしょーー!!」
 最後に残った奴はどこからか取り出したナイフを振り回しながら襲い掛かってきた。
 しかし春歌は動じることなく薙刀でそれを払い落とし、石突の部分で相手の後頭部を強打する。
「ふへっ!?」
 奇妙な叫び声をあげ気絶する不良(γ)
「なんでいきなりギリシャ文字やねん……」
 はい、死に際のツッコミご苦労様。
 というわけで、たった数秒で不良達は全滅した。
 しかし、一瞬の判断であれ程の動きができるとは…春歌の奴、相当な修羅場をくぐってきてるな…(どこで?)
 …どうでもいいが、いったいどこに薙刀なんて持ってたんだろう?

「ふぅ…ご無事ですか、兄君さま?」
「ああ、ありがとう春歌。じゃあ帰ろうか」
「はい!」



帰り道、夕日に赤
「だからちょっと待て〜〜い!!!」

(兄)  「あ! 作者! てめぇでしゃばりすぎだ! 『そんなこともあるさ』の時もそうだっただろうが!」
(作者)「うるせぇ! 話が思い浮かばねぇんだからしょうがねぇだろ!」
(兄)  「開き直るな!!」
(作者)「それより! 不良を一撃で倒してどうすんだ! 全然おもしろくねぇしスペースも稼げてねぇよ!」
(兄)  「それはてめぇの力不足だろうが! それより今度こそもう戻れねぞ!」
(作者)「く…このままじゃ『兄と作者のドタバタ漫才』じゃねか…」
(兄)  「それより、今回は春歌メインじゃねぇのかよ! セリフ十回しか言ってねぇよ! 量ならてめぇの方が多いじゃねか!」
(作者)「ぐ…それでは春歌さん! 最後に一言どうぞ!」
(春歌)「兄君様、お慕いしておりますわ…ポッ(はあと)」
「「これでいいのかよ…」」







あとがき
何気に最初のままシリアスで続けた方が面白いんでねぇかな〜なんて思う今日この頃(死)
それにしても、作者がでしゃばりまくり。
シスプリSSなのかどうかが疑わしいですなぁ…
え〜っと、とりあえず(いろんなことで)ごめんなさい。
感想はもちろん、てめぇふざけんじゃねぇ! というものまで、何でもいいので送っていただければ幸いです。(ただしウイルス等はご勘弁)



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