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 朝、起きた。
 いつも騒がしい我が家ではあるが、いつもの2倍ほど騒がしい気がした。
 嫌な予感を感じつつも、部屋を出た。
「………」
 予感、的中。


ダブル

作者:カッツォ


「「あっ、お兄ちゃまぁ! きゃっ!」」
 同時に喋り、同時に転ぶ花穂と花穂。
「兄や…」
「兄や…」
「おはよう…」
「おはよう…」
 輪唱する亞里亞と亞里亞。
「「兄チャマ! チェキ! チェキ!?(ゴツッ)」」
 違う方向から同時に俺へと向かってきて、頭をぶつけ合う四葉と四葉。
「…コレハ何ノ冗談デショウカ?」
 そう、妹達はみんな2人ずついた。つまり全部で24人。
 そりゃあんた、カタコトにもなりますさ。
「え〜、とりあえず千影。一応訊いておくが…何があった?」
「フフ…ちょっと実験に…」
「失敗してしまってね…」
 なぜか交代で喋る2人の千影。
 そのセリフ、もう聞き飽きましたが?(涙)
「…で、具体的にどうなったんだ?」
「ふむ…妙な魔物を…呼び出してしまったようでね…」
「どうやら…人に化けるらしいんだ…」
「化けられた人間は…徐々に弱っていく…もちろん…他から見てもわからないようにね…」
「そして…その人間が死んだ時…魔物が本人に…取って代わるんだ…」
「…で、いったいどうすればいいんだ?」
 妙に慣れた対応をする俺。
 既にこの状況をあっさり肯定している。
 強くなったな、俺…できれば、こんな強さなんて欲しくはなかったが。
「偽者を…見破って…」
「これで…叩くんだ…」
「な…これは!!」
 千影の1人が取り出したもの。それは…
「便所スリッパ!?」
「これは…魂を砕く道具…」
「これで…偽者を消せばいい…」
 でも、何故に便所スリッパ?
「もし間違えて、本物を叩いてしまったら?」
「フフ…その時は…魂が砕け…」
「魔物が本物と…入れ替わるだけさ…」
 責任は重大ってことか…
「よし! じゃあ千影、やっちゃってくれ!」
「それは…」
「できない…」
「は? なぜ?」
「私にも…区別がつかないからね…」
「なにせ…魂の形まで…化けてしまうのだから…」
「じゃあ、自分の偽者だけでも…」
「いや…この魔物は…本人では攻撃できない…」
「同じ魂同士が…反発しあうからね…」
 つまり、お互いに攻撃は不可能ってわけか…
 くそ…千影でもどうにもできないってことかよ…
「じゃあ、どうしようもないじゃないか!」
 俺は叫ばずにはいられなかった。
 妹達が死んでいくのを…ただ見てろっていうのか?
「いや…方法はある…」
「兄くんなら…できるはず…」
「え? 俺?」
「彼らは…『真似る』ことはできても…『同じ』にはなれない…」
「兄くんなら…そのわずかな違いを…見破れるはず…」
「……よ〜し、わかった! うちの妹に化けるたぁいい度胸だ! 全部消してやるぜ!」
 そして俺は武器(便所スリッパ)を持って立ち上がった。
 きっと今の俺は今までにないほどかっこいい…はず。




「さぁて、そうと決まればまずは…そこぉ!」
   ドンッ!
「チェキ!?」
 とりあえず手始めに壁を思いっきり蹴ってみると、案の定四葉が降ってきた。
 さっき千影と話しているうちに登ったらしい。
 上を見上げると、もう1人の四葉は天井にくっついたままだ。
「くらえ偽者!」
   スパン!
 今度は思い切りジャンプし、天井にいる四葉をスリッパで殴る。
「な…完璧すぎただと…?」
   ボン
 天井にいた四葉は、そのまま煙になって消えた。
「ふ…蹴れば落ちてくる生き物。それが四葉だ!」
「何か違う気がするデス…でも、ありがとう、兄チャマ!」
   ちゅっ
「なっ!?」
『!!!?』
 いきなり四葉がキス(ほっぺにだけど)をしてきたもんだから、不覚にもかなり驚いてしまった。
 さて、それはそうと…この殺気、どうしましょう…?
「「お兄様、なに鼻の下伸ばしてるのかしら?」」
「「ワタクシというものがありながら…」」
「お兄ちゃん! そんなのダメ!」
 何? 俺か? 俺が悪いのか?
「みぎゃ〜〜〜!!!」

 …いつもより2,5倍ほどの痛みを味わっている俺。
 しかぁし! ただでは起き上がらん!
「とりあえず、さっき攻撃してきた可憐。お前偽者な」
   ポコン
「えっ?」
   ボン
 かなり弱々しく殴っただけだが、それでも偽可憐は煙になって消えた。
 なぜ偽物かわかったのか? だって…
「そうか…そんな手があったのね…『お兄ちゃん、ありがとう!(ちゅっ)』『わっ! 可憐!?』『よく可憐が本物だってわかったね』『そりゃそうさ。だって可憐は俺の…大切な人なんだから』『えっ!? それって…』『ああ、俺は…可憐が好きだ!』 な〜んてことに…」
 ってな感じで、湯気を出しているのが本物だから。
 しかし…今日はえらく長いなぁ…
「お〜い、かれ〜ん? お前の偽者はもう消したぞ〜?」
「そしてお兄ちゃんは…えっ!? た・タイミング逃しちゃった〜!」
「ふぅ…これでやっと2人か…」



「さて四葉。ちょっと頼みがあるんだが」
「名探偵に依頼デスね! 了解デス!」
「んっとな…(ごにょごにょ)なんだが…」
「あ・兄チャマ…もしかして…」
「だ〜! 誤解するな! だからだな…(ごにょごにょ)だろう?」
「あぁ、なるほど! さすが兄チャマデス!」
 こんなペースでいっても埒があかないので、こっちからボロを出してもらうことにした。
 まぁ、結局かなり時間がかかってしまうが。
 でもって最初のターゲットは…衛だ。
「よし、じゃあ頼む」
「OKデス! さぁみんな、注目デス! これは四葉のフォトシリーズNo.128、タイトルは…『恥じらう衛ちゃん』デス!」
『おぉ〜! 可愛い!』
 俺が四葉に頼んだこと。
 それは、『衛のとっておきの写真を見せてくれ』だ。
 そして四葉が取り出したのは、ドレスを着ている衛の写真。
 確か去年の文化祭か何かで、友達に無理矢理着せられたとか言っていたやつだと思う。
 恥ずかしそうに俯く表情がまた可愛いかったりする。
「ちょっと四葉ちゃん! そんなの見せないでよ!」
 そう言いながら、四葉を追いかける衛。
 ただし、追いかけているのは片方の衛だけだ。
 そして俺は、その衛の首根っこを掴む。
「はい、ご苦労さん。に・せ・も・の・君?」
「えっ!?」
「ふふ…本物の反応は『あれ』なんだよ!」
 そう言って部屋の隅をビシッと指差す。
「いいんだいいんだ…どうせボクはそんなキャラなんだ…ボクが女の子の格好をしたってネタにしかならないんだ…」
 そこには、何やらダークなオーラを発しつつうずくまる衛の姿があった。
「そういうわけだ!」
   スパン!
「くそ…完璧だと思ったのに…」
   ボン
 こうして、衛の偽者も消し去ることができた。
「どうせボクなんてブラも着けちゃいけないんだ…料理も下手じゃなきゃいけないんだ…」
 衛がちょっと壊れちゃったが、まぁそれはそれということで。
 物事に多少の犠牲はつき物だし?



「さて、突然だが咲耶よ。俺に抱きついて来い」
「えっ!? お兄様、ついに私への愛に目覚めたのね!」
「咲耶さん! 抜け駆けは許しません!」
 何の脈絡もない俺のセリフを気にする風もなく、咲耶と春歌が俺に向かって突っ込んできた。
 ふふ…予想通りだぜ。
「はい! お前ら2人とも偽者ぉ!」
   スパン! スパン!
「何!?」
「何故わかった…」
   ボン ボン
 そうして、2人はほぼ同時に煙となって消えた。
 さて、本物はというと…
「そしてお兄様は私の服に手をかけ…」
 こっちはもう、そこまで話が進んじゃってるらしい。
「それはつまり…兄君さまがワタクシを捨てるということですね…ならばいっそ2人で…」
 こっちも、何か思考(妄想)が最終段階までいっちゃってるようだ。
「って、おい! 春歌! あれは作戦だってば! 得物を構えるな〜!」
「問答無用!」
「本日2回目〜〜〜!!!?」
 …ちなみにその後、こっちに戻ってきた咲耶に抱きつかれ、もう1回殺られました(涙)



「よ〜し。じゃあ皆、家中からありったけのお菓子を持ってきてくれ」
「え? そんなのどうするの?」
「まぁ、とりあえず持ってきてくれ」
 (さっきのダメージからもあっさりと回復し)俺は次の作戦に移ることにする。
 みんなは疑問を口にしつつも、それぞれお菓子を探しに行ってくれた。
 そして次に皆が集まった時には、山のようにお菓子が積まれていた。
「う〜ん、こんなにお菓子があったとは…」
「私たちが自分用に持ってたやつとかもあるしね」
「悪いな、ありがとう。よし、亞里亞。このお菓子を好きなだけ食べていいぞ!」
「「ホント? 兄や?」」
「ああ、いっぱい食べろ」
「わ〜い…」
「わ〜い…」
 微妙ながらも、亞里亞にしてはかなり喜びの表情を浮かべ、2人の亞里亞はお菓子を食べ始めた。
 そのペースは、ゆったり、おっとり、と非常にゆっくりだが。
「花穂、たぶんのどが渇くだろうから、紅茶を持ってきてくれ」
「「は〜い!」」
 俺に頼まれたのが嬉しかったのか、花穂達は笑顔で台所へと走っていった。

 そして数分後。
「お待たせ、お兄ちゃま…あっ!」
 唐突に、何もない所ですっ転ぶ花穂。
 花穂が持つお盆の上に置かれたカップが、俺に向かって飛んできた。
 当然、中に入っていた紅茶は俺に降り注ぐ。 
「あっつ〜!! で、今のお前偽者!」
   スパン!
「な…ちゃんとドジしたのに…」
   ボン
「フ…花穂がそんなベタなドジをするはずないだろう」
「さすがお兄ちゃまだね! あっ…!」
 唐突に、何もない所ですっ転ぶ花穂。
 …ここまではさっきと同じ光景だ。
 唯一違うのは、花穂の手から飛んでいくカップの軌道。
 俺の立っている位置を少し逸れ、春歌に向かって飛んでいく。
「む…はぁっ!」
 春歌は、(なぜか)持っていた薙刀でそれを真っ二つに。
 2つに分かれたカップは、春歌のやや前に落ちた。
 カップが割れているので、当然中身は全てぶちまけられる。
「どうせボク…熱っ! 「チェキ!?」 痛っ!」
 飛び出した紅茶は、まだいじけていた衛にかかった。
 それに驚いた衛はいきなり立ち上がる。
 そしてその後頭部が、衛をチェキしていた四葉の顎にクリーンヒット。
「うぅ…痛いデス…」
 ふらふらと後ずさりする四葉。
   ドンッ
 そのまま食器棚にぶつかった。
 暫しグラグラと揺れた後、食器棚は収められた物をぶちまけながら俺の方向へ。
「ほらな…やっぱり花穂ならこうなるんだよ…」
 目の前に迫り来る食器棚を前に、俺は自分の正しさを改めて確信した…
   ドンガラガッシャーン!



「兄上様、ようやく半分ですね」
「あと半分、頑張りましょう」
「何でそんな他人事なんだよ…お前の偽者はまだ消えてないだろうが…」
 つーか、皿とかが刺さって、ピューピュー血が出てることにはノーリアクションですか。
「えぇ、まぁ」
「見慣れてますから。自分ので」
 何か問題発言だな、おい。
 しかし、うちの妹は心が読める人ばっかですか(涙)
「…あぁ、そうだ。鞠絵はミカエルが判断できるんじゃないか?」
「あら、それはいい案かもしれませんね」
「ミカエルなら、解らないはずありませんものね(キラーン)」
 …?
 何か一瞬、片方の鞠絵のメガネが光ったような…まぁいいか。
「そういうことだ。ミカエル、頼んだぞ」
「ワンッ!」
 一吠えしてから、見比べるようにして2人を見るミカエル。
「ミカエル、さぁいらっしゃい」
「キューン…」
 柔らかな笑顔で、片方の鞠絵が呼びかける。
 それに導かれるように、ミカエルはそっちに向かって歩き出した。
「ミカエル…本物を選ばなければどうなるか、わかる…?」
「(ビクッ)ワゥ!? ワンワン!」
 対し、もう一方の鞠絵も笑顔…そう、笑顔でミカエルに呼びかけた。
 そのプレッシャーに圧され…じゃない。
 その笑顔に惹かれ、ミカエルは音速を越えたスピードでそちらの鞠絵へと向かっていった。
「なるほど…ご苦労さん、ミカエル」
   スパン!
「くそ…匂いも同じだったのに…」
   ボン
 そうして、偽鞠絵は煙となって消えた。そしてその横は…
「ありがとう、ミカエル。さすがね」
「キューン…」
 そんな微笑ましい光景だった。
 決してミカエルが死ぬほど怯えたりしているわけではない。
 誰が何と言おうと、と〜っても微笑ましい光景だ。うん。



「さて、白雪。お前達にはみじん切り対決をやってもらう」
「それはつまり…」
「勝った方が本物、ってことですのね…」
「ま、そういうこった。ストレートでわかりやすいだろ?」
 …と、思ったのだが、ここで問題発生。
「う〜ん…みじん切りできるようなものが無い…」
 ちょうど、冷蔵庫には野菜がほとんど入っていなかったのだ。
「仕方ないな…雛子、おつかいに行ってきてくれるか?」
「は〜い!」
「え゛っ? マジで?」
『………』
 ちなみに今のセリフ、両方雛子ですよ?
 …念のためにもう一度。
「仕方ないな…雛子、おつかいに行ってきてくれるか?」
「うん! わかったよ!」
「はぁ? 何で?」
『………』
 その瞬間、この部屋の時間が一瞬止まった…ような気がした。
「ん? みんな、どったの?」
「アホかぁ!!」
   スパァン!!
「何!? なぜバレた…」
   ボン
 …今までで一番バカなやつだったな。
「とにかく雛子、おつかい頼むぞ」
「は〜い!」
「じゃあこれ、お金…おっと」
   チャリーン
 雛子に金を渡そうと出した俺の手から、1枚の100円玉が滑り落ちた。
 そしてそれに反応したもの、約2名。
「「もらったぁぁぁ!!!」」
 超高速で突っ込んでくる2人(たぶん、単位はマッハだろう)
 それを見た俺は、先に100円玉を掴んだ方を思いっきりスリッパで殴った。
「偽者ぉぉ!」
   スパァァァン!
「!!!!!」(←あまりの痛みに声が出ないらしい)
   ボン
「ふ…読みが甘いな…」
「チッ…2000円か…」
 だって本物の鈴凛は、さっきまで俺の手の中にあったはずの財布の中身を確認してるんだから…
「…咲耶、雛子の付き添いを頼む。金は鈴凛から受け取ってくれ」
「了解よ」
「行ってきま〜す!」
 そこから先の咲耶の行動はよく見ていない。次の作戦を考えていたからだ。
 ただ、こんな音が聞こえていたような気がする。
「ちょっと、何するのさ! これは私の…」
   ボゴン!
「…どうぞ」
 その後見たら、壁に穴が開いていたような気がするが、まぁ気にしないでおこう。



 しばし後。
「「ただいま〜!」」
「お、帰ってきたか」
 というわけで、材料も揃って準備は万端。
「では、みじん切り対決…始め!」
   ジュババババババババ…×2
 む…ほとんど同じ速さ。
 こいつはもしかすると…
「「終了!」」
「やっぱり同時か…」
 意外にも、2人の実力は同じだった。
 能力まではコピーできないそうなので、これは魔物本来の実力ってことか。
 しかし、今までのパターンからいくと絶対にボロを出すはずだったのに…
「ちょっと、にいさま! 今のは絶対姫の方が速かったですの!」
「いいえ! 先に終わったのは姫ですにょ!」
 仕方ない、次の作戦を考えるか…
「ほら! 姫の方が細かく切れてますの!」
「どう見たって、姫の方が大きさとかが揃って綺麗ですにょ!」
 やっぱり見分けがつかな…………………『にょ』?
「そりゃキャラが違うだろうが!」
   スパン!!
「白雪だにょ…」
   ボン
 …ノーコメント。

「ぐ…もうダメ…」
 ちょうどその頃、(実は忘れていた)亞里亞の方も終わったようだ。
 山のように積まれたお菓子は、今はもう数えるほどしか残っていない。
「よく頑張ったな。ナイスファイトだったぜ!(見てなかったけど)」
   スパン
「燃え尽きたぜ…ゲプッ」
   ボン
「しかし…よくこれだけのお菓子を食べたよなぁ…」
 たぶん、常人が半年で食べるのと同じぐらいの量があったと思うぞ。
「兄や…もっとほしい…」
「…マジっすか?」
「亞里亞の胃袋は…宇宙です…」
「へぇ…そいつはすげぇや…」
 …もう何も言えませんでした。



「さて…残るはお前だけだな。千影」
「フフ…そのようだね…」
「兄くん…わかるかい…? どちらが本物なのか…」
 どうしてこいつ、こんなに楽しそうなんだろう?
 …まぁ、慣れってやつだろうな。人間、こうはなりたくないもんだ。
「見分ける方法は考えてある。そっちの千影、今まで集めていたものを見せてみろ」
「これのことかい…?」
 そう言って千影は、赤い液体の入ったビンを取り出した。
 俺は今日、殴られたり斬られたり刺さったりと、大量の出血をしている。
 そして、片方の千影がそれを密かに集めているのを知っていた。
「ふ…やはり俺の血か…惜しいな、偽者。いい線までいってたぞ」
「フフ…何を根拠に…」
「ふん。あくまで白を切る気か。なら千影、お前の集めてたものを見せてやれ」
「フフ…ちょっとだけだよ…」
 もう1人の千影も、同じようなビンを取り出した。
 それはちょっと白く曇っているだけで、一見何も入っていないように見える。
 …が、
「な!? それは…我らの魂!?」
「そういうこった!」
   スパン!
「くそ…」
   ボン
 そうして煙になった偽者を、千影がまたビンに収める。
「さすが…兄くんだね…バレていたとは…」
「ふ…まぁな」
 伊達に千影の兄くんはやってないですから…



 こうして、妹増殖騒動(?)は幕を閉じた。
 ちなみに、あの魂は千影が有効利用するそうだ。
 何でも、煙の状態で残さず捉えれば修復可能な、特殊な魂だとか。
 何に使うかは知らないが、今度は何も起こさないでくれよ…
 そんな儚い願いを胸に、俺は眠りについた。














 朝、起きた。
 隣に俺が寝ていた。
 部屋を出た。
 そこにいた俺と、軽く挨拶をした。
 リビングに行ってみた。
 たくさんの俺がいた。
 たぶん俺を含め、全部で13人いるんだろう。
 いつの間にか、隣には千影が立っていた。
「すまない…昨日の魂…逃がしてしまったんだ…」





あとがき
このSSは、シスパラの100万Hit記念に書かせていただいたSSです。
まぁ、なかなかの出来ではないでしょうか?
まだまだ分かれているもの、全員SSという感じもそれなりに出ていたと思いますし。
ただまぁ、ギャグとしては多少長かったかな? という気がしますが。
え〜っと、とりあえず(いろんなことで)ごめんなさい。
感想はもちろん、てめぇふざけんじゃねぇ、というものまで何でもいいので送っていただければ幸いです。





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