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「衛ちゃん、最近女の子っぽくなってきたね」
「えっ!?」
 それはショックな一言だった。
「ど、どの辺が…?」
「え〜と、胸も大きくなってきたみたいだし、顔も凄く可愛くなってきてるし」
「そ、そうなんだ…」
 ボクが女の子らしくなっちゃったら…あにぃは…
「あ・あれ? 褒めたつもりだったんだけど…」
「あ、ごめん。ありがとう…」
 ボクはあにぃといっしょにいるため、男の子のように振舞ってきた。
 でも…それも限界なのかもしれない…
 こうなったら…徹底的に女の子らしくなってやる!


女の子への道

作者:カッツォ


 う〜ん…でも、女の子らしくってどうすればどうすればいいんだろう?
 …とりあえず咲耶ちゃんにでも聞いてみようかな。
「咲耶ちゃ〜ん! 咲耶ちゃ〜ん?」
 あれ〜? いないのかな?
「ん? どったの?」
 あ、鈴凛ちゃん。
「咲耶ちゃん探してるんだけど、知らない?」
「ああ、それならさっき買い物に行くって出てったけど?」
「そうなんだ…」
 そっか、外出中かぁ…
「でも、どうして?」
「実はね…かくかくしかじか…というわけなんだ」
「そうなんだ…よし! そういうことならこの鈴凛ちゃんに任せなさい!」
「ホント!?」
 よかった〜。言ってみるもんだね。
「じゃあ私の部屋に行こうか」
「うん!」

「じゃあ、そこに横になっといて」
「横に? わ、わかった…」
 座っといて、とかならわかるけど、横になっといてって…
 まぁとにかく、ボクは言われた通り部屋の真ん中にあるベットに横になった。
 …やけに硬いなぁ…それに、目の前にこんなにいっぱい電気があって眩しくないのかな?
「でも驚いたなぁ」
     ガチャガチャ
「何が?」
「鈴凛ちゃんが『女の子らしく』なんて」
     ウィ…ウィーン…
「あはは、メカ鈴凛とかがいるからね」
「あ、そうか」
     ガキガキガキガキ
「メカ鈴凛は、性格は私にあんまり似てないしね」
「見た目はそっくりなのにね」
     ギュルギュルギュルギュル…
「? さっきから何やってるの?」
     ギュ…ギュイ…ギュイー…
「いや〜、電ノコの調子が悪くってさ〜」
「電ノコ!?」
     ギュイーン
「あ、ちゃんと動いた」
 驚いて起き上がったボクが見たのは、電気ノコギリを手に持ち、その他ドリルなどの工具に身を包んだ鈴凛ちゃん…
「何する気なの!?」
「え? だから女の子らしく改造」
「いらないよ!」
 うわっ! このベット、よく見りゃメカ鈴凛ちゃんがいつも寝てるところだ!
「ふふ…女の子らしくなりたいんでしょ…この鈴凛様に任せなさいって…ふふふ…」
「目がイっちゃってるよ!」
 あわわわわ! ど・どうしよう!?
「うふふふ…」
「来ないで〜!!」
      ドゴッ
「きゅ〜…(バタッ)」
 あ…つい右ストレートを顔面に入れちゃったよ…


「はぁ…酷い目にあったな〜…」
 とりあえず鈴凛ちゃんはあのまま寝かしとくことにして、ボクはもう咲耶ちゃんを待つことにした。
 もうそろそろ帰ってきてもいい頃なんだけど…
「ただいま〜!」
 あ、帰ってきたみたい。
「おかえり、咲耶ちゃん」
「あら、衛ちゃん。ただいま」
「実はちょっとお願いがあるんだけど…」



「なるほど、そういうことなら私にお任せね!」
「ありがとう、咲耶ちゃん!」
 というわけで、ボク達は咲耶ちゃんの部屋へ行った。
 …今度こそ大丈夫だよね?


「よし! じゃあ始めましょうか!」
※以下しばらくは会話のみです。何が起こっているのか想像してお楽しみください。(作者)


「うん! やっぱり衛ちゃんにはこれがピッタリね!」
「咲耶ちゃん…何で体操服なの?」
「やっぱり衛ちゃんと言えばこれでしょう!」
「でもこれじゃ『女の子らしく』にはなってないんじゃ…」
「まったくもう…男心がわかってないわね…」
「男心って?」
「それを私の口から言わす気?」
「いや、いいです…とにかく、ボクこれは嫌だよ!」
「しょうがないわねぇ…」

「よし! これでどう?」
「咲耶ちゃん…何? この服」
「メイド服よ!」
「何でそんな…」
「男のロマンよ!」
「咲耶ちゃん女の子じゃん…」
「細かいことは気にしちゃダメよ!」
「っていうか何でこんな服持ってるのさ…」
「ふふ…ヒ・ミ・ツ」
「あっそう…とにかく、これも嫌だよ!」
「もう、わがままねぇ…」

「これもなかなかいい感じね…」
「これって…巫女さん?」
「えぇ、そうよ」
「うぅ〜…動きづらいよ…」
「でも、女の子らしいでしょ?」
「まぁ、ある意味…でも、やっぱりこれもちょっと…」
「まったくもぅ! どんなのだったらいいわけ!?」
「普通の服だよ!」
「全然普通じゃないの!」
「咲耶ちゃんの基準って…」

「うわぁ! いきなり何するの!?」
「うふふ…やっぱり下着もちゃんとしなくちゃね…」
「別にいいよ! 下着まで! しかもそんな…スケスケのやつなんて!」
「あら、お兄様を誘惑するんでしょ?」
「ゆ・誘惑!?」
「でも、ホントにやったら殺すわよ♪」
「うわ〜ん! めちゃくちゃ言ってるよ!」




「うん、こんなもんかしらね」
 はぁ…やっと普通の服着せてもらえた…
 …下着は替えさせられたけど。
 いったいどんな風になってるのかな? 今のボク…
「これが…ボク?」
 鏡を見てボクは驚いた。
 鏡には、ヒラヒラの服を着て、スカートをはいて、いつものボクじゃ考えられない格好をしたボクが映っていたから。
「何だかボクじゃないみたい…」
「そんなことないわ。かわいいわよ、衛ちゃん! 後はお兄様を待つだけね!」
「え!? あにぃ!? あにぃに見せるの・・・?」
「何言ってるの。そのために私に頼んだんでしょう?」
 うぅ…そうだけど…恥ずかしいよぉ!
「ただいま〜」
「あ、お兄様が帰ってきたみたいね。行きましょ!」
「えぇ〜!!」
 咲耶ちゃんはボクを引っ張ったままあにぃの所まで行こうとする。
 こうなったら覚悟決めなきゃ…
「お・お帰り、あにぃ…」
「ま・衛!?」
 あ、ビックリしてるみたい。やっぱり似合ってないのかな…?
「どうかな? あにぃ…」
「衛、どうしたんだ? …女装なんかして」
 女装!?
「あ・あ・あ…」
「あ?」
「あにぃのバカ〜〜!!!」
       ドゴッ
「ふぐぉあ…(バタッ)」
 
 酷いよあにぃ。
 ボク、女の子なのに…
「フフ…衛くん…」
「うわっ! 千影ちゃん!?」
 いつの間に後に…まぁ、いつものことだけど。
「な・何?」
「そんなに…女の子らしくなりたいのかい…?」
「う、うん…でも、もういいかな…」
「まぁとりあえず…この薬を飲んでみるといい…」
 そう言って千影ちゃんはボクにビンを渡した。
「何? これ」
「フフ…女の子らしくなれる薬…かな」
 女の子らしくかぁ…よし! 飲んでみよう!
      ゴクン
「あ、意外とおいしい…」
「フフ…飲んだね…効果は後で表れてくるから…お楽しみに…」
 あ、消えた。相変わらずだなぁ…
 女の子らしくかぁ…いったいどんな風になるんだろう?




「う・う〜ん…」
 あれ? 何で俺はこんな所にいるんだ?
 え〜っと、確か帰ってきて、部屋に行こうと思ったら・・・
「あ、起きた? あにぃ」
 そうだ。衛に殴られたんだった。
「あれ? いつもの服装なんだな、衛」
 確かさっきはスカートとかはいてたと思うんだが…
「うん。やっぱり、あんまり似合ってなかったみたいだから」
「そんなことはない。可愛かったぞ。ま、それはそれで衛らしくていいけどな」
「へへへ…ありがとう、あにぃ! でさ、これからサイクリング行かない?」
 これから? う〜ん…
「疲れてるからやめとこうかな…」
「わ〜い! 行ってくれるんだ! ありがとう、あにぃ!」
「いや、だから…」
「じゃあ先行って待ってるね!」
 人の話を聞けよ…しかし、こうなったら行くしかないか…


   シャー―――
「気持ちいいね! あにぃ!」
「ああ、そうだな!」
 ま、確かにこうやって風を感じるのは悪くない。
 …しかし衛のことだから5時間は走らされるんだろうな。
    ふわっ
「は?」
 突然奇妙な感覚に陥った俺は、辺りを見回した。
 カラスさんがすぐ隣で飛んでいる…
「うわ〜!! 何だこりゃ!! 浮いてるじゃねぇか!! 衛〜!?」
 横を見ると、衛も見事に(?)宙を浮いていた。
 そして俺達は満月をバックに夜の空を…
「って、そうじゃない! それにまだ月も出てない! 何考えてるんだ、俺!」
 再び衛の方を見てみる。
 何だかやけに冷静だな…
 こいつのことだから、俺以上にパニクってると思ったのに…
 ん? 何か言ってる?
「トモダチ…アニィトマモル…トモダチ…」
「E・○!?」
 ってことは自転車浮かしてるのも衛か!?
 いや、何で衛がE・○になってるんだよ!!
「フフ…やはり…失敗か…」
 どこからともなく声が…って、やっぱりお前か!
「ち〜〜〜〜〜か〜〜〜〜〜げ〜〜〜〜〜!!!!」
(ち〜〜〜か〜〜〜げ〜〜〜…)
(か〜〜げ〜〜…)
(か〜げ〜…)
(げ〜…)
(…)
 日の沈みかけた街に、俺の声は静かに木霊していった…



あとがき
はい、E・○。半分を伏字にしてしまったわけですが、皆様おわかりいただけたでしょうか?
すみません、どうしてもオチが思いつかなかったもので。
っていうか本編と関係ないじゃん! って感じです。
しかも今回衛は…キャラっていうか人格自体が壊れましたね…
衛たんは壊しにくいキャラナンバーワンなので、薬で強制的に壊れていただきました(爆)
え〜っと、とりあえず(その他、いろんなことで)ごめんなさい。
感想はもちろん、てめぇふざけんじゃねぇ、というものまで何でもいいので送っていただければ幸いです。(ただしウイルス等はご勘弁)




カッツォへの感想はこのアドレスへ
1483sy@hkg.odn.ne.jp

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