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ある日、俺の家に小包が届いた。
 中身はカセットテープ。差出人は鈴凛。
 かなり嫌な予感はしたものの、とりあえず聞いてみることにした。

『ヤッホー! アニキ! アニキの可愛い可愛い妹、鈴凛ちゃんだよ! あのさ、ちょっと付き合って欲しいことがあるから、今度の日曜家私のラボに来てくんないかな? アニキなら絶対来てくれるよね? 来てくれなかった爆弾送っちゃからね!』

「爆弾…っていうか次の日曜って明日じゃん。…ん? まだ何か言ってる?」
『なお、お約束通りこのテープは自動的に消滅するよ!』
「は?」
ドッカ〜〜〜〜〜〜ン!!!!
 その言葉通りテープは爆発。
 死ぬことは無かったものの、俺はいわゆる「真っ黒焦げ」という状態になった。
「鈴凛…」
 …ギャグじゃなかったら死んでたな。


私の発明品

作者:カッツォ


 次の日、とりあえず俺は鈴凛のラボへ行くことにした。
 またも嫌な予感はしたが、やっぱり爆弾は怖いからな…(たぶん鈴凛のことだから、ホントに送って来るだろうし)
 まぁ行ったら行ったで、爆弾以上の恐怖が待っているような気もするが…

「りんり〜ん?」
「あ、いらっしゃい、アニキ! ありがとう、来てくれて!」
「ま、まあな…」
 どっちかって言うと脅されて来たわけですが。
「あ、こんにちは。アニキ様」
「おう、こんにちは、メカ鈴…り…ん…?」
 メカ鈴凛に挨拶されので、俺も爽やか〜に挨拶を返そうと思った。
 思ったのだが…無理でした。
 俺にあいさつしてきたメカ鈴凛の肩には、某ゾンビ撃ちまくりゲームで、ものすご〜く見覚えのある物体が乗っていた。
「なあ…メカ鈴凛の肩に乗ってるのって…」
「あ、そうそう! よく気付いてくれたね、アニキ! なんと! メカ鈴凛にロケットランチャーを付けてみました!」
 やっぱり…
「なあ、鈴凛。前から聞こうと思ってたんだけどさ…お前、どこに戦争しかける気だ?」
「でね、今資金不足なんだ! だ・か・ら〜…アニキ! 援助して!」
「いや、ボケるなりつっこむなりしてくれないと、お兄さん困っちゃうんだけど…」
   ドガ―ン!!(ロケットランチャー発射)
「ねえ、アニキ〜、援助〜」
「ちょ・ちょっと待て! それは脅迫…」
   ドゴーン!! ガラガラガラ…(ロケットランチャー発射→背後の建物崩壊)
「ねえ、援助〜」
「…はい…わかりました」
「さっすがアニキ! そうこなくっちゃ!」
 …兄っていったい何なんだろうね。

「…ところで鈴凛、今日俺を呼んだのは援助をねだるためなのか?」
「あ、そうだった。今日はね、アニキに新発明の実験台になってもらおうと思って」
「何!? そんなの嫌…じゃないです。すみません。やらせてください」
 鈴凛…ロケットランチャーは人に向けちゃダメなんだよ…





「で、何だ? これは」
 というわけで、(強制的に)実験に付き合うことになった俺。
 そして、現在俺の体には様々なコードがとりつけられている。
 そしてその先には…どう見ても発電機にしか見えない物体…
「よくぞ聞いてくれました! これはどんな不眠症でも一発解決の新発明! その名もスリープメリー君!」
「一発解決って…まさか永眠じゃないだろうな?」
「…………それじゃ、スタート!」
「おい! ちょっと待」
      ポチッ
「あばばばばばばばばばば……」
 大方の予想通り、俺の体に電流が走り抜ける。
 あぁ…だんだん眠くなって(意識が薄れて)いく……
「あれ? ちょっと強すぎたかな?」
 薄れゆく意識の中、そんな声を聞いた気がした…今度こそ死ぬかも…





「………ん…?」
 どうやら生きてるみたいだな…しかし、今回は本気でギャグからダークにいくかと思った…
「あ、起きた? アニキ」
 そう言って、機械をいじっていた手を止め、鈴凛がこっちに振り向いた。
「…その機械は何だ?」
 鈴凛がいじっていた機械。
 それは俺よりもちょっと大きいぐらいの、人型のロボットのような物だった。
「これ? これは、春歌ちゃんに頼まれて作った『メカ師匠』だよ」
「メカ師匠?」
「そ。このメカ師匠にはね、いろんな格闘技の師範クラスのデータがプログラムされてて、修行相手になってくれるんだ! ま、まだ開発途中なんだけどね」
「ふ〜ん…で、その開発途中のもんが何故動いてるんだ?」
「え?」
 うん、やっぱり動いてるよ。しかも何かブツブツ言ってるし。
「…コロ…ス…コロス・コロス・コロス・コロス! コロス!!」
 うわ〜…何かもの凄く危なそうだな…
「ちっ! 暴走しやがったか!」
「は? 鈴凛?」
 突然鈴凛は立ち上がり、腰に掛けてあったスパナを手にした。
 …っておい! 戦う気かよ!
「ちょっと待て! それってあらゆる格闘技の師範クラスなんじゃ…」
「ガァァァァァァァァ!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 俺が言い終わる前に2人は戦闘態勢に入ったようだ。
 そして次の瞬間、2人の影が一瞬交差する。
         ガキィーン!!
 その後暫く、背中あわせのまま静止する2人。
 静寂が辺りを支配する。そして数秒…
「ふ…お前は強かった。だが私はもっと強かった。それだけのことさ…」
         ドカー――ン!!!
 鈴凛が言い終わると同時に、メカ師匠は膝をつき、爆発を起こした。
 鈴凛はすばやくよける。しかし俺は体を固定されているため身動きが…
 …おい! 身動きとれねぇじゃねか! ナレーションなんてやってる場合じゃねぇよ!
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 爆発に巻き込まれた俺は、そのまま再び意識を失った。





「う〜ん…う〜ん…」
「アニキ! 起きてよ! アニキ!」
「う〜ん…ん? 鈴凛?」
「大丈夫? だいぶうなされてたけど…」
「なんだ…夢か…」
 俗に言う夢オチってやつですな。
 そうだよな。いくらなんでも、鈴凛があんな事できるわけないよな…
「夢って? どんな夢だったの?」
「う〜ん…秘密、かな?」
「え〜!? 教えてよ、アニキ〜!」
 う〜ん、さすがに『鈴凛が変なマンガみたいにメカをやっつる夢』なんて言えないよな…俺の精神状態疑われそうだし…
「ま、世の中には知らない方がいいこともあるってことで…」
 あ、こりゃ千影のセリフか。



 何はともあれ、俺は無事に鈴凛のラボから生還することができた。
 しかし俺は気付いてしまった。自分の体にいくつかの火傷の跡があることに。
 そして鈴凛の部屋に、俺が眠る前には無かった大量の機械の破片が散らばっていたことに…





あとがき
結局、問題だった先頭シーン(?)はそのままです(爆)
しかしまぁ、やっぱり短い…
この辺までくると、もう今とあんまり変わりませんね。
え〜っと、とりあえず(いろんなことで)ごめんなさい。
感想はもちろん、てめぇふざけんじゃねぇ、というものまで何でもいいので送っていただければ幸いです。(ただしウイルス等はご勘弁)




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