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Character Panic

作者:カッツォ


 ジリリリリリリリ…

 ん? …朝か…ってことはそろそろ咲耶が…
「おに…ま! …さよ! 起きて!」
 ほら来た。で、起きないでいると…
「早く起きないとキスしちゃうわよ! おにいたま!」
 ほらね…って、おにいたま!?
          ガバッ
「あら、起きちゃったの? 残念ね…」
「雛子?」
 そこにいたのは、紛れも無く雛子だった。
 ただし、いつものような幼いしゃべり方ではなく、とてもハキハキした喋り方。
 そう、まるで咲耶のように…
「いったいどうしたんだ…?」
「え? どうしてこんなに綺麗なのかって? それはもちろん、おにいたまラブだからよ!」
 う〜ん、そんな所までそっくりとは…ってことは性格が入れ替わってるって考えるのが自然だな…
 いや、それ自体は全然自然じゃないけどね。
 で、その原因として考えられるのは…

「千影! 千影! いるか?」
 考えられる原因は1つ。千影絡みだ。
 というわけで俺は千影の部屋の前までやって来た。
「千影、入るぞ?」
     ガチャ
「あ! 兄くん! ふえ〜ん、ちか、またドジしちゃった〜!」
 はう…千影までもが…
「…ってことは、やっぱりお前が原因なんだな?」
「うん…昨日ね、魔術の実験をしてたの。そしたらね、魔力が暴走しちゃってね、みんなの性格が入れ替わっちゃったみたいなのぉ!」
 やはり千影が原因だったか。
 それにしても…千影のその喋り方は違和感ありすぎ…
 何気に一人称『ちか』だし…
「で、ちゃんと元に戻るんだろうな?」
「うん、明日には元に戻ってるはずだよ」
「そうか…せめてもの救いだな…よし! じゃあ朝飯でも食いにいくか!」
「は〜い…きゃっ!」
     コケッ
 あ、こけた…う〜む、そんなところまで入れ替わってるのか…
「ふえ〜ん、兄く〜ん! 感心してないで助けてよぉ!」


 じたばたしなくても明日になれば戻ることがわかったので、とりあえず俺は普段どおりに過ごすことにした。
 幸い今日は休日だし、なんとかなるだろ…
「おっはよ! お兄ちゃま!」
「ん? おはよう、花穂」
 考え事をしながら食堂に向かっていると、花穂が声をかけてきた。
 千影の話ではみんなの性格が入れ替わってるらしいけど…さて、花穂は誰の性格になってるんだ?
「ねえねえ、お兄ちゃま! 朝ごはんの前にランニングに行かない?」
 衛か…
「悪いな、パスだ。他の妹の様子も見に行かなきゃいけないし」
「様子って?」
 あれ? そういえばこいつら全然何も感じてないみたいだな。
 千影以外はみんな気づいてないってことか。
 ま、騒ぎが大きくならなくていいけど…何とも都合のいい設定だな…
「ま、とにかくランニングはまた今度な」
「は〜い…じゃあちょっと走ってくるね!」
「あ! そんなに走ると転……ばない…」
 そうか、今の花穂は衛だったな。
 しかし、転ばない花穂っていうのはどうも…

「兄君さま! チェキです!」
「うわっ!」
 びっくりした…春歌は四葉か。しかし天井から落ちてくるとは…
「ボ〜っとしてる兄君さま、チェキです!」
「ボ〜っとしてない!」
 う〜む、しかしあの春歌がチェキとは…あ、でも語尾は「デス」じゃなくて「です」なんだな。
 さすがは大和撫子。腐っても鯛ってところか(ちょっと違う)
「チェキチェキチェキ〜」
 あ、行っちゃった。なんか四葉以上に忙しかったような…ま、とりあえず食堂に行くか…



「おはようございます、にいさま」
「おう、おはよう、白雪。で、白雪は誰なんだ?」
「え? なんのことですか?」
 あ、つい言っちゃったよ。みんなはわかってないんだったな。
「いや、なんでもない」
「ふふ…変なにいさま」
 う〜ん…鞠絵?
 …みたいだな…わかりにくい…作者め、さすがに扱いきれなかったか…

「おはよ! お・に・い・ちゃん!」
「おはよう、可憐。」
「おはようございます、可憐ちゃん」
「あ、おはよう白雪ちゃん! …でさ、お兄ちゃん、援助して!」
 可憐は鈴凛か…しかしいくらなんでも「おはよう」の後の二言目が「援助」って…
 …あれ? っていうか…
「いったい何に使うんだ?」
「え? う〜ん…わかんない!」
「わかんないって…じゃあなんで援助して欲しいんだ?」
「え〜と…何となく言わなきゃいけないような気がしたから」
 ふぅ…目的が無くとも援助だけはねだるか…さすが鈴凛。
 どこでどう間違ったんだろう…
     ブーン…
「ん? 蜂?」
「危ないですわ!」
     ドンッ!
「ふげっ! …鞠絵?」
 唐突に現れた鞠絵によって壁に叩きつけられた俺。
「兄上様、お守りいたします!」
 そう言って鞠絵は蜂と対峙する。
 うむ、なかなかの威圧感だ。
「ぐ…ごほっ! ごほっ! ぐはぁ…」
「あぁ! 鞠絵!?」
 春歌の性格でも体の弱さは変わらんのかい!
 そりゃこの体で威圧感とか放ってりゃ吐血もするわな…
「ぐ…この鞠絵を倒すとは…なかなかやりますわね…ぐふっ」
「鞠絵〜〜〜〜〜〜!!!」
「にいさま、早くいかないと朝食が冷めてしまうかもしれませんよ?」
「そうだな。行くか」
「白雪さん、ノリ悪いです…」
 というわけで、鞠絵のボケをあっさり無視し、俺達は再び食堂に向かうことにした。
 …いや、鞠絵はちゃんとベットに寝かしといたけどね。


 場所は変わって食堂
「おはよう、みんな」
「あ! あにぃ!」
「お兄〜様〜」
    ガバッ
「ふぐっ!」
 衛…みぞおち入った…どうやら雛子みたいだが…お前の体型ではきついぞ…
「あにぃ! 今日はね、うさぎさんがジリリリ! っていう前に起きれたんだよ! えらい?」
「ああ、えらいね。」
    ナデナデ
「エヘヘ〜」
 俺が衛の頭をなでてやっていると、横で咲耶が目を潤ませているのに気づいた。
 この反応は…
「咲耶も……ナデナデ…」
 お、やっぱり亞里亞か…なんかかわいいな。
 よし、なでてやるか。
「えらいね、咲耶」
    ナデナデ
「(にっこり)」
 俺がなでてやると、にっこりと笑う咲耶。
 その笑顔は、いつものような大人びた笑いではなく、何の屈託もない笑顔。
「(な・なんて素直な笑顔…かわいい、かわいすぎるぞ咲耶〜!!)」
 俺は咲耶を抱きしめ…ようとしたがやめた。
 だって雛子(=性格咲耶)がすごい目で睨んでくるんだもん。
 怖すぎだよ、雛子…

「おはよう、兄チャマ。ふふふ…朝から大変ね」
「まあな…おはよう、四葉」
 四葉は…可憐みたいだな。
 元気な四葉もいいけど、こういうおしとやかな四葉もなかなか…
「どうしたの、兄チャマ?」
「ん? いやいや、なんでもないぞ。それより朝飯はもうできてるのか?」
「え〜と、それが…」
「フフ…アニキ…早く行ってあげた方が…いいんじゃないかな…?」
「鈴凛…」
 こいつ…唐突な現れ方まで千影そっくりになってやがる…
「で、早く行ってあげた方がいいってどういうことだ?」
「それはきっと…すぐにわかるよ…」
         ガシャン!
「何だ!?」
「フフ…ほらね…」
「とりあえず行ってみろってか?」
「そういうことさ…では…頑張ってくれ…アニキ…」
 うん、普通にドアから出て行ったな。
 さすがに魔術までは使えないってことか。
「っと…さっさと音のした方へ行かなきゃな」



 俺は音のした方、すなわちキッチンへと向かった。いつもなら白雪が料理してるんだが…
        ガシャン!
「あ! 兄や! すみませんですの! すぐに朝ごはんを作りますの!」
「亞里亞…」
 そこにいたのは亞里亞。
 そりゃそんなフリフリのドレス着て料理したら、皿落とすのも当然だわな…しかも全然身長足りてないし…
「いいよ亞里亞。後は俺がやっとくから」
「ダメですの! お料理は亞里亞の役目ですの!」
 やっぱりそう言うか。
 それにしても、亞里亞がハキハキ喋ってると…何か…ね…っと、そんな場合じゃないな。
「亞里亞、日頃の感謝ってことで今日は俺にやらせてくれないか? それに、亞里亞はさっき落とした皿で指を切ってるじゃないか。亞里亞がケガしたら俺が悲しいぞ?」
「…わかりましたですの。じゃあ兄や、後はお願いしますですの」
 そう言って亞里亞はキッチンを出て行った。
 うん、素直でよろしい。
「さて、作り始めるか…」
 そして俺はみんなの朝食を作り始めた。
 ま、たまにはいいだろ…



「ふひ〜、疲れた〜!」
 う〜む、13人分の食事を作るのがこんなに大変だとは…
 白雪は毎日こんなことやってるのか。
 今度、ホントに何かお礼してやらなきゃな…ま、とりあえずみんなを呼ぶか…
「お〜い! 朝飯ができたぞ〜!」
「「「「「「「「「「「「は〜い!」」」」」」」」」」」」

 妹達が集まってきた。そしていつも通りなようでちょっと違う朝食の風景は始まる。
「千影ちゃん、ケチャップとってくださいですの」
「は〜い…あっ!」
      ビチャ
「きゃっ! ですの!」
「あはは〜! 亞里亞ちゃん真っ赤〜!」
「ふえ〜ん、ごめんなさ〜い!」
 ふむ、こうやってると普段とあんまり変わらないな。
 ま、入れ替わってるだけで、性格自体が変わったわけじゃないしな・・・



 そうしてその日はいつもとほとんど変わらないように過ぎていった。
 まあ、鈴凛が魔術使おうとしてカーテン燃やしちゃったり(なんと小さい炎は出た)、可憐が慣れない機械をいじって感電しちゃったり、亞里亞がケーキ作ろうとしてキッチンを崩壊寸前にまで追い込んだりと、いろいろあるにはあったのだが…まあ、普段からこんなもんだし。

 で、今はもう寝る時間。
「はぁ〜、疲れたな〜」
 普段と変わらないとは言っても、やっぱりいつもよりは疲れる。ややこしいし。
 ま、これはこれで楽しかったけどな…
          
「アハハハ…ま〜た失敗しちゃった…」
 鈴凛口調の千影の声が聞こえたような気がした。
 でも、それはきっと気のせい。
 朝になればみんな元に戻ってる。
 そうに違いないんだ! 
 あははは…はぁ〜…






あとがき
シスパラの50万Hit記念に書かせていただいたSSです。
死ぬほどわかり辛いのは改善できず(汗)
一応
可憐→鈴凛
花穂→衛
衛→雛子
咲耶→亞里亞
雛子→咲耶
鞠絵→春歌
白雪→鞠絵
鈴凛→千影
千影→花穂
春歌→四葉
四葉→可憐
亞里亞→白雪
です。

え〜っと、とりあえず(いろんなことで)ごめんなさい。
感想はもちろん、てめぇふざけんじゃねぇ、というものまで何でもいいので送っていただければ幸いです。(ただし、ウイルス等はご勘弁)




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