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日常の何気ない話

作者:堕天使シュベルトさん


「ふにゃ〜」

 東から太陽が昇ってきて、周りが明るくなること。それが朝。
 日が沈んで夜となった数時間後に毎日起こる現象。
 毎日起こる現象なのになぜかすっと起きることができないんだよね。
 これって僕の修行不足?
 かもしれない。けど、朝はやっぱり眠いもの。それが当たり前かと思えばいいのかも。
 そう思ってたら、なんだか本格的に眠くなってきちゃったよ。

とんとんとん

 誰かがドアをノックしてる?

「ふにぃ? 誰〜?」
「おにいたま〜、朝だよ〜」
「ヒナ?」

 ヒナが起こしに来てくれたみたい。
 なんて思ってたら、ドアが開いてヒナが勢いよく僕の寝てるお布団に飛びこんできた。

「げほっ!! い、痛いんだけど……」
「おはよ〜、おにいたま」
「いや、だから痛いんだけど」
「おはよ〜〜!!」

 ……もしかして朝の挨拶しないとずっと僕はヒナの下敷き?

「お、おはよ、ヒナ……」
「おにいたま、おはよ〜」
「げほげほ〜。ヒ、ヒナ。僕の上で暴れるのやめて」

 あぅ〜。ちゃんと挨拶したのにヒナが僕の上でジャンプする〜。しかも笑顔で……

「おにいたま、おはよ〜。あれ? ヒナちゃん?」
「あっ、花穂〜。助けて〜〜」

 

 あの後、花穂になんとか助けてもらってリビングにやってこれたよ。
 もしあのまま花穂が助けにって言うか起こしにきてくれなかったら……朝ご飯、食べれなかったかも……
 あっ、でも今夏休みだからブランチになってただけかな?

「朝から大変だったそうね、光(こう)ちゃん」
「お母さん、なんかすんごく人事のように聞こえるんだけど」
「そりゃそうよ。だって人事なんだもの」

 食卓に朝食のご飯やらレタスやらを運んでいる時にそう言って笑ってきたのが僕の母親。
 もっとも、この人は僕の生みの親じゃないんだ。
 僕は小さいころ、確か6歳ごろだったと思うけど、ここに新しい家族として迎え入れられた。
 そのとき花穂が4歳、ヒナはうまれたばかりって言う大変な時期だったけど、お母さんもお父さんも、急に新しい家族になった僕を暖かく育ててくれた。

「おにいたま〜、早く早く〜」

 ヒナはもう椅子に座って足をばたばたさせてるよ。

「それじゃちょっと運ぶの手伝ってよ、ヒナ」
「あっ、花穂が手伝うよ」
「え?! か、花穂はいいよ。そのまま椅子に座ってて」

 花穂が動こうとしたら、ヒナがすぐに食器とかを運ぶのを手伝ってくれたよ。
 なんか花穂が椅子に座って顔を膨らませてるけど……花穂に手伝ってもらったらせっかくの食事がねぇ……

「まあまあ、花穂。そんなことで怒らないの。今日は光ちゃんにお買い物に付き合ってもらうんでしょ?」
「うん。そうだよね」
「え? なにそのお買い物に付き合うって?」
「あら? 光ちゃん忘れちゃってるの? 昨日の夜、花穂にゲームで負けたらお買い物に手伝ってあげるって言ってたじゃない」
「ちょっと待ってよ。負けたのって10回中たったの1回だけじゃん」
「それでも負けは負けだよ、お兄ちゃま」
「ヒナも行きた〜い」

 僕の反論なんかお構い無しに話は進んじゃって、結局お昼に花穂とヒナと僕の3人でお買い物に行く事になった。
 しかも花穂とヒナのお買い物だけじゃなくって、ティッシュペーパーや野菜類といった、本来お母さんが今日お買い物に行って買う予定のものまで買いに行かされる事になっちゃった。
 まあいいけどさぁ……

 そうそう、家族の話が途中までになっちゃったね。
 僕の家族は5人。
 お父さんにお母さん、花穂と雛子、それに僕。
 雛子っていうのは僕がさっきからヒナって呼んでる女の子。自分の事をヒナって呼んでるし、ヒナの方が呼びやすいから僕もヒナって呼んでるんだ。
 お父さんは何かの研究員らしい。本人もお母さんもそれ以上の事は教えてくれない。
 けど、僕らの事を養えるんだから、多分すごい研究してる人なんだと僕は思ってる。
 お母さんも何かパートみたいなのをしてるみたいなんだけど、こっちもこっちで詳しく教えてくれない。
 家から学校に行く時も、学校から帰ってきた時、お母さんは先に家に帰ってきてる。一番早く帰ってくるヒナでも、お母さんはいつも家にいるって言ってるし。
 でも、何かしてるっていうのは確か。なんせ夏休みとか僕らが長い休みの時はいつも朝ご飯食べた後すぐに出掛けるからね。
 なんの仕事してるのかな?
 まあなんのしてるのかわかんないけど、2人とも優しくって、怒ると怖いけど、それでもやっぱり僕は2人が僕は大好き。

 

「おにいたま。後フルーツの缶詰だけだよ」
「OK〜。それじゃ、それ置いてるとこに早く行って、早くこのお買い物を終わらせちゃおう」
「うん」
「おにいたま〜、こっちだって〜」

 今僕たち3人は、花穂とヒナのお買い物も終わり(って言っても、花穂もヒナも結局何も買わなかったけど)、お母さんに頼まれたお買い物をしている最中。
 メモに書かれているパンに野菜、チーズと言った乳製品、ティッシュペーパーなどの日用必需品はすでにかごに入れ終え、後は今ヒナが選んでいる缶詰だけ。まあ缶詰は僕と花穂、ヒナの3人のリクエストだったりするけど。

「ヒナちゃんは何にしたの?」
「ヒナはね〜、みかんの缶詰にしたよ〜。花穂たんは?」
「花穂はトロピカルフルーツだよ。お兄ちゃまは?」
「僕はやっぱり黄桃だよ〜」

 実は最近家でヨーグルトを食べるのがはやってるのだ。しかもプレーンヨーグルトにフルーツを入れて食べると言う方法が。
 そういったこともあって、今僕らは缶詰を選んでるわけ。
 ちなみにさっきいってた乳製品の中にヨーグルトも含まれていたりするのだ。

「楽しかったね〜、おにいたまとのお買い物〜」
「そうだよね」
「荷物が重いけどね……」

 家族で僕は兄という位置付けにあるし、何より3人の中で僕だけが男の子なわけだし、お買い物した品はほとんど僕が持ってる。
 花穂もヒナもちょっとだけ持ってくれてるけど、ヒナはまだ小さいからあんまりもてないし、花穂には悪いけどあまり持たせられないし。
 まあそんなわけで、僕は何気に重い足取りで家に向かってる。

「またこんなに楽しいお買い物できたらいいよね」
「うん、そうだよね。またお兄ちゃまとお買い物したいよね」
「って僕ら3人でよくお買い物行ってるじゃん」

 しかもヒナと花穂の今のセリフ、いつも聞いてる気がするし。
 まあでも、楽しかったのは確かだよね。
 こういったお買い物ができる日常っていいよね。そう、こういった日常はいいよ。

 

 

あとがき

 僕を知っている方も知らない方も、こんにちは〜。堕天使シュベルトで〜す☆
 僕の作品をシスパラで見たことがある方、もしくは以前までこのカッツォさんのHPである「兵どもは夢の中」に掲載させてもらっていた物を見たことがある方にとって、この作品は「あれ?」と思われたかと思います。
 はい、そうなんです。この作品、以前までの作品と設定が違うのです(^^;)
 シスパラなどに掲載してもらっているものは12人同居型なんですが、「12人同居型じゃないものも書いてみたい」と思い書いてみることにしたのです。
 でも、シスパラで掲載してもらっている作品を見てもらえればわかるかと思いますが、長編も短編も全て同じ設定にしていますので、全く設定が違うものを掲載してもらうのは少し気が引けたんですね。
 そういうわけで今回カッツォさんに無理を言い、掲載してもらっていたものを消してもらってこの作品を掲載してもらいました〜。
 カッツォさん、ありがとうございますm__m

 さて、話は今回のSSの内容と関連する事に戻ります。
 先にも述べたように、このSSに関連するものは設定上全員同居型ではありません。そういうわけで、登場しない妹達がどうしても出てきちゃいます。
 もっとも、この関連のSSの設定は自分でもまだ65%とぐらいと言ったところですので、もしかすると全員何らかの形で出てくるかもしれません。
 ちなみに最低でももう1人は必ず登場させるつもりであります。
 誰が出てくるのか。僕の他のSSを知っていて、勘のいい人はすぐにわかっちゃいますね……

 感想などがあればメールを送ってやってください。いただければとっても喜びますので。
 それでは☆


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deathgod4@hotmail.com

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