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「姫の華麗なクッキングーっのコーナー!」
「えっ!? いきなり!?」
「本日は『鯉こく』を作りたいと思ってますの」
「え…? 何それ?」
「鯉を贅沢に使った赤味噌汁ですの」
「へぇ…」
「しかも調理時間は180分…」
「長っ!? せめてもう少し短いのにしてよっ! いきなり始まったから、何でボクがここにいるのかもわからないし!」
「それじゃあ、『さばと穴子の押し寿司』にするんですの!」
「お寿司だね、それなら簡単に…」
「まず、さばに塩をふりかけて2時間以上置いてから…」
「やっぱり長いしっ!?」
「文句が多すぎですの…」
「せめてもっと短いのにしてよ!」
「それじゃあ…『うどの酢味噌かけ』を作りますの…」
「なんでそんなにテンション低くなってるのさ…?」
「うどを大体3pに切って、皮は厚めにむいて、薄い短冊切りにしてから酢水に放す…それから、白味噌・砂糖・酢・みりん・だし汁を溶き混ぜて…うどの水気を切って器に盛り付けたものの上からかける…」
「…あれ? もう出来た…?」
「はいですの」
「………前振り長かったのに…意外とあっさり終わったね…」


如月天使の憂鬱

作者:啓-kei-さん


  えっと、ボク衛です。
  今日は白雪ちゃんの家に呼ばれてきたんだけど…。
  家に入るなりキッチンに招かれて、そうしたらいきなり華麗なクッキングコーナーが始まって…
「クッキングーっのコーナーですの」
「ボクのナレーションに突っ込まないでよ!?」
  ……ごほん。
  でも、家に入ったときに白雪ちゃんがエプロンをつけてたから料理でもしてたのかとは思ったけど。
  結局、何でボクが呼ばれたのかがまだわからないんだ…。
  ……この何とかの酢味噌かけ…結構美味しいかも…。
「それで…ボクに何か用でもあるの?」
「………実は…」
  さ、さっきまでのテンションと全然違うし…。
  料理をしてる時の白雪ちゃんは活き活きしてたのに…今はまるで千影ちゃんみたいな感じに…。
「言いすぎですの」
「……はい…」
  言ってはないんだけど…どうやってボクの考えを読むのさ…?
「実は…今度、学校で発表会があるんですの」
「発表会?」
「そうですの。各グループに分かれて、それぞれがあるテーマを調べて発表するんですの」
「へぇ…それで?」
「姫…姫のグループの班のグループ長の班長になっちゃたんですの…」
「何か日本語おかしいよ…」
  う〜ん…班長か…それは結構重要な立場だなぁ。
  それで悩んでたのか…。
  ……何で出会い頭に料理作り始めたんだろ?
「そ、それで、白雪ちゃんの班は何を調べるの?」
「子供の成長過程について」
「……誰だよ、そんなマニアックなテーマを提案したやつ…」
「吉田君ですの」
「いや、誰っ? いや、聞いたのは僕だけど…」
「それで、姫…どんな資料を集めればいいのかわからなくて…」
「そりゃそうでしょ…」
「それに姫が主に発表しなきゃいけないし…」
「あぁ、班長だもんね…」
「…………」
  あぁ、完璧に落ち込んじゃってるよ…。
  どうにかしないと…。
  というか、頼む人間違ってない?
  何でボクなの?
「鯉こく…」
「まだ作りたかったんかいっ!!」


「やっぱりボクじゃ役に立てそうにないよ。他の皆にも相談してみようよ」
「はいですの。他にもリストアップしときましたの」
「リストアップ?」
「はいですの」
  このメモ用紙がリスト?
  一体何のリストだろ?

 可憐…常に主役格になる子の育成方
 花穂…ドジッ子育成方
 衛…性格を男に近づける育成方
 咲耶…当初の設定を皆に奪われる子の育成方
 雛子…時折大人な発言をしたり行動をする子供の育成方
 鞠絵…眼鏡っ子で病弱な子の育成方
 鈴凛…ほとんど世界の技術を超えているのにそれで儲けようとしない守銭奴の子育成方
 千影…引きこもり育成方
 春歌…やまとなでしこな妄想癖な子の育成方
 四葉…海外帰りの鉛が中途半端に出る方法&探偵マニア
 亜里亜…一人だけ一攫千金を得る方法

「…ずいぶん偏見があるようだね…」
「あとほぼ全員共通で髪の毛の色の突然変異について…校則の破り方とか…」
「何かもう、子供の成長過程とか関係ないしっ!! ってか、色んなゲームやらアニメを批判しているし…」
「あっ! 姫もでしたっ!?」
「気付いてなかったんかいっ! ところで…この咲耶ちゃんの…何?」
「結局、皆、一人の女の子としてにいさまに見て欲しいんですの」
「あぁ…そこね…。雛子ちゃんのは…?」
「あんな積極的な子供いないですの」
「あっそう…。これは鞠絵ちゃんに失礼だろ…。それに…千影ちゃんに殺されるよ…?」
「間違ってますの?」
「いや…そういう意味じゃ…。海外帰りの鉛?」
「デスですの。春歌ちゃんと亜里亜ちゃんも日本語学校にいたのかなぁ? それにしても日本語以外話したことないんですの」
「…………えらく現実的だね……ちなみに鉛って漢字間違ってるよ…」



「…殺…」
「いきなりっ!?」
  え〜っと、白雪ちゃんの悩みを解決するために、
  まず初めに、白雪ちゃんの推薦で千影ちゃんに相談にきたんだけど…。
「何で聞こえてるのさ…?」
「……それで……私に…何の用かな?」
「そこは聞いてないんだね…」
「子供の成長過程とその育成方ですの」
「微妙に私見が入っちゃってない!?」
「…フム………」
「どうですの?」
「…まず…精…」
「ちょっと待って!!」
「なんですの?」
  いやそんないぶかしげな目で見なくても…。
「今、千影ちゃん…何を話そうとしてたの…?」
「…だから…せい…」
「ち、違うよ! 子供の成長過程ってのは…」
「違うのかい?」
「え?」
「違うのかい?」
「……う…」
「違うんですの?」
  い、言われてみれば…そういう風に解釈も…でき…る…?

「つまり……ということで…」
「ふむふむ…ですの」
「早く終わって…」



「え? 子供の作り方?」
「ですの」
「違うよっ!!」
  次にボク達は鈴凛ちゃんの家を訪ねました。
  何かもう初っ端からハードな話を聞かされて……それよりも絶対テーマからずれてるよね…?
  どうでもいいのかな…?
「あっ! それならいいのがあるんだよね〜!」
「え? な、何? 子供の作り方の!?」
「そうそう。確かこの辺りにね……あった!」
  鈴凛ちゃんが取り出したの物…
  大きさは大体20〜30p、大きな二つの目を持つそれは、
  大きな黄色い武器を持ち、その下に全てのものを飲み込むかのごとく大きな穴を持つ。
  いや…単なるペンギンの形をした手動カキ氷製造機なんだけどね…。
  誇張表現するのもバカらしくなっちゃった…。
「こ、これが…」
「いや、おかしいでしょ…」
  ボクのツッコミなんてお構いなしで、鈴凛ちゃんは普通に氷を取り出している。
  カキ氷作るつもりでしょ、絶対?

 ガリガリゴリゴリ…

「じゃーん!」
「じゃーんって…」
  出来たのは当たり前だけど普通のカキ氷。
  …ちょっと待って、今の季節にカキ氷っておかしいよね…?
「そしてこれに練乳をかければ……ほら、いやらしい」
「おぉ!!」
「おぉ、じゃないでしょ!! 別に下ネタを聞きに来たわけじゃないよね!?」
「「くぅ〜〜…」」
「食べてるしっ!?」
  もうボク帰ろうかな…。



「悪かったわね」
「また聞こえてるしっ!?」
「でも、私は他にもお兄様のためおしゃれに一番気を遣ってるわよ。ヘタすると、どこかの守銭奴よりもお兄様からふんだくってるけどね」
「なら、悪女の育成方ですの」
「本人を目の前にしてっ!?」
「そうね、そっちのほうが合ってるわね」
「否定しないのっ!?」
「で、なんだっけ? 男女の営みについてだっけ?」
「そうですの」
「否定してよっ!!」



「雛はおにいたまにはぐはぐしてもらいたいだけだよ」
「……もういいよ」
「ありり? 何が?」
  それより…なんで雛子ちゃんの家に来るかな…。
  子供の成長過程なんて雛子ちゃんにわかる……かなぁ?
「簡単だよ」
「えぇ!?」
「男を射止める方法だよね」
  いや、そんな笑顔でさらっとそんなこと言われても…。
  というか、段々と皆の話の順序が逆に成り立っていってるような…。
  凄いけど誰一人として合ってる人はいないと思うけどね。
「まずは上目遣いと微妙に首をかしげるのは必要最低限の技術だよ」
「ひ、雛子ちゃん!?」



「と、いうわけで……皆のおかげで立派な資料が出来たんですの!」
「立派な…?」
「これで発表会も大成功ですの」
  まさか今日聞いたことをそのまま発表するってことは……ないよね…?



(数日後)

「姫の華麗なクッキングーっのコーナー!」
「もういいよっ!!」
「……残念」
  そんな本当に残念そうな顔されても…。
「それで今日呼んだ理由は何?」
「実は…最近、ラブハンターとか○○○とか□□□ってあだ名がついちゃったんですけど…何でですの?」
「もう知らないよ…」









あとがき

どうも啓-kei-です。
突然ですが、こんなもんですよ。
長い間、SSやらいわゆる萌えなんてものから離れてると。
低かったSSLvが更に下がってしまった……って感じです。

今回、「何かおかしいなぁ?」と思い、自分の過去の作品を読み直してみると…
これは白雪のBDSSなのに誕生日に一切触れていない! という違いに気付きました。
でも微妙にエロ要素は残ってる(死)

各々のキャラの性格やBDSSか?ってツッコミどころ満載ですが、厳格な感想・批判があれば何でもいいので送っていただければ嬉しい限りです。


啓-kei-さんへの感想はこのアドレスへ
fairytale@mx91.tiki.ne.jp

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